イタリア1日目はフィレンツェ観光。これを書いているのは、1日目の観光を終えた翌AM4時51分。なぜかというと、本当に本当にクッタクタで、ベッドに入ると日記のことなど忘れて即寝てしまったから。
 
1日目の朝は無難な時間に起きられました。
たしか8時くらいからホテル0階でビュッフェを食べた。パン3つと生ハム・ハムなどを食べた。さすがは本場、生ハムが大きいし味もよい。一方でパンはフランスの圧勝かな。普通においしいんだけど、フランスで食べたクロワッサンの衝撃を忘れられない。
 
朝食を食べ終わってからは、まずはスーパー「Conad(コナド)」へ。陳列されている商品が日本のそれと雰囲気が違う。魚介系が目につかず、肉や果物が多いように感じた。そしてパックのされ方がおいしく無さそうだ(これは見慣れないからだと思うけど)。ペットボトルの水が売っていることを確認し、何も買わずに出た。入り口と出口にゲートがあって、何も買わなくても通過できるのか不安だったが、問題なく出られた。ガイドの方との待ち合わせまでの隙間時間で、地味にすごいバッソ要塞や、駅前のサンタマリア・ノヴェッラ教会など、目に飛び込んでくる観光地を眺めつつ市場へ行った。
<バッソ要塞>

 

市場の中に入ると生鮮食品の匂いが充満していたが、金沢・近江町市場のそれとは臭さの印象が違っていて、ところどころにつり下がっている肉や野菜・果物のせいかなと思った。市場の臭いからも海外を感じることができた。

 

建物2階のフードコートもおすすめらしい。巨大な倉庫を改造して作ったかのような場所で、おしゃれに感じた。日本のアウトレットにあるようなフードコートとは空気感が違っていて、入りづらいなあと思った。

 

その後も少し街を歩いて時間を潰し、宿泊ホテルの前でガイドの女性、Iさんと待ち合わせた。年齢はたぶん50代かな。海外ガイドに居がちな派手目な服を着ていた。1994年くらいにイタリアに移住してきたそう。話から察するに旦那さんは60代後半と思われ、Iさんは旦那さんのことを年寄りと言っていた。
当初予定していなかったが、まずはIさんお気に入りという駅前のサンタマリア・ノヴェッラ教会の内部を見学した。
<サンタマリア・ノヴェッラ教会>

 

カトリックの異端派と言われるドメニコ会の教会だそう。
天井や壁のフレスコ画(フレスコ=フレッシュの意味で、漆喰を塗りたてのところにすぐに描かないといけないということが由来だそう)やステンドグラスのあまりの大きさ、綺麗さにいきなり面くらってしまった。絵はキリスト教の聖書に出てくるシーンが再現されているそう。
 
作者が自分を絵の中に登場させることがしばしばあるそうで、絵をよく見ると本人と思われる人物の目線が正面を向いているのが面白い(鏡を見ながら書くので、目線がどうしても前を向いてしまうのだとか)

※右から2番目の人が作者の自画像

 

教会の壁に描かれた絢爛な絵たちは、当時の金持ちが教会内に自分の墓地を作るため、相応の額を支払って芸術家を雇い描かせたものだそう。つまり、教会は墓地にもなっているとのこと(日本の◯◯家之墓 といったように)。なんと贅な墓よ。でも、当時の金持ちたちのおかげで芸術が発展したことは間違いなさそうだと思った。
 
そんな金持ちたちは、生前は人々の上に立つ存在だったが、死んだ後は人々の下につきたがったそうで、市民に踏まれるために自らの意思で教会の床に埋められたそうだ。
メメントモリ(死を忘れるな)という考えのもと至るところに骸骨が書かれていた。

 

