KEN筆.txt

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鈴木健.txtブログ――プロレス、音楽、演劇、映画等の
表現ジャンルについて伝えたいこと

【著書新刊情報】
〔書名〕虎ハンターの美学
〔著者〕小林邦昭/鈴木健.txt
〔発行〕玄光社
〔価格〕単行本四六版288ページ/2200円+税
〔発売日〕2025年10月21日
〔ネット販売〕Amazon
〔電子書籍〕Kindle 楽天Kobo
〔著者インタビュー〕
【カクトウログ】闘魂に憧れ、逸材を導いた小林邦昭


〔書名〕髙山善廣評伝 ノーフィアー
〔発行〕ワニブックス
〔発刊日〕2025年3月15日
〔価格〕単行本四六版432ページ/2500円+税
〔ネット販売〕Amazon
〔電子書籍〕Kindle 楽天Kobo
※本書の売り上げの一部はTAKAYAMANIAに寄付されます。ご購入いただくこと、周知していただくことが髙山選手の支援となります。よろしくお願いします
〔著者インタビュー〕
【ダ・ヴィンチWeb】
“プロレス界の帝王”がリングを降りた日から8年――試合で重傷、リハビリの日々を過ごす髙山善廣を<物語>に刻む『NO FEAR』誕生秘話
【ウェブマガジンVITUP!】
あの事故から8年…“帝王”たる所以を知る一冊「髙山善廣評伝 NO FEAR」著者に聞く
「髙山善廣評伝 NO FEAR」著者が語る“プロレス界の帝王”の人を惹きつける絶大なパワー
【カクトウログ】
ノシ歩いたはずなのに信用を得た男 髙山善廣評伝著者インタビュー前編
曲別DL時代にアルバムを聞く意味 髙山善廣評伝著者インタビュー後編


【イベント出演情報】
BAR&FIGHT地下闘技場Presents「GO!GO!新根室Night Vol.11~アンドレザ・ジャイアントパンダと添い寝撮影会」
★12月26日(金)歌舞伎町・地下闘技場(19:00開店&開始)
※イベントの都合上、開店まではお店の入り口に集まらないよう、よろしくお願いします
〔出演〕アンドレザ・ジャイアントパンダ
〔進行・コメンタリー〕鈴木健.txt
〔参加費〕3000円+1オーダー
〔予約〕地下闘技場X DM
〔問い合わせ〕〕地下闘技場(TEL03-6205-6264)
アンドレザは全長3mの巨大パンダゆえ天井が低い地下闘技場には入店できませんが、それを逆手に取りリング上でファンの皆様に添い寝していただき撮影します。撮影会後は、新根室プロレス旗揚げ戦の貴重映像を上映。レアアイテムが当たるプレゼント抽選会もあり。鈴木健.txt著書『髙山善廣評伝 ノーフィアー』『虎ハンターの美学』も販売


「チェックマンと魔神のためのプロレス・トークライブ32~君は…南大塚に咲く一輪の花~」
★12月28日(日)大塚・Welcome back(15:00開場/15:30開演)
〔出演〕ドクター水上、 登坂栄児、 橋爪哲也、志生野温夫、鈴木健.txt
〔ゲスト〕コマンド・ボリショイ、 中森華子(PURE-J女子プロレス)
〔入場料金〕前売2900円、当日3400円(要1ドリンク代600円)
※休憩時間中に鈴木健.txt余興演奏、本編エンディングでドクター水上&鈴木健.txtによる「デスかも体操」生演奏あり
〔発売場所〕Welcome back HPチケット予約フォーム


闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason6 EXTRA~矢野啓太、見つけた!」
★1月10日(土)巣鴨・闘道館(16:30開場/17:00開始)
〔出演〕矢野啓太(プロフェッショナルレスリング・ワラビー)
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り3500円、当日4000円
〔プレミアム撮影権〕1000円
※当日開場時、2階イベントスペース入り口にてお支払いください
〔内容〕
開演前:鈴木健.txt余興演奏
・第1部:キング・オブ・天龍プロジェクトのザック・セイバーJr戦体験記
・休憩時間後、プレミアムツーショット撮影会
・第2部:バトラーツ~アンダーグラウンド~そして輝ける舞台へ――矢野啓太のプロフェッショナルレスリングライフ
〔チケット購入法〕
◎前売り券ウェブクレジット決済:https://toudoukan.com/products/20260110_versus_ex
※チケット購入順に整理番号(開場時の入場順)が発行されます。購入後のメールにQRコードと整理番号が記載されます
◎メール&電話&店頭予約:闘道館(TEL03-5944-5588/way@toudoukan.com)もしくは鈴木健.txtメールアドレス kenpitsu.txt@gmail.com まで①イベント名②氏名③当日連絡がとれる電話番号④申し込み人数⑤プレミアム撮影会希望〇or×⑥イベントを知った経緯⑦今後、対決シリーズに出演してほしい選手・関係者をお伝えください
◎当日券:イベント当日に闘道館にて購入。当日料金が加算されます
※前売り券ウェブクレジット決済→メール&電話&店頭予約→当日券の順での入場となります
〔イベント詳細〕https://toudoukan.com/blogs/event/20260110_versus_ex


BAR&FIGHT地下闘技場Presents「富山智帆×望月彩メイニアの集い2DAYS:ライブ編」
★1月30日(金)歌舞伎町・地下闘技場(18:00開店/18:30開演)
〔出演〕富山智帆、望月彩、鈴木健.txt
18:30-19:00 鈴木健.txt余興演奏
19:00-19:30 望月彩ごきげんライブ
19:45-20:30 富山智帆グレイトフリーダムライブ
21:00-21:30 ツーショット及びスリーショットプレミアム撮影会
〔入場料金〕予約4000円、当日4500円(別途1フード&1ドリンク以上注文)
〔特典〕1月31日開催「トーク編」にも参加する方には、もれなく富山&望月ツーショット缶バッヂ(非売品)をプレゼント(翌日会場でお渡しします)
〔プレミアム撮影権〕一回1000円(富山アナ、望月アナとのツーショット、二人とのスリーショット)
〔予約〕地下闘技場 X DM 鈴木健.txtメールアドレス kenpitsu.txt@gmail.com ※支払いは当日のみ。予約時にプレミアム撮影会希望〇or×(富山、望月、スリーショットのうち希望を明記。重複可)をお伝えください
〔問い合わせ〕12・26と同


闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason6 Vol.71~富山智帆×望月彩メイニアの集い2DAYS:トーク編」
★1月31日(土)巣鴨・闘道館(16:30開場/17:00開始)
〔出演〕富山智帆、望月彩
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り4000円、当日4500円
〔プレミアム撮影権〕一回2000円(富山アナ、望月アナとのツーショット、二人とのスリーショットの3パターンを撮影)
※当日開場時、2階イベントスペース入り口にてお支払いください
〔内容〕
開演前:鈴木健.txt余興演奏
・第1部:女性リングアナウンサーのお仕事
・休憩時間後、ツーショット及びスリーショットプレミアム撮影会
・第2部:私たちが至近距離から見たプロレス界のいい話、アレな話
・質問コーナー、プレゼント抽選会
〔特典〕1月30日開催「ライブ編」にも参加した方には、もれなく富山&望月ツーショット缶バッヂ(非売品)をプレゼント
〔チケット購入法〕
◎前売り券ウェブクレジット決済:https://toudoukan.com/products/20260131_versus71
※チケット購入順に整理番号(開場時の入場順)が発行されます。購入後のメールにQRコードと整理番号が記載されます
◎メール&電話&店頭予約:闘道館(TEL03-5944-5588/way@toudoukan.com)もしくは鈴木健.txtメールアドレス kenpitsu.txt@gmail.com まで①イベント名②氏名③当日連絡がとれる電話番号④申し込み人数⑤プレミアム撮影会希望〇or×⑥イベントを知った経緯⑦今後、対決シリーズに出演してほしい選手・関係者をお伝えください
◎当日券:イベント当日に闘道館にて購入。当日料金が加算されます
※前売り券ウェブクレジット決済→メール&電話&店頭予約→当日券の順での入場となります
〔イベント詳細〕https://toudoukan.com/blogs/event/20260131_versus71


闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason6 Vol.72~臼田勝美にエールを!『人生UTG』」
★2月14日(土)巣鴨・闘道館(16:30開場/17:00開始)
〔出演〕臼田勝美
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り3500円、当日4000円(参加者全員とのツーショット撮影つき)
〔内容〕
開演前:鈴木健.txt余興演奏
・第1部:W★INGから藤原組、バトラーツ、そしてビッグマウスラウドまで…うっしーが見たあの時代
・休憩時間後、ツーショット撮影会
・第2部:プロレスラーを引退して思うこと。後輩たちが復興させた「格闘探偵団」への思い
・質問コーナー
〔チケット購入法〕3つの方法からお選びください
◎前売り券ウェブクレジット決済:https://toudoukan.com/products/20260214_versus72
※チケット購入順に整理番号(開場時の入場順)が発行されます。購入後のメールにQRコードと整理番号が記載されます
◎メール&電話&店頭予約:闘道館(TEL03-5944-5588/way@toudoukan.com)もしくは鈴木健.txtメールアドレス kenpitsu.txt@gmail.com まで①イベント名②氏名③当日連絡がとれる電話番号④申し込み人数⑤イベントを知った経緯⑥今後、対決シリーズに出演してほしい選手・関係者をお伝えください
◎当日券:イベント当日に闘道館にて購入。当日料金が加算されます
※前売り券ウェブクレジット決済→メール&電話&店頭予約→当日券の順での入場となります
〔イベント詳細〕https://toudoukan.com/blogs/event/20260214_versus72


【テレビ番組出演情報】
■サムライTV「DDTプロレスリング11・30後楽園ホール大会中継」:12月25日(木)19:30~21:30
※実況:村田晴郎、コメンテーター:鈴木健.txt

■サムライTV「みちのくプロレス12・12後楽園ホール大会中継」:12月26日(金)18:30~20:30
※実況:村田晴郎、コメンテーター:鈴木健.txt

■サムライTV「DDTプロレスリング12・21後楽園ホール大会中継」:12月28日(日)23:00~25:00
※実況:村田晴郎、コメンテーター:鈴木健.txt

■サムライTV「プロレスリングFREEDOMS12・25後楽園ホール大会中継」12月30日(火)23:00~25:00
※実況:塩野潤二、コメンテーター:鈴木健.txt

【ウェブ番組出演情報】
■ZAIKO「天龍プロジェクト12・20新木場1stRING大会生配信」:https://tenryuproject.zaiko.io/e/livefortoday8
※解説:天龍源一郎、実況:鈴木健.txt。12月26日(金)23:59までアーカイブ視聴可

【執筆・編集情報】
〔誌名〕月刊スカパー!2026年1月号
〔発行〕ぴあ株式会社
〔価格〕760円
〔発売開始日〕12月24日(水)
〔内容〕連載「鈴木健.txtの場外乱闘」第138回のゲストはDRAGONGATEのドラゴン・キッド選手。「子どもの頃の思い出の中にDRAGONGATEがある環境作り」


〔サイト名〕DDTプロレスリング公式サイト
〔12月18日更新〕悩める挑戦者・正田壮史、本音を言わない男の本音「これからは“未来”という言葉に自分自身が頼れない」

〔12月16日更新〕To-yがギャンブル防衛ロードを歩む理由「僕がカッコいい振る舞いを見せようと思っても、それは嘘だろうって思うんです」

〔サイト名〕くいしんぼう仮面note
〔12月18日更新〕「くいしんぼう仮面!万才」第6回「正式デビューも、先が見えない屋台村からの脱出。ジョージ高野の新団体・釧路へ」

〔誌名〕月刊ローチケ/月刊HMV&BOOKS No.222
〔発行〕株式会社ローソンエンタテインメント
〔価格〕無料フリーペーパー
〔配布開始日〕12月15日(月)よりローソン、ミニストップ、HMV全店
〔内容〕INSPi・奥村伸二インタビュー「日々の生活を曲にすることでファンとの距離感を近づけ、今こそ応援してもらう」

〔サイト名〕鈴木健.txt note
〔12月9日更新〕鈴木健.txtの体感文法講座テキスト版④リズミカルな文章はストレスなく読みきれる

〔サイト名〕FIGHTING TV サムライ公式サイト
〔12月1日更新〕鈴木健.txtの場外乱闘番外編
※サムライTV版第107回は全日本プロレス・芦野祥太郎選手インタビュー。「明るく楽しく激しく鋭いプロレス。俺は太陽よりも土星になる」

BGV:フラワーカンパニーズ 『感情七号線』

 

古巣である週刊プロレスモバイルの連載コラム『週モバ野郎NOW』が2017年8月28日更新分をもって最終回を迎えました。遅れ馳せながら、2011年4月より355回分もの長い間、ご愛顧いただきました皆様へ改めて御礼を申し上げます。

 

終了が伝えられた時点で、ラストは髙山善廣さんのことを書こうと決めていました。5月4日の事故から4ヵ月が経ちなかなか続報が伝わない中で、それでも思いを持ち続けようという呼びかけです。あの時点では、誰もが力になりたいと思っていながら待つしかない状況でした。

 

最終回がアップされた1週間後に記者会見が開かれ、髙山さんの容態報告とTAKAYAMANIA設立が発表され、ようやく私たちは動けるようになりました。各団体・関係者の間でも募金活動が始まり、またたく間にその輪は広がっていきます。

 

それは事故から年7ヵ月が経過した今も、変わることなく続いています。今回の支援に関しては、本当に長期的な活動として継続する必要があります。呼びかける側も、そして支援をする側も一過性ではなく、髙山さんに対する思いを持ち続けるのが何より大切なのだと考えています。

 

これはコラムの最終回で書いたことでもあり、そして今後も変わらぬ姿勢として自分の中で位置づけられています。連載が終了し、現在もアーカイヴとして閲覧はできますが、もっとファンの皆様の目が届きやすいところで感じてもらうことはできまいかと週刊プロレス編集部に相談したところ、特例としてブログへの全文転載を認めていただきました。

 

ご理解と、そして髙山さん支援へのご協力をいただいた湯沢直哉編集長、相談に乗っていただいた奈良知之記者へ心より感謝申し上げます。髙山さんが我々のもとへ戻ってくる日まで、皆様へご協力をお願いする次第です。

 

何が正しくて何が正しくないのかの正解は一つではありません。人によって、価値観によって、状況や環境、立場によっていくらでも変わってきます。その上で、心へ芽生えた自分を突き動かす"動機"に対し、正直になってください。それが信念を育みます。そして、良識のもと信念に基づいた言動であればあなたにとっての正解です。

