女子プロで描く線と花――木村花 | KEN筆.txt

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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

このたび、WRESTLE-1所属となりました木村花です。私はプロレス総合学院1期生として卒業し、デビューしました。もともと、その時点でWRESTLE-1に入りたいという思いもあったんですけど、ちょうどACEが旗揚げするということで、学院を卒業したあとにこういう道がありますよということを発信したくてACE所属になったんです。

そうして活動を続けていく中で、今以上に女子プロレスを広めていくにはどうしたらいいかと考えたところ、WRESTLE-1のお客様の中には女子プロレスを見ていない方が多いと思うので、そういう皆さんに私を見てもらって女子への関心につなげていきたいと思ったのが、所属になった大きな理由です。あとは学院時代に教えていただいたコーチがWRESTLE-1の選手の皆さんだったので、いつかは恩返ししたいという思いもありました。

学院で教えていただいたことは、女子プロの団体に上がっても役立っています。細かいことになるんですけど、プロレスには男子式と女子式ってあるじゃないですか。女子の団体所属になると、女子式しかできなくなる。でも私は両方できるハイブリッドなプロレスラーになりたかったんです。

だから女子プロ団体ではなく学院に入ったんですけど、デビューしてから女子の団体にいって一緒に練習していると「ちゃんとレスリングできているね」と先輩に誉めていただける。それは男子のコーチの方々に教わった部分なんです。あやふやになっちゃっているところもある中で、タッチの仕方ひとつをとってもしっかり教えていただきました。

両足をつけて体をトップロープの上から出して、タッチロープを持ってそこで初めてタッチが成立するというのも身についている。理屈に合ったことを叩き込んでいただいたのは、女子のリングでも本当に生かされています。デビューして1年でベルトを獲れたのも、そういう部分が大きかった。

それに基礎体力をつけることに関しては厳しかったので、女子の中に入って練習すると学院のメニューの方がキツかったって実感するぐらいで。私、最後の方は卒業できるかどうか不安で、なんとか気持ちだけでやっているような感じだったんですよ。腕立て伏せが苦手で、チェックシートに項目がズラっと並んでいて、できたところにコーチのサインをいただくんですけど、そこで引っかかってなかなかもらえなかったり。

それで卒業できるんだろうか、デビューできるんだろうかって悩んじゃって、とうとう夢の中でも練習しているんです。そういう思いをして卒業できたからこそ、お金を払えば誰でもプロレスラーになれると思われるのが嫌で。ACE所属の時は、それが原動力になっていました。

練習がキツいだけじゃなく、メンタル面でも鍛えられました。私は学院に入るまでは嫌なことはすぐ放り出しちゃう人間だったんです。でも、練習を続けていくうちに辛さを乗り越えたら自分自身をパワーアップさせられることに気づいて、周りにも「ハートが強くなったな」って言われるようになりました。

ACEの時は、そういう部分をお客さんに伝える姿勢でやっていましたね。カズさんが言っていたと思うんですけど、本当に甲子園のような場でした。みんなが私と同じように、ラクにプロレスラーになれたっていう見方を覆したい気持ちで闘っていました。

WRESTLE-1は、イケメンさんのイメージもあると思うんですけど、明るく楽しいという印象です。ACEでは楽しむ余裕なんてなかったので、WRESTLE-1所属として楽しむというのも意識してできたらと思います。これまでも単発で上がらせていただいたんですけど、どれも点でしかなくて線にはなっていなかった。だけど所属となったからには線にしなければ何も生み出せないと思うんです。

まだ女子の所属は一人だけなので、自分でアピールし、発信していかなければ変えられない。これからはより責任がともなってくるわけですけど、だからこそ今まで以上に自分を成長させるチャンスだと受け取っています。今、私はスターダムさんやセンダイガールズさんなどの女子団体にも上がらせていただいていますけど、そこではその団体の選手との試合がほとんどになりますよね。

でも、WRESTLE-1のリングならその枠を取り払ったことがやれるので、その中で自分もやってみたいという選手が出てくるようにしなければと思うし、WRESTLE-1で女子プロレスを見ることによって、プロレスラーを目指す女の子たちにも出てきてほしい。学院も私と(才木)玲佳さん以後は卒業生が出ていないので、後輩ができたら嬉しいし。

WRESTLE-1は女子の団体と比べると女性のお客さんが多いんですけど、同性の方に女子プロのよさをどう伝えるかというのも課題ですね。男性の方よりも見られるハードルが高くなるんです。ヴィジュアルがいいだけでも、試合で頑張っているだけでも応援してもらえない。外見も内面もすごく見られている。

後楽園大会の場合、北側がレディースシートじゃないですか。その光景も目に入りますよね。私は、同性にモテたいんです。男性ファンの皆さんもそうですけど、女性の方に売店へ来てもらえると嬉しくて。女性のプロレスファンに女子プロレスのよさを知ってもらう。これも私がWRESTLE-1の人間としてやるべきことです。

考えてみれば“WRESTLE-1女子”というものを最初にやる人間になるんですよね。私だからできる大きな花を咲かせたいなあ。母(元女子プロレスラーの木村響子)も、最初は男女混合団体からこの世界に入ったんです(FMWの練習生となるもデビュー前に辞めてその後、JWP女子でデビュー)。やっぱり似るんですかねえ、ウフフフ。