そもそもメメント・モリは、古代ローマで将軍が凱旋パレードを行っている際に従者が「メメント・モリ」と囁き、今日が勝利でも明日はどうなるかはわからないという戒めを思い起こさせるための言葉だったらしい。
ところでスティーブ・ジョブズは、「今日が人生最後の日なら、自分は何をするだろうか?」ということを、毎朝鏡に映る自分に問いかける習慣を持っていたという。これもメメント・モリの考え方だなと思うし、毎日を丁寧に暮らしていくためにも、日々の生活にメメント・モリを取り入れてみたいなと思った。(毎日だと疲れるので調子がいい日くらいにしておこう)
 
そのあとはヴェッキオ橋、シニョーリア広場など数々の名所を案内してもらった。ヴェッキオ橋では、ルネサンス時代のフィレンツェを牛耳っていたメディチ家の逸話を聞くことができた。
<ヴェッキオ橋>

 

この橋にはメディチ家専用の通路があり、元々橋に店を構えていた肉屋などの生鮮食品店をクサいからという理由で追い出して、代わりに宝石店を集めたそうだ。それがきっかけで今も宝石店が立ち並んでいる。

<ヴェッキオ橋 画面中央上のガラス窓のところがメディチ家専用通路>

 

これがメディチ家の紋章で、街のいたるところに刻まれている。メディチ家は銀行屋だったので、丸い球は分銅の球の形がモチーフと言われている。丸薬説もあるらしい(メディチ家は当初小さな薬局を営んでいたと伝えられている。メディチ家のmediciが薬のmedicineの由来とされる)。

 

他にも見所満載で、街を歩くと素晴らしい彫刻作品がそのへんにあるのがフィレンツェのすごさ。レオナルド・ダ・ヴィンチの師匠、ヴェロッキオの彫刻が教会の壁にあった。
<ヴェロッキオの作品>

<その隣にあった、どこぞの彫刻家の作品>

 

よく見ると隣の彫刻がかわいそうになるくらい、ヴェロッキオの彫刻は服の質感の再現がリアル。金属の素材でこれほど柔らかそうに表現できるのがすごい。
休憩がてらバールにも行った。(日本でいうカフェと居酒屋が合体したような店で、イタリアではコンビニ的な使い方をされている。トイレを使わせてもらうため、ついでにコーヒーを飲むという感じ)
 
そして街のシンボル、ドゥオーモへ。高さ108メートルもあり、壮麗で、人間が建てたと思えないくらい緻密で、ありえない建物だった。高さの数字だけ見れば大したことなく感じるかもしれないが、横幅も相当なもので、iPhoneの広角カメラでも写真に収めることが難しい。これは予想を遥かに超えてきた。
 
丸い屋根部分(クーポラ)は、建築家ブルネレスキが発案し、周りを説き伏せて作った画期的な構造だそうだ。クーポラは2重構造となっていて、その壁の間に階段があるが、登るのは相当しんどいそう(Iさんはガイドの試験を受ける前に実際に登っている)
大感動で午前中を終え、ランチはIさんおすすめのトラットリア・ガリバルディというお店に。Iさんに注文までをお願いしてそこでお別れ。短い時間だったが名残惜しいし、自分達だけでちゃんと会計できるかな…などと、急に不安になってきた。まだ観光一日目だし。
 
店内は、日本ではお高めのレストラン以外では見られないようなレンガ造のきれいさで、味のある木製テーブルや、フライパンなどの小物が掛けられた壁などで雰囲気は満点。

 

ここではボロネーゼとお肉を食べた。麺は平べったく、太くて固め。量も少し多くて、イタリア人基準の量なのかなと思った。濃い味付けだったが美味しい。
パサパサのパンもついてきたが、これをソースにつけて食べるという感じ。
むしろ濃いゆえに、パンが無いと少々キツイかなという感触。
水は日本のように無料ではなく、欲しい場合は注文しないといけなくて、3ユーロした(ユーロは150円後半なので、500円近くする)。
ちなみにランチなのに64ユーロもした。ということは二人で1万円くらいか。なぜかキャッシュオンリーだったし。何はともあれ、Iさんはフィレンツェに関しさすがの博識具合で、素晴らしいガイドでした。
 
