自分の中のストーンコールドを全開せよ | KEN筆.txt

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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の表現ジャンルについて伝えたいこと

人間なんでも好きなことは言い続けるものである。12月19日より日本でも公開される“ストーンコールド”スティーブ・オースチン主演映画『監獄島』(原題・The Condemned)の特別宣伝部長にDDTの高木三四郎が任命され、昨日の新宿大会前の記者会見にて発表された。三四郎とストーンコールドの関係は、いまさら語るまでもないだろう。DDT旗揚げ後、アテチュード路線時代のWWF(現WWE)をヴィデオで見てオースチンに衝撃を受けた三四郎は、自分の団体の方向性をスポーツエンターテインメントに定めて今日までやってきた。オースチンがいなければ現在のDDTはないし、それほど三四郎は自分がストーンコールドを崇拝していることをアナウンスしてきた。

当時はまだ、プロのレスラーがファンのようにあこがれを口にするのに眉をひそめる空気があった。ましてや、三四郎の業界内における実績がなかった頃は「インディーのレスラーがプロ意識もなく言っている」という見方をされたほどだった。だが三四郎は、誰にはばかることなく自分が影響を受けたことを言い続けたばかりか、ファイトスタイルもオースチンをモチーフとした。それが功を奏し、地上波のフジテレビが『WWEスマックダウン』を放送するさいにレギュラー出演依頼が来たり、ストーンコールド本人が来日したさいはサイン会のMCを務め移動中やプライベートでもつきっきりで行動をともにすることができた。

三四郎は、オースチンに対し「あなたにあこがれて自分は、あなたのスタイルをやらせてもらっています」と告白。するとストーンコールドは快く受け入れてくれたという。そればかりか、日本公演ではリングサイドに座る三四郎のもとに来て、ビアーによる乾杯までやってくれた。そして日本にいる間、世話になった三四郎に「サンキュー・タカギ。またな」といつの日か再会することを約束して、アメリカへと帰っていった。

あれから5年が経ち、三四郎は8月の両国国技館にオースチンを呼ぼうとした。これは実現しなかったが、来年の両国でもトライするつもりでいる。そうした中、今回の宣伝部長就任のオファーが舞い込んだ。「まだ正式発表は先になるんで伏せておいてほしいんですけど…いやー、なんでも言い続けておくものですよね。もちろんこれはストーンコールド本人の意向ではないんでしょうけど、こういうのもあの時に言われた『またな』からつながっているんじゃないかと思うんですよ」10月の新木場大会の時点でそう聞かされていたが、三四郎はすでに映画とかこつけてDDTでも何かを展開できないかを考えていた。それが11・29後楽園でおこなわれる「監獄島プレゼンツ運営権は欲しければ、殺せ!バトル」である。

当然本人も出場するわけだが、ここは思いっきり自分の中のストーンコールドを久々に全開としてほしいところ。その影響をバリバリに受けていた頃は、ストーンコールド・スタナーをフィニッシュに使い、何もかもがオースチン・ムーブだった。当時は「プロなのにパクるなんて恥ずかしくないのか」と否定派から声を浴びせられていたが、今や高木三四郎としてのスタイルをしっかりと確立しているのだから、どんなにストーンコールドをやっても評価は揺るがない。

今なおファイアーポーズに革のベスト、黒のショートタイツとリングシューズといったところに名残を残しているが、29日は完コピになるぐらい徹底した方がおもしろい。それこそ短髪をスキンヘッドにして、この日かぎりオースチンのエントランスミュージックである『Glass Shatters』を使用するぐらいやってほしい。時計に凝っているならそのまま腕にしてきて「What?」とやるのもいい。とにかくこういう機会はあまりないだけに、ここを逃したらできないことに期待する。
 
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