 

皆様の正直な思いや気持ちを、支援募金という形で我々はお預かりしているにすぎません。大切なのは一人ひとりの思いを髙山さんへ届けることだと思っています。それを忘れることなく、今後もご協力をお願いするべく呼びかけていきます。

 

 

☆        ☆        ☆

 

2013年1月に「ニコニコプロレスチャンネル」が開設されて4年間、髙山善廣さんはもっとも顔を合わせ、時間をともにしてきたプロレスラーでした。週一番組「ニコプロ一週間」の司会進行とレギュラーコメンテーターの関係で、そこに本誌前編集長の佐藤正行さんを加えた3人で毎週水曜に1週間ごとの主な大会やニュースを紹介し、それについて掘り下げていくというものでした。

 

髙山さんと私は昭和41年生まれの同い年、佐藤さんは1つ上なのでプロレスもそれ以外のジャンルに関しても蓄積が共通しており、当初は出来事をなぞっていくだけだったのが回を重ねるごとに会話が膨らむようになって、やがてグルーヴ感を覚えるほどの絶妙な呼吸ができあがっていきました。天然の佐藤さんに私が突っ込みを入れ、帝王が「ガハハハッ!」と豪快に笑いながらさらに突っ込む。自分の活動範囲だけでなく、あらゆる団体の話題について論客らしいコメントをし、そして楽しめるネタに関しては小学5年生へ還ったかのごとくウヒャウヒャする。

 

テレビの方はどちらかというとおカタいコメンテーターのポジションでしたが、こちらではプロレスならではの幅広さを心から楽しんでいるようで、水曜に試合があっても極力休むことなく大きな体でスタジオへ飛び込んできたものでした。「編集長っていうシンドい立場にいるとさ、この番組で好きなことを言えるのが心のオアシスみたいなものなんだよ」当時、佐藤さんはそう言っていました。おそらく、髙山さんも同じような気持ちで出演されていたのだと思います。

 

だから視聴者の皆さんはもちろん、共演するお二人にも楽しんでもらえるよう私は番組の内容をナビゲートしているつもりでした。髙山さんの誕生日が来ると、いいトシした二人のプロレスマスコミが生歌と生演奏で「ハッピーバースデー・ディア帝王」と祝福し、それを生番組でファンに見てもらい一緒にお祝いしていました。

 

▲2013年9月18日、髙山さんの誕生日前夜の生番組中にロールケーキとシャンパンで帝王を祝う

 

また髙山さんが地上波のドラマへレギュラーでキャストされた時には毎週触れて、それさえも話のネタにしともに笑い合いました。プロレスによって鍛えられているので、どんなジャンルでも膨らまして楽しめるのが我々三人の強みだったのです。

5月4日のアクシデントがあった以後、ニコプロ一週間から帝王の姿が消えました。私の左隣へ当たり前のようにあった大きな大きな体の存在感は、あれから4ヵ月が経とうとしている今もかすかなぬくもりのように残っています。

 

休みに入った以後も、ニコプロはオープニングVから髙山さんの箇所を抜いていません。出演時には毎週豊富なコレクションの中から着てきたTシャツを紹介していたのですが、それも私が引き継いでいます。髙山さんほど多くは持っていないので、ネタが尽きた頃には戻ってきてほしいという願かけでもあるのです。

 

でも…今の我々には、それぐらいのことしかできません。本当にたくさんの選手、関係者がなんとか力になりたいと思っています。でも現時点では、まだその段階ではありません。力になれる日が来るのを待ち続けるしかないのです。

 

あれ以来、一日で髙山さんのことを一度も思い浮かべなかった日はありません。私のような人間でさえそうなのですから、ご家族の辛さを察すると心が痛みたまらなります。そして何より、今なお孤独な闘いを続けている帝王の気持ちを想うと、何もできない無力さが情けなくて情けなくて。

「髙山は帝王です! 僕だってここまで回復してリングに戻ることができたんです。髙山、絶対大丈夫だからな! 負けるなよ!」

 

8月14日におこなわれた「カッキーライド」のエンディングで、垣原賢人さんは何度も帝王の名と「大丈夫」の言葉を口にしました。それは挨拶という形式的なものではなく、とめどなく体のそこからあふれ出てきて抑えきれぬ思いのたけでした。悪性リンパ腫と今も闘いながら、奇跡的な回復を遂げ夢にまで見たリングへ還ってきたのに、自分のことではなく盟友の力になりたいと泣きながら叫んでいる。

 

 

私はプロレスを通じて「人間は他者のために動いた時、とてつもないパワーを発揮する」ことを教わりました。これまで自分のために闘ってきた垣原さんは、その強さを髙山さんへの思いに乗せて使おうとしています。思いは無形のものであるからこそ、時空を超えて伝わる…そしてそれこそが今、私たちにできることなのだと信じています。だから皆さんも――。(2017年8月28日・記)

 

 

【関連エントリー】

365日続いた闘いと思い。そしてこれからも――

 

【髙山善廣選手の応援よろしくお願いします】

プロレスラーの髙山善廣選手が2017年のDDT5・4豊中大会試合中に負傷し、頸髄完全損傷という診断が下され現在、肩から下が動かない状況の中、厳しいリハビリ、ケガと闘っております。そんな髙山選手を応援する会「TAKAYAMANIA」が起ち上げられ、各プロレス団体協力のもと試合会場にて募金箱の設置、応援グッズ販売、支援イベントなどがおこなわれています。活動状況は髙山選手の公式ブログ https://ameblo.jp/takayama-do/ にて随時更新されていきます。当ブログを閲覧された皆様のご協力を、心よりよろしくお願い申し上げます。皆様からご協力いただきましたご厚意は、髙山選手の治療費等に寄付されます。ご賛同いただける方は、下記口座及びクレジットカードに募金をお振込いただければ幸いです。

 


 

〔銀行振込〕
★三菱UFJ銀行代々木上原支店
店番号137
口座番号:普通預金 0240842
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★みずほ銀行渋谷中央支店
店番162
口座番号:普通預金 1842545
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
★三井住友銀行渋谷支店
店番654
口座番号:普通預金 9487127
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア 代表・髙山奈津子

※通帳は髙山選手の奥様がお持ちになられています
〔クレジットカード〕
日本語:https://secure.koetodoke.jp/form.php?to=13
ENGLISH:https://www2.donation.fm/takayamania-en/
〔TAKAYAMANIAお問い合わせ〕 
takayamania.staff@gmail.com

BGM:純烈♨️ダチョウver.「白い雲のように 」

 

「今度の渋公は見ておいた方がいいですよ」

 

11・26純烈LINE CUBE SHIBUYA公演の4日前、スーパー・ササダンゴ・マシンのインタビュー取材をしたさいそう言われた。紅白歌合戦8年連続出場グループの“大場所”にあたるステージの脚本を担当し、その4日後には団体最高峰のタイトルに挑戦するというふり幅をこなせるのは、地球上でこの男だけである。

 

明治座や御園座といった長期にわたる公演は脚本家の村上大樹氏が構成・演出を担当するのに対し、ササダンゴは日本武道館、NHKホール、そして渋公というように“ワンマッチ興行”の台本を書いてきた。もちろんそこには小池竹見氏による演出と、狂言回しとして今林久弥氏の存在が不可欠なのだが、今や完全に純烈はこの2つの持ち駒を確立させたと言っていい。