ランチを終えてウッフィッツィ美術館へ。集合時間にギリギリで焦ったのと、パスポートが必要になる場面があったのに持ってこなかった点が大反省ポイント。事前に渡された説明書にも書いてあったのにな。
<ウッフィッツィ美術館>
 
さて、肝心の絵に関し印象に残ったのは、ボッティチェリの春だった。
黒が多く使われている絵なのに、不思議と水のような透明感を感じられて、シンプルにきれいな絵だなと思った。美術には疎いものの、何か感じるものがあった。この絵の中には200種類以上の花が描き分けられているということで、この絵が描かれた1500年ごろにそこまで植物の分析が進んでいたのは驚異だなと、素直に感心した(感心というと上から目線にも感じるから、尊敬というほうが近いか)。
 
ちなみにこれはダヴィンチ少年が10歳のときに参加した絵で(複数の画家が担当箇所を分けて描いている)、ダヴィンチは左の天使を担当したとされている。師匠のヴェロッキオはこれを見て、ダヴィンチの才能の大きさに絶望し、筆を置いたらしい。かわいそう。
<キリストの洗礼>

<左がダヴィンチが担当した天使>

 

ウッフィッツィ美術館はもともとメディチ家のオフィスだったそうだが、前職で勤務していた某ビルとは比較にならないくらい巨大で、ここで何人働いとったねん。と唖然としてしまった。
※uffizi の名はイタリア語の ufficioの複数形 uffici(英語の offices にあたる)とのこと。wikiより。

 

さて、ここまで観光して脚の疲労は限界近くになっていた。世界最古というジェラート屋(Perche no)で、牛乳&ベリー・ヨーグルト系のジェラートを食べて糖分摂取(この店もIさんが推薦してくれた。見た目が派手なジェラート屋に観光客は行きたがるが、そういう類の店はあまりおいしくなく、こういうシンプルな店のほうが味がいいそう)。
<Perche no>

 

 

ちなみにジェラートは、16世紀フィレンツェの建築家、ブオンタレンティという人が作ったらしいという豆知識を得た。
その後も歩いて歩いて、水とスプライトをコナドで買ってホテルへ。10分ほど休憩し、すぐに晩飯へ向かった。ここ「il Paccero」では、フィレンツェを東西に流れるアルノ川に面した窓際の席をIさんに予約してもらっていた。行く前は緊張していたが、店の前に着いて店内を見ると、想像より入りやすい雰囲気でほっとした。
<il Paccero>

ピザはちゃんと美味かった。アドバンスド・マリナーラっていうピザを頼んだけど、

日本でよく行く某Kピザ店で知っているマリナーラとは少し違っていた。

 

生地は分厚くて、ナポリ風なのかな。具材はアンチョビやオリーブが使われていた。ワインやキューバリブレを片手に、店の窓から、夜のアルノ川越しに見える街並みやそよ風、川を通る遊覧船から聞こえてくるヴァイオリンの演奏などなどを五感をフル稼働させて吸収した。

ここの店も料理のボリュームは多めで、腹がパンパンになり、サラダを少し残してしまった。物理的にも心理的にもおなかいっぱいになって、この時点でイタリアには充分満足し、いつでも日本に帰っていいという状態になっていた。まだ一日目の夜だというのに。

 

店をあとにして夜のヴェッキオ橋へ。
 
ストリートライブが行われていて、まだまだ観光客は多く盛り上がっていた。

橋を通過してお次はドゥオーモに。ここではこの一日で一番シャッターを切ったと思うが、フランスのノートルダム大聖堂を見た時とは比にならない感動だった。昼に見た時よりも夜の方が迫力が増したよう。昼よりもデカくなってないか?

 

 

建物に近寄って上を見上げてみると、あまりの壮大さにこれまた身震い。CGみたいで、すぐ目の前にあるのに、本当に実在しているのか?と疑ってしまうほどの衝撃だった。誰にでもおすすめしたい。現地を訪れてその途方もないスケールを体感してほしい。
 

 

 

ここまでで一日目の観光はおわり。
風呂に入り顔パックをして寝ることができた。歩数計を確認すると、今日は25000歩だった。