この日はマイワイフが早朝、コロッセオの内部見学の予約を成功させてくれた。ありがたい。予約が想像以上にパンパンで、午前4時くらいから探してくれていたよう。

サロンパスを貼っても追いつかないくらいに脚がくたばってきたけど、体に鞭打ち1日がスタートした。まずはお土産探しで、テルミニ駅へ。グーグルマップの精度が追い付かず、駅内にあるというコナドを探すのにだいぶ手間取った。結局コナドにはいいお土産がなかったし、、、その後、理想のお土産があるか不安を抱えながらも「リナセンテ(Rinascente)」というデパートへ。

<Rinascente>

 

ここがなかなかよくて、最上階にある食品売り場でチョコレートやパスタのお土産を買いまくり、爆買い日本人と化した。

 

それからホテルに荷物を置いて、コロッセオ&フォロ・ロマーノ内部を見学した。コロッセオは音声ガイドをつけなかったので、ただ見て回るという感じになってしまったものの、圧倒的なスケールで笑えてしまうほどの凄さだった。

<コロッセオの内部>

 

 

 

 

この厳つさは日本の観光地には無いなあと感じた。これが2000年前の遺構だなんて信じられないですよね?古代ローマの人たち、凄すぎでしょう。

<フォロ・ロマーノ>

 

 

 

古代のローマも活気に溢れていたんだろうな。古代ローマの政治の中心地、フォロ・ロマーノは圧巻だったが、この日は気温が高く、暑くて暑くて疲れてしまい、あまり集中できなかったのが悔い…。

ガイドブックで想像していた5倍くらい広かった。

 

そして当然なんだけど、ガイド付きで観光した方がやっぱりいいね。すごいという感想しか出てこなくて、視界に飛び込んでくるすごいものがどのようにすごいのかわからなかった。代わりに後で調べられるよう写真はたくさん撮りました。

 

 

一通り散策して、次の予定まで30分時間を空けてフォロ・ロマーノを後にしたが、駅とは反対方向の出口から出てしまった。一度出てしまうと再入場することはできず、広大なフォロ・ロマーノ沿いに駅まで歩くと20分もかかってしまうことがわかった。これはピンチ。タクシーはぼったくられないか心配で、利用する決断ができなかった。バス停を探しなんとかバスに乗って、15分遅れでホテルに到着した。ガイドのMさんと合流し、すぐさまタクシーでバチカン市国に向かう。タクシー内で話を聞くと、バチカン市国では入場時間に少しでも遅れると予約入場を断られることがあるということ。予約入場を逃すと、イチから一般入場の列に並ばないといけなくなり大変らしい。集合時間に遅れて非常に申し訳ない気持ちになった。

タクシーからローマの街を見ていると工事が多い。西暦2025年はキリスト教にとって聖なる年とされていて、世界中から信者が集まってくるため、それに備えて至る所で工事が行われているそうだ。オーバーツーリズムが心配されているらしい。また、街では歩きたばこをする人が多いが(屋内は禁煙だが屋外では喫煙OKとなっている)あと数年でそれもNGになるらしい。タクシーに乗っていると、フィレンツェもそうだったが、交通ルールがめちゃくちゃだなと思った。街並みを残すためだろうけど、道が整備されていないから仕方ないなとも感じた。

<石畳のゴツゴツとした道を車が普通に走っている>

 

 

結果、大きな渋滞もなく、運よく予約時間までにバチカンに着くことができた。一般入場ゲートにはディズニーのアトラクション待ちのような列ができていて、あぶなかった~と思った。

バチカンの玄関口となっている施設の中に入ると、空港のような方式で手荷物検査があった。 

 

バチカン美術館(古くは法王の住居)は、歴代法王が集めたコレクションの数々が圧巻だった。展示室は縦長に延々と続いていて、天井にはもれなく派手な絵が描かれていた。壁サイズの巨大なタペストリーが飾られた部屋も。

<展示室はこんな感じ>

 

 

<巨大タペストリー>

 

個人的に印象に残ったのは、16世紀末に描かれた地図の絵が飾られた部屋だった。伊能忠敬が日本地図を完成させたのは1800年ごろだから、その200年前にイタリアではこんなに精巧な地図ができていたんだ・・・と、当時の日本との差に愕然としてしまった。

<地図の部屋>

 

<ヴェネツィアの地図>

 

この差をよく覆したものだなと、明治時代に文明開化を成功させた偉人たちや高度経済成長を支えたサラリーマンなどへの尊敬の念を禁じえなかった。

 

ミケランジェロやラファエロ(弟子遣いがうまかった人と教えてもらった)の作品が、数多く飾られていた。

 

 

 

 

最後の見所はシスティーナ礼拝堂。ミケランジェロが4年かけて描いたと言われる天井の絵が有名だが、ここは写真撮影禁止だった。入場前にMさんから絵の見所についてレクチャーを受けた。中に入ると空気感が違う。人でごった返しているものの、絵を見つめていると静寂に包まれる感じがして、何となく救われる気持ちになった。(人間の脳の形に神様が描かれているとか、アダムは人間だから神様と手を触れていないとか、「最後の審判」の腰布は後年別の画家が書き足したものだとか、色々と教えてもらった。礼拝堂側面に描かれた絵を辿っていくとキリスト教の歴史が表現されているんだって。)礼拝堂の端には座れるスペースがあり、たまたま2人分のスペースが空いたので着席し、天井を見上げながらその光景を目に焼き付けた。

 

次は、イタリア旅行で個人的に一番感激したといっても過言ではない、サンピエトロ大聖堂を見学した。

あまりに大きすぎる教会。さすがはキリスト教の中心地、金持ちすぎや!と思った。Wikiによると、高さ約120m、最大幅約156m、長さ211.5mということ。

<サンピエトロ大聖堂>

 

 

この文字が人間と同じサイズだそう。規模感が伝わるだろうか。

〈↑の写真の拡大。写真上部の文字が人間サイズ〉

 

教会内では、1日に一回のミサがタイミングよく行われていて、パイプオルガンの低音が薄いベールのように教会内に響きわたっていた。派手だけど、厳かで重厚な教会内部の意匠を見ながら、オルガンや聖歌の音色を聞いていると鳥肌が立ってきた。俗世と離れた、天国に近い場所だなという思いがした。これは入信してしまいそうになる。あの空気感は現地に行かないとわからないものだと思うので、イタリア旅行をする人にはぜひ体験してもらいたいなと思った。

 

 

 

教会内には歴代法王の本物のミイラが安置されていて、この大聖堂を守り続けているということにも驚いた。

 

派手な制服を着用したスイスの兵隊さんたちが警備をしている。過去の戦いの際、法王のために勇敢に戦ったスイス兵の忠誠心が買われて、伝統的にバチカンを守っているそう。

 

大聖堂を後にして広場に出ると、バチカン市国を丸い形に形成する柱がピッタリと重なるポイントがあった。

どこまでも想像を超えてくるな、バチカンは。

 

ここまででバチカン観光は終わり。

今回案内してくれたMさんは、夫がイタリア人で孫もいて、ここに住んで40年なんだって。ガイドが一級品で、その知識量の多さに、素直にすごいなあと尊敬してしまった。知識を深め、一つのことを極めると人はここまで素敵になることができるのか。そして知識という眼鏡が無いと、目に見えるものや起きている事象の本質を見ることができないなと痛感した。人生における示唆をいただいたような気がした。

ちなみに、バチカンはガイドが同行していないと、美術館を出たあと直接教会へ向かうことができなかったり、複雑な道を大急ぎで歩き団体客を抜いていかないと、入場制限がかかって展示品を見られなくなったりと、不都合なことが多い。このことから、ガイドさんは絶対につけた方がいいと思った。美術品も解説してもらった方が絶対に楽しい。

<バチカンとイタリアの国境>

国境をさくっと跨いで、Mさんおすすめの店「la soffitta renovatio」で解散した。

<la soffitta renovatio>

 

 ここではグーグルレンズを駆使して、難儀しながらも注文。

 

 

ここで食べたカルボナーラ(味濃いめ、クリーム感というよりチーズ感強し)、もう一つのムール貝・チーズ・トマトのパスタ(麺がうどんのような太さ)が◎。麺硬め・味濃いめだけど、それがまた美味しいんだわ。

<カルボナーラ>

<トマトのパスタ>

 

ラーメンのようなジャンク感があってすごく好みだった。スプリッツは毎回頼んでしまうほどお気に入りのお酒になった。

 

ごはんを食べていると、隣席の外国人観光客から「コンニチワ」と声をかけられるのが不思議だった。どうやって日本人と特定しているのだろうか。

 

さて、一旦ホテルに帰るつもりだったが、時間がなくなってきたのでそのままオペラ鑑賞へ移動した。暑さのせいで体力ゲージが残り僅かだったけど頑張った。会場の「セント・ポールズウィズイン・ザ・ウォールズ教会」に到着して中に入ると、ここもムンムンとなかなかの暑さだった。

<セント・ポールズウィズイン・ザ・ウォールズ教会>

 

 

 

開演前に地下のトイレに向かうと、出演者の方達が準備していた。チェロケースを持った女性も入ってきていた。

演奏について。教会内は響きが良くて、細かいパッセージは聞こえないんだけど、むしろそのポワポワとした音質が、煌びやかな教会の装飾とマッチして心地よく感じた。奏者たちは何者か知らんが、上手だった。オペラの人もガチな人たちだった。しょっぱなから感動したので、音楽好きにはおすすめしたいなと思いながら浸っていた。教会内の厳粛な空気感、弦楽器・木管楽器の空気に溶けこんでいくような音色、オペラ隊の音圧、華麗で優雅な鳥のようなダンス。気持ちの良い時間を過ごした。「椿姫」のあらすじを夕飯を食べながら少し勉強して行ったのもよかったな。あまりの疲れで3回くらい意識が飛びかけたけど、2時間わたる大満足のステージだった。

 

 

10時半ごろに終演し、帰ったらもう11時過ぎだったが、なんとかシャワーを浴びてクッタクタのまま就寝した。