 

プロレスの興行においてもササダンゴは一話完結タイプで、常に違うネタをぶっこんでくる。表現手段として同じ手法を使うことはあっても、作品にした時点で別の形を求めてしまう性分なのだろう。だから“連載作家”になろうとはしない。さすがに長年のつきあいだからか酒井一圭はその特性がよくわかっており、村上氏との棲み分けを見事に成立させている。

 

今回もササダンゴが脚本と聞き「じゃあ、マッスル的なものが見られるな」程度の考えで足を運んだ。考えてみれば純烈が3人体制になってからは、今回が初めて見るステージだ。

 

ちょうど1年前は夢の日本武道館初進出で、歩んできた歴史そのものが作品になるという実に秀逸な脚本だった。その後は岩永洋昭の卒業、ドキュメンタリー映画『死ぬまで推すのか』公開といった話題こそあったものの、ここ数年と比べると地道に純烈で在り続けてきた一年との印象だった。

 

渋公公演はササダンゴが台本を書くだけに、コロナ時の“観客1人ライブ”やリーダーが何も知らされていない状態での進行、熱湯風呂など毎回なんらかの仕掛けがある。今回は、2023年10月に発表された「セカンドチャンスオーディション」で採用された4人の初披露の場だったのは、各メディアで報じられている通り

 

オーディションに合格したメンバーは1年弱のダンスレッスンやボイストレーニングを積み、初めて観衆の前に立った。事前予告なしはインパクトこそあるが、いきなりの高いハードルである。

 

4人中2人は戦隊モノへの出演経験があるとは言え、ライブとなると緊張の質も違うはず。だが、この起用はいかにもプロデューサー・酒井一圭のやり方だなとも思えた。世に発信する上での戦略であると同時に、本人たちに「純烈の弟分とは、なんぞや」とうものを初っ端から植えつけるのが狙い…そう受け取ったからだ。

 

純烈を続ける上で「できる、できない」という選択はない。あるのは「やる」のみ。実際、芸能未経験の大学生だった後上翔太は常にその不文律と向き合い、成長していった。

 

「やる」一択の中で「なんでもやる」というグループの姿勢が養えた。スタートはムード歌謡グループだったのが、今や純烈が一つのジャンルそのものとなっている。

 

「お客さんに楽しんでもらうためなら、なんだってやるのが純烈」――そんなことは、改めて声高に唱えずとも世間にまで伝わっている。実はそれこそが、自分たちで育んできたイズムなのだ。

 

それは『純烈物語』を執筆していた頃から、常に感じていたことだった。にもかかわらず、連載の中で“純烈イズム”という言い回しは使わないようにした。

 

おそらく、一度も書いていないはず(あったらごめんなさい)。なぜならその言葉は記事先行ではなく、酒井自身の口から明確に発せられるべきだと思っていたからだ。

 

一年365日、純烈を追い続けているわけではないからどこかで言っている可能性の方が高い。ただ、私自身は取材やコンサートのMCで聞いた記憶がない。おそらくだが、本人の中ではとっくの昔に“イズム”と呼ぶにふさわしいものが確立された手応えを得ているはずなのに、だ。

 

「サカイJr.」「ケンケン」「おヨネ」「じん」と紹介された4人…グループ名「モナキ」は、純烈がデビュー時にはできなかったであろうレベルでステージをこなした。3人の先輩とササダンゴ、今林氏とともにラウンドも経験。ファンの熱量をダイレクトに感じるという意味で、これも重要な儀式だった。

 

4人にはこの日、かけられた言葉の一つひとつを生涯忘れないでいただきたい。舞台を終え、彼らが純烈の弟分としてデビューすることを酒井が紹介。その中で、自分たちと苦楽をともにしてきた山本浩光マネジャーが、所属事務所の専務職に就いたにもかかわらず「俺、この4人とやるわ」と名乗り出たと明かした。

 

あの売れなかった頃の健康センターやキャバレー回りを、自分で車を運転し若いメンバーたちと全国を巡る覚悟でいるというのだから、相当なものである。もう一度、苦労をしてでも4人に賭けてみたいと思わせる何かが、モナキにはあるのだろう。

 

「このまったく名前もわからない人たちが、ここからどうなっていくのか。純烈とは全然違う成長の仕方になっていくし、今日も漫才やったことない人が人前で漫才をやることになって頑張った。でもこれがきっかけで、のちのM-1チャンピオンがここにいるかも知れない。なんでも前向きにやるからって仕事をくれた方と仲よくなって、また次も呼んでもらえるようになった純烈のように、また次も呼びたいと思ってもらえるように、ずっと踏ん張ってやる…そのイズムは、純烈と一緒やと思うし。彼らも積極的に、いろんなことを失敗しながらでも喜んでもらえるようにっていう思いを含めて(のモナキ)です」

 



「純烈イズム」という言い回しこそしなかったものの、酒井の口からそれと同義の言葉が聞かれた。そうか、ここで言ったか。

イズムとは後進に継承されてこそ、価値あるものとなる。これまでは純烈とともに何かを形にする人たち、あるいは酒井らの姿勢を見た上でメンバーに加わった岩永の存在もあったが、純然たる伝承されるべき者はモナキが初となる。

 

しかるべき時が来るまで、多用することで陳腐にならぬよう意図的に使わなかったのでは…早くも4人をいじって観客を笑わせる酒井の顔を見ながら、そう思った。

もちろん、現時点のモナキはまったくの未知数だ。純烈の弟分という看板が重荷になることもあるだろうし、また比較される宿命をスタートの時点で背負っている。

そんな無の段階ではあるが、見たところ物事を楽しむ姿勢は備わっているように見受けられた(各自、タグが豊富なのもつかみはOK)。ファンの楽しむ顔に喜びを感じ、そして一緒に楽しむことでやり甲斐を見いだす。ともに歩んでいく大切さは純烈を見て学んでいるはずだから山本さん同様、そこに賭けてみたくなった。

 

ところで…なぜに漫才?と思ったオーディエンスもいたことだろう。ササダンゴはプロレス興行の「まっする」でもプロレスラーに漫才をやらせている。そこで選手たちは、闘う時とは違った形で生身の自分をムキ出しにした。

コンビという形の中で求められる呼吸や間合い、発想とセンス。漫才にこそ、人間力が出る…そんな位置づけのようだ。ちなみに、漫才へチャレンジした当時は団体の若手だった選手のうち、一人は今年の新日本プロレス「G1 CLIMAX」を制覇し、現在はIWGP世界ヘビー級王者として世界中を駆け巡り、もう一人はササダンゴが所属するDDTプロレスリング最高峰のタイトル・KO-D無差別級王座とDDT UNIVERSAL王座の2冠王に君臨している(それにササダンゴが渋公の4日後、挑戦)。その2人も、スタートは名もなき男たちだった――。

2025年も残り2ヵ月を切りましたが、皆様はいかがお過ごしでしょうか? 私の方はこの2、3年のライフワークでした『髙山善廣評伝 ノーフィアー』と『虎ハンターの美学』執筆を完遂させ、ようやく一息つけたところですが、先週よりくいしんぼう仮面選手のnoteにて週一連載『くいしんぼう仮面!万才』がスタートし、しばらくはそちらが中心となりそうです。

 

とはいえ、時間的に多少は余裕ができたので諸々のイベントを入れたところ、この11月と12月でけっこうな本数となりました。そこでブログエントリーの方にまとめましたので、興味あるものがございましたら各詳細に飛んでいただくか、当ブログメッセージボードをご参照の上、ぜひお越しください。

 

〔11月〕

闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason6 EXTRA~タイガースマスクの大阪プロレス講座」
★11月27日(木)巣鴨・闘道館(18:30開場/19:00開始)

〔出演〕タイガースマスク(大阪プロレス)
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り4000円、当日4500円
〔プレミアムツーショット撮影権〕1人1000円

〔内容〕
・開演前:鈴木健.txt余興演奏
・第1部:タイガースマスクによる新生大阪プロレスのプレゼントーク
・休憩時間後、プレミアム撮影会
・第2部:タイガースマスクお任せタイム
・質問コーナー、プレゼント抽選会
〔イベント詳細〕https://toudoukan.com/blogs/event/20251127_versus_ex

 

 

闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason6 Vol.69~吉田綾斗10周年記念トークライブ:喋りもATDK」
★11月29日(土)巣鴨・闘道館(16:30開場/17:00開始)

〔出演〕吉田綾斗(2AW)
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り3500円、当日4000円
〔プレミアムツーショット撮影権〕1人1000円
〔内容〕
・開演前:鈴木健.txt余興演奏
・第1部:NEX4→新日本での経験→2AWのエース→反体制→そしてATDK…10年間の変遷史
・休憩時間後、プレミアム撮影会
・第2部:昨今の自身に対するファンの反応、周囲の受け取り方に関する言い分、そして11年目へ
・質問コーナー、プレゼント抽選会
〔イベント詳細〕https://toudoukan.com/blogs/event/20251108_versus69

 

 

〔12月〕

闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason6 Vol.68~MEN'Sテイオー×男色ディーノ東西学プロ両巨頭対談」
★12月6日(日)巣鴨・闘道館(16:30開場/17:00開始)

〔出演〕MEN'Sテイオー(UWF関東学生プロレス連盟東海大学出身)、男色ディーノ(DDTプロレスリング/OWF大阪学院大学プロレス研究会出身)
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り4000円、当日4500円(スリーショット撮影券つき)
〔プレミアムツーショット撮影権〕1人1000円
〔内容〕
・開演前:鈴木健.txt余興演奏
・第1部:関東と関西の学生プロレスそれぞれのルーツ、文化の違い。あの学プロ出身者のアマチュア時代
・休憩時間後、プレミアム撮影会
・第2部:学プロ出身者がプロになってみたら。MEN'Sテイオーと男色ディーノ、それぞれのお互いに対する思いのたけを語る
・質問コーナー、プレゼント抽選会
〔イベント詳細〕https://toudoukan.com/blogs/event/20251019_versus68

 

 

BAR & FIGHT地下闘技場Presents「地下闘市場vol.4」
★12月9日(日)歌舞伎町・地下闘技場(16:00開店&開始)

〔入場料〕フリーマーケットにつき無料
〔出品者〕
・オバヒロ&セイちゃん:雑貨など
・セリカ様:手作り革小物など
・伊東かんふー:書籍、VHSソフトなど
・はるか嬢:手編みのニット作品
・ヨーデル:ゲームソフトなど
・鈴木健.txt:プロレスTシャツ、お宝プロレス雑誌、パンフレット、10分間お試しインタビュー(10分500円でインタビュー後日、タイトルと本文をまとめテキスト化してお送ります)

 

 

闘道館presents闘道館presents「鈴木健.txt対決シリーズSeason6 Vol.70~おしゃんぴー!ザ・グレート・サスケの大予言2026」
★12月14日(日)巣鴨・闘道館(15:30開場/16:00開始)

〔出演〕ザ・グレート・サスケ(みちのくプロレス/ムーの太陽)
〔進行〕鈴木健.txt
〔入場料金〕前売り4000円、当日4500円(ムーの太陽へのお布施代込み)
〔内容〕
・開演前:鈴木健.txt余興演奏
・第1部:流行語は「おしゃんぴー!」…昨年おこなったありがたい予言の徹底検証
・休憩時間後、参加者全員とのツーショット撮影会
・第2部:来年の世の中とプロレス界が丸わかり!サスケの大予言2026
・ザ・グレート・サスケ ミニライブ
〔イベント詳細〕https://toudoukan.com/blogs/event/20251214_versus70

 

 

BAR & FIGHT地下闘技場Presents「yu@ a.k.a S様 P-NIGHT with .txt」
★12月19日(金)歌舞伎町・地下闘技場(18:00開店/19:00開演)

〔出演〕yu@ a.k.a S様(BASS)
〔ゲスト〕鈴木健.txt(SYNTHESIZER)
〔入場料金〕通常営業中につきイベント入場無料:飲食チャージ1000円+2オーダー(投げ銭制)
※お店は開店(18:00)から飲食のご利用ができます。ライブ中の出入り、ご注文は自由。イベント入場料はありませんので、飲食と出演者への投げ銭のご協力をお願いします
〔予約〕地下闘技場 X DM

〔問い合わせ〕地下闘技場(TEL03-6205-6264)

 

 

BAR & FIGHT地下闘技場Presents「GO!GO!新根室Night Vol.11~アンドレザ・ジャイアントパンダと添い寝撮影会」
★12月26日(金)歌舞伎町・地下闘技場(19:00開店&開始)

※イベントの都合上、開店まではお店の入り口に集まらないよう、よろしくお願いします
〔出演〕アンドレザ・ジャイアントパンダ(新根室プロレス)
〔進行・コメンタリー〕鈴木健.txt
〔参加費〕3000円+1オーダー

〔予約〕地下闘技場 X DM

〔問い合わせ〕地下闘技場(TEL03-6205-6264)
アンドレザは全長3mの巨大パンダゆえ天井が低い地下闘技場には入店できませんが、それを逆手に取りリング上でファンの皆様に添い寝していただき撮影します。撮影会後は、新根室プロレス旗揚げ戦の貴重映像を上映

 

 

「チェックマンと魔神のためのプロレス・トークライブ32~君は…南大塚に咲く一輪の花~」
★12月28日(日)大塚・Welcome back(15:00開場/15:30開演)

〔出演〕ドクター水上、 登坂栄児、 橋爪哲也、志生野温夫、鈴木健.txt
〔ゲスト〕コマンド・ボリショイ、 中森華子(PURE-J女子プロレス)
〔入場料金〕前売2900円、当日3400円(要1ドリンク代600円)
〔発売場所〕Welcome back HPチケット予約フォーム

〔イベント詳細〕https://x.gd/4tdbe

 

 

以上、すべてのお問い合わせは鈴木健.txt Twitter DM及びFacebookメッセンジャー、kenpitsu.txt@gmail.com でも受け付けます。イベント進行、MCのご依頼もそちらまでお願い申し上げます。また、1月もトークイベント及び音楽ライブを予定しています。11月中には告知いたしますのでお待ちください。それでは年末にかけて一緒に楽しんでいただける方々との出逢いを心待ちにしております。

BGM:Carl Douglas『Blue Eyed Soul』

 

本日10月21日、玄光社より小林邦昭さんの生涯をご自身の証言とともに綴った『虎ハンターの美学』が発売となります。すでに当ブログでもその告知と発刊にいたる経緯を書きましたが、ここでは書籍として出せたことに対する思いを語らせていただきたく思います。

 

本書は小林さんについての一冊ですから、鈴木健.txtの私的な話は「あとがき」に留めています。唯一、本章の中ではフィッシャーマンズ・スープレックスをリアルタイムで目撃したファンの立場から、それにまつわるエピソードを書いたぐらい。ただ、全体から抑えきれぬ“虎ハンター愛”はにじみ出てしまっていると思われます。

 

それと同じぐらいにこだわったのが、マーシャルアーツパンタロンについての細かい記述。どの試合でどのタイプ(赤と黒の2種類が代表的ながら、入っているラインの色がそれぞれ違う)を着用したか、記憶をたどったり当時の記事を確認したりして日本凱旋帰国前のメキシコ時代までさかのぼり「パンタロン史」を文献としました。

 

一般的には小林邦昭の闘いの歴史というと、タイガーマスクのライバル時代と誠心会館勢との抗争が代表的なものとしてあげられると思われます。でも、その足跡をつぶさに検証すると史実的には大きくクローズアップされていないところで、実はソウルフルなドラマがあったことが掘り起こされました。中でも平成維震軍時代、野上彰(現・AKIRA)選手と繰り広げた試合の中で、小林さんはプロレスに対し新たな価値観を見いだせたことがうかがえました。

 

またメキシコ修行時の記録も、今のようにネットを通じてすぐ情報が入ってこない時代だったため当時は断片的にしか記事になっておらず、それを“ドクトル・ルチャ”こと清水勉さんのご協力を得て発掘する作業がとても楽しかったです。調べれば調べるほど、当時の小林さんがメキシコで残した実績の凄さがわかりました。

 

そうした内容に関してはとにかく読んでいただきたく思うわけですが、本書を上梓するにあたって嬉しかったのは小林邦昭さんとの共著という形にしていただいたことです。ファンになった自分をプロレスから脱することができぬところまで引きずり込んでくれた方と永遠に名を並べるわけですから、光栄などという既成の言葉では追いつきません。

 

あとがきにも書きましたが、あこがれの存在と同じ業界に長くいながら私は本書の製作へ携わるまで小林さんとの接点はほぼありませんでした。それがなんという運命なのか、虎ハンターの功績を後世に残すための本を書く使命を仰せつかったのです。

巻頭に掲載された小林さんと佐山サトルさんの対談から取材は始まったのですが、その席でお二人とのスリーショットをカメラマンさんに撮影していただきました。以後、小林さんへの単独インタビューでは仕事に徹する必要があったため写真をお願いしていません。

 

だからこのカットが生涯唯一の、小林さんと撮らせていただいたものとなりました。何人(なんびと)たりとも入り込めぬお二人の関係性を思えば、その間にはさまるなどおこがましいのですが(本書には掲載していないアザーカットです)、完成できたことを小林さんにご報告する意図で公開させていただきます。

 


▲2023年12月23日、帝国ホテル「中国料理 北京」にて

あとがきでは「私が愛した小林邦昭に伝えらなかったこと」と題し、本書が完成した時にご本人へ明かそうと決めながら果たせなかった事実を書いています。そう…そうなんです、おそらく本書の完成を誰よりも楽しみにしていたのが小林さんだったのに、ご本人に読んでいただくことがかなわなかったんですよね。

 

お手元へ届けるさいの「ありがとうございました」も言えなかった。だからこのショットを見るたびに、その言葉を唱えるようにします。

ご本人とともに、本書を心待ちにしていたと思われるのが長女の伶衣さん、次女の彩花さんだったと思われます。小林さんとの別れがあったあと、気持ちを立て直して原稿へ向き合うにあたり支えとなったのが、お二人の存在でした。

こちらが顔もわからぬライターでありながら、出版を止めることなく了承いただいたことを感謝するとともに「小林さんの証が世に出るのを望んでいる」と受け取り、それを原動力とし突き進めたのです。製作後半の段階で、書きあがった原稿に目を通していただいたのですが、その伶衣さんによるご返信はお父様に対する愛情と誇り、そして本に対する熱量が伝わるものでした。そればかりか、大切な思い出である父子の写真もご提供いただきました。

ですからこの作品は小林さんと私だけでなく、虎ハンターが父の顔となった時に愛したお二人も含めた共著と受け取っていただきたく思います。

それ以外にも特別手記(聞き書きではなく、ご自身の手でしたためたもの)を寄稿いただいた齋藤彰俊さんや、アントニオ猪木パネルにまつわる秘話について語っていただいた棚橋弘至選手、そして「小林さんの本のためなら」と対談に応じていただいた佐山サトルさんをはじめ、多くの方々のご協力、ご理解のもとこの書は世に出ます。それらに関してもあとがきに記していますので、最後のページまで一言一句、噛みしめていただきたいです。その全員が小林さんに対する深い思い入れを持ち、私に託してくださいました。

個人的には「自分の手で書きたい」と思っていた中から2人もの功績と物語を、同じ年に書籍として出すことができました。3月に発刊した『髙山善廣評伝 ノーフィアー』と執筆時期が重なったこともあり多くの皆様にご迷惑をおかけしましたが、この2025年は私自身の人生において『週刊プロレス』編集部へ入った1988年に匹敵するほどの特別な年となった気がします。

43年前の10月21日は、虎ハンター伝説が始まる前日です。その日、小林さんは和歌山県立体育館で翌日にタイガーマスクとシングルマッチで対戦するレス・ソントンとの一騎打ちが組まれていたことも今回、記録を掘り起こさなければ知らぬままでした。

翌22日、広島県立体育館にて入場時のタイガーマスクを襲撃したことで、小林さんの人生は劇的に変わりました。43年という歳月が経って自身の行動が本になるとは、想像もしていなかったでしょう。足跡をまとめた一冊ではありますが、生前遺した小林さんの言葉をもとに当時の思いを現在の視点で読み解くと、記録の裏からにじみ出る時代性や物語を味わっていただけるはずです。

そしてそこで得た自身の思いをSNS等を通じ世に広めていただくことによって、小林さんの存在がなおも知れ渡り、語り継がれていくと思うのです。それが小林邦昭という己の美学に生きたプロレスラーを図らずも最後に取材した立場となった人間の、心からの願いです。

 



〔書名〕虎ハンターの美学
〔著者〕小林邦昭/鈴木健.txt
〔発行〕玄光社
〔価格〕単行本四六版288ページ/2200円+税
〔発売予定日〕2025年10月21日
〔内容〕
・はじめに――本書を「追悼本」として書かなかった理由
・写真で振り返る虎ハンター小林邦昭ヒストリー 写真提供:小林邦昭
・巻頭対談~小林邦昭×初代タイガーマスク 佐山サトル
・第1章:虎ハンター紀元前 生い立ち~新日本若手時代
・第2章:メキシコ遠征で残した実績
・第3章:タイガーマスクのライバルとして
・第4章:ジャパンプロレス設立から全日本参戦
・第5章:誠心会館との抗争。そして平成維震軍へ
・第6章:佐山との再会。ダンディズムに殉じた引退
・第7章:猪木のパネルを外した真相と思い
・特別手記:齋藤彰俊「あなたとの出逢いは、自分の人生にとって『宝』でした。」 
・あとがきに代えて――私が愛した小林邦昭に伝えられなかったこと

・小林邦昭vs佐山サトル/初代タイガーマスク シングルマッチ全戦績

 
Amazon https://amzn.asia/d/beKMDSS
玄光社 https://x.gd/PJDM2
PC、スマホやタブレットで読みたい方は電子書籍でも購入できます
Kindle https://x.gd/9KVRY
楽天Kobo https://x.gd/1pyhf
BOOK☆WALKER https://x.gd/Yie3Q

BGM:筋肉少女帯『日本印度化計画』

 

その昔、ベースボール・マガジン社が水道橋にあった頃、昼ご飯は駅周辺よりもむしろ神保町にまで足を伸ばしておりました。まだカレーの街と呼ばれる前からカレー店がひしめき合い、その中で三大利用店が共栄堂とキッチン南海(正しくは洋食店だがカツカレーが人気)と、そして「まんてん」でした。

 



私の中ではベスト・オブ・カレーが共栄堂のスマトラカレーのため、利用頻度はダントツなのですが、若き日の月末絶賛金欠状態の時は他店に比べてリーズナブルなまんてんに助けてもらったものです。ここは近くにある明治や専修の学生さんたちに長く愛され続け、お値段も学生向けなのです。

退社以後は一度もいっていなかったのですが「今も残っているのかな」と思い立ち、たぶん20年ぶりぐらいにいってみたところ、やっていました! しかも、当然ながら当時からは値上がりしているものの、今の物価高を思えば肩を叩いてお礼を言いたくなるような良心価格。

何より小さい頃の追憶を再現したかのような日本のカレーそのものの味は、際限なく派生する現代の風潮においては懐かしくも逆にオリジナリティーを感じさせてくれます。挽き肉が入ったルーであっても、いわゆるキーマカレーとは別モノの感覚なんですよ。

まんてんならではのシュウマイカレーと迷いましたが、かなりお腹が減っていたため揚げ物補給指令が脳から出てしまいました。私のあとに入ってきた4人の外国人さんグループは、メニュー表をスマホで撮り、画像を英訳できるアプリを使って「カツカレヨッツ」と弾むように注文。その隣に座っていた私とカツカレーの懸け橋が成立しました。

名物だった食後のエスプレッソはもうやっていないようでしたが、満足度は満点のまま。とにかくこういうお店はずっと続いてほしいです。

食べたあと、意外にも紹介していなかったと気づく。てっきり一度あげていたとばかり。というわけで、いまさらながらのまんてんです。

 

BGM:矢野顕子『おいしい生活』

 

「BUTAKIN」さんは以前からInstagramやYoutubeのショート動画に出てくるたび、いきたいと思っていたんですよ。というのも、ニラまぜそばのヴィジュアルインパクト(画像BUTAKIN Xより)と、それによって膨らむ期待感が凄まじく「体重が〇kgまで下がったら」と自ら条件を課し、その域に達するよう励んでいたわけです。

 



そうこうしているうちに、ニラまぜそばをやっていた御茶ノ水店が終わってしまい、代わりに歌舞伎町店が7月にできました。我が生活圏内に入ってきたことでよりいきやすくなったわけですが、新店舗のメニューにニラまぜそばはなく、今は六本木店までいかなければありつけないそうです。

とはいえ、せっかくできたのだからといってまいりました。ここ最近、歌舞伎町ではもともとあったラーメン二郎歌舞伎町店に「豚に恋してる」(通称・豚恋)が加わり、さらにBUTAKINも登場と、時ならぬ二郎系戦争が勃発中なのであります。

まだ目標体重まで到達していませんが、夜ではなく昼ならいいだろうと向かい、注文したのは小ラーメンアブラ増しに生卵とガリマヨのトッピング、そして必需品のライスです。

 



歌舞伎町店さんは現在、ほぐし豚のみとなっており二郎系のデフォルトであるあの塊のようなブタではありません。でもこれが麺と一緒にスルスル入ってくるし、よりご飯のおかずっぽい。ガリマヨによる味変もいい頃合いだったし後半、満腹直前に生卵へ入れるとK点超え、いけます。

3店の中ではもっともご飯に合うかな(二郎はそもそもライスのメニューはなし)。樋口和貞似のスタッフさんが感じのいい方で「麺硬で」と言っても気さくに応じてくれました。

二郎系って、もともと太麺で硬めにしているところが多いので、麺硬でと告げると「ウチはもともと硬めだけどいいの?」と返されることがあり、何も知らない素人の烙印を押されていると勝手に思ってはちょっと怯むのです。なので、それをすんなりと受け入れていただけるだけでおいしさに直結するわけです。

樋口似のスタッフさん、ありがとう。もちろんおいしかったけど、やはりニラまぜそばもいただきたい。今は開店したばかりだから手が回らないと思われますが、いつかは歌舞伎町店でもニラまぜそばをやってください。

BGM:Billy Joel『Honesty』

 

現役時代は週刊プロレス記者としてその活躍ぶりを至近距離から見続け、引退後は同じ昭和41年生まれ(丙午)の一人として飲食業という他ジャンルで成功を収める姿に尊敬心を抱く松永光弘さん。みんな大好きステーキ&グリル「ミスターデンジャー」にも3、4ヵ月に一度ぐらいのペースでいかせていただき、戦場のような忙しい中でも必ず厨房から出てきて笑顔で迎えていただいている。

 

▲みんな大好き(大事なことなので2回書く)デンジャーステーキ

 

そんなデンジャー参り仲間でFMW‐W★ING時代からの松永メイニアの友人に、松永さんのライブへ誘われた。自作の楽器による音楽活動を続けていることは存じていたが、なかなか足を運ぶタイミングがなかったのでこれ幸いとばかりに飛びついた。1ヵ月の間に齋藤彰俊さんのトークライブでご一緒させていただいたあと、松永さんのライブを鑑賞するというめぐり合わせですよ、W★INGフリークスの皆さん。

 

当日は別件で東京を離れており、ライブ開始には間に合わずも松永さんの出番である21時には間に合った。初めていく街・中野新橋の駅前にある「中野新橋ゆらゆら酒場」(ゆらゆら帝国から採ったのかなどと想像)が会場。地下1階へ降りると、ちょうど出番前の松永さん、そして共演の雷神 矢口こと矢口壹琅さんがいたので挨拶。中はすでに満席となっていた。

 

どういった音楽性なのか、あるいは本人か歌うかどうかさえも予備知識がないままアーティスト・松永光弘を目の当たりにしたわけだが…正直、ド肝を抜かれた。自作楽器のヴィジュアル的インパクトは当然として、音楽に対するアプローチの仕方があまりに独創的だったからだ。

 

松永さんといえばあまり感情をあらわにせず同じトーンで話す方だが、ライブ中のMCもそのまま。にもかかわらず、一曲ごとに登場する楽器がアヴァンギャルドすぎて、それだけで独特の世界観を構築している。

 

一曲ごとに登場する楽器、と書いた通り同じ楽器は使わない。つまり、セットリストの分だけ楽器が用意されているということである。まず、ド頭からいきなり鎌を弦楽器にしたものを抱える松永さん。ここからはうろ覚えなので、正確な情報を知りたい方はライブに足を運んでいただきたい。

 

▲ミスター・ポーゴ様だったら「楽器じゃねえ、武器と言え!」とどやされそうな鎌による弦楽器。ほとんどデスマッチ用凶器アイテムだ

 

確かその楽器は「ハープ」と紹介されたと思う。実はその前に別の楽器からスタートしているのだが、写真を撮り忘れた。とにかく、ハウリングのような音を出すシロモノだった。で、この鎌ハープに限らず基本、松永さんの楽器は弦楽器or打楽器。要は弦楽器の土台を何にするかだから「やろうと思えばどんなものを使っても楽器にできる」のだ。さらには、叩けばその時点で打楽器となり得る。

 

これらの楽器を琵琶や三味線のように「ベンベラベン」と鳴らしながら松永さんは朗々と歌う。正直、奏でられる音階やメロディーが合っているのかどうかがわからない。外しているようでいて、本人いわく「ちゃんと弾いている」のだ。その証拠に、時たま「あ、間違った」と止まることもある。ただ、素人の我々にはどこが間違ったのか、あるいは何が正しい音階なのかの判別がつかない。

 

そのようなサウンドに乗り、昭和の東海林太郎あるいは関西アンダーグラウンド・ニューウェイヴシーンで知られる女性ヴォーカリスト・PHEWの男版のように朗々と、淡々と歌う姿はあまりにシュール。映えるのは続々と登場する楽器であっても、私はむしろ松永さんのそのスタイルに引きずり込まれていったのだ。

 

▲魚をモチーフにした楽器。これが本当のサカナクションか

 

そして最大の特徴は、楽器にちなんだ歌詞が出てくること。要はダジャレなのだが、だからこそ選曲は楽器ありきとなる。よくもそのワードが出てくる歌を見つけられるものだと聞いたところ「200曲ぐらい聴いてようやく見つけられることもあります」と、隠れた苦労を吐露した。

 

▲シャベルギター。これでフツーに奏でて、歌っている

 

一発芸的な要素があるだけに、長くは歌わずだいたいが1番か2番でその曲を終わらせるところが妙に潔い。そんな調子で『君は薔薇より美しい』『Honesty』『迷い道』といった誰もが知る曲を歌い続ける。FMWにとっては荒井昌一社長の曲という認識の『翼をください』をセレクトしてくれたのは嬉しかった。

▲これはどこかで名産品として売られている民芸品だったっけかな。けっこう手に入れるのに苦労し、ネットを探り続けて入手することが多いとのこと。これもちゃんと音が出る

 

『北ウイング』に関してはW★ING経験者ならではの悲哀を替え歌にし、集まったW★INGフリークスを爆笑させていた。とにかく松永さんの音楽性はユーモアに溢れている。

 

▲これも日本に何台かしかない貴重な楽器を土台としたものだったはず

 

それにしても、よくぞこれほどの楽器を製作したものだと思いつつ、このおびただしい数の楽器をどうやって持ち込んだのかと心配になったのだが、車で運んだらしい。そして普段は自宅とお店に分けて保管しているそうなので、もしかすると店内で目撃するかもしれない。ここまで自作楽器を見せつけられると、もはや松永さんは明和電機や平沢進、あるいは立花ハジメのアルプスシリーズの域にまで達しているのではという気になった。

 

▲ついには脚立による楽器も登場! これをいかにもアーティストという雰囲気で弾く姿に見とれてしまった

 

それにしても、この音楽性はプロレスラーでありながらバークリー音楽大卒でその筋のスペシャリストとしても知られる矢口さんでさえ、通ってこなかったスタイル。ちゃんと音楽を学んだ人間の想像を超えているのだから、凄いことだ。

「でも昔、松永さんにはデスマッチ凶器のアイデアをイラストで出されて『こういうのはどうかな?』ってよく相談されていたんですよ。それとまったく同じアプローチで今度は楽器を作るために絵を描いて見せてくれる。面白いなと思いますよね。デスマッチアイテムと楽器、デスマッチと音楽が松永さんの中では地続きなんです」

 

矢口さんの言葉に深く頷いた。どんなジャンルだろうと、その人のアプローチの仕方は変わらない。だからこそ、オリジナリティーが創造できる。

▲ハンドルを楽器にするなどトヨタや日産でも発想しなかったはず。その意味でミスター・デンジャーはカルロス・ゴーンを超えた

 


▲これは木製のイスを使った弦楽器と打楽器が一体となったもの

 

どの歌でどの楽器を使ったかはメモをとっていなかったので失念したが、一曲を終えるごとに「次はこれ」と別の楽器を出す姿は、あたかも四次元ポケットからそれ以上の大きなものを取り出すドラえもんのようだった。あとで思ったのだが、あれほどスペースをとる楽器の数々を、けっして広くはないステージのどこに置いていたのだろう。ラストの方では『My Way』も歌った。まさにそのスタイルはマイウェイとしか言いようがない。

 

▲ライブの終盤に登場した古時計ギターは、R-1グランプリアマチュア部門で絶賛された自作楽器のエース。サイドにヘッドバットをかますことによって、打楽器にもなり得るスグレモノ

 

ステージでは、同じく自作と思われる「スケベース」(某業界で重宝される真ん中に溝が入ったイスを土台とし、モップの柄と思われる棒を合体させた一弦楽器。これもちゃんと音階が出る)奏者の井上さんとセッションのように演奏を続けたが、本編を終えると矢口さんもステージに上がり3人でアンコールに応えた。矢口さんが正統的にクラシックギターを奏でるその隣で、テーブルを切り抜いたような巨大な楽器をベンチャラベンチャラ演る松永さん。ここまで対極な音楽性とそれまでの道筋にありながらちゃんと成立するのが、音楽というジャンルの懐の深さだと思わずにはいられなかった。

▲基本、朗々と歌う松永さんだが、ノッてくるとこういう感じに。音を楽しむ姿勢が素晴らしい

いやー、本当にいいモノを見させていただきました。ヴィジュアルとしての怪奇派ミュージシャンはいても、自作楽器&シュールさによる怪奇派(これは誉め言葉です)は松永さんぐらいしか思いつかない。そして、デスマッチに殉じた男がなぜここまで自作楽器にのめり込んだのかがわかった気がする。どのジャンルで何をやろうとも、自分というものを持っている人は輝けるんだなと思った次第。


▲プロレスラーとしてではなく、二人のミュージシャンとの撮影をお願いしました

BGM:リック・ウェイクマン『洗脳された部屋PART1』

 

10月21日、玄光社より小林邦昭さんのプロレスラー人生を描いた『虎ハンターの美学』が発刊されます。本書は、追悼本ではありません。当初は、小林さんの証言のみでその足跡を検証し、一冊にする企画でした。


しかし取材を終えて2ヵ月も経たぬ2024年9月9日、小林さんは旅立たれました。本書をご本人にお届けすることなく、我々は突然の別れを迎えたのです。
 

その無念さは、言葉で連ねられるようなものではありません。それでも小林さんが遺した功績の数々、そしてその生き方を文献にし、後世まで伝える意義を思うと、最後に語った“肉声”をお蔵入りとするわけにはいかなかったのです。
 

小林さんが亡くなられた時、メディアを通じて本当に多くのゆかりある選手、関係者からその人柄をしのばせる秘話や思い出、そして飾らぬ気持ちが伝えられました。追悼本として出すのであれば、そうした声を集めるべきですが、それでは生前、ご本人が望んだ形とは違うものとなってