長い人生の中では”全てが順調”な時がある。

そんな時に有頂天になってしまいがちであるが、実際には不安で一杯であった。

 

順調に行っている理由が分かっていれば良いが、何故か順調な時はその理由が分からず何時幸せが壊れるかと不安であった。

有り体に言えば順調である理由を探りつつも、悪い方向に転げだす兆候を探していた。そして、束の間の幸せを楽しもうと思っていた。

 

当然逆に”何をやっても上手く行かない”時もあった。

順調な時の逆の感情かといえばそうではなく、必死でもがいていた。

そんな時が何度かあったが、どうやってそこから持ち直したかを覚えていない。

何となく知らない間に元に戻ったという記憶しかない。

 

必死でもがいたのは、一度「これ以上悪くなりようがない」とたかを括った事があるが、世の中”悪くなりよう”があった。だからそれ以降必死でもがいていた。

しかし、”これがきっかけで”という事象もなく知らぬ間に解消されていた。

だから必死でもがくしか無いという事になる。

 

振り返ると、知らぬ間に悪い状態に慣れていたのかも知れないとも思う。

良い状況には慣れないが、悪い状況には慣れてしまうのかも知れない。

あるいは、必死でもがいている時に誰かが助けてくれていてもそれに気が付かなかっただけかも知れない。それ程余裕が無かったのは事実である。

 

一方、部下が何をやっても上手く行かない状況に陥っているのを見たこともある。当然部下も必死でもがいていたが、アドバイスはしても手助けはしなかった。横から見ていると、成長のチャンスでもあったからもがいているのをだまって見ていた。

その時も何がきっかけで普通に戻ったかは分かっていない。知らない間に普通の状態に戻っていた。

 

本人が思うほどひどい状態では無いのかも知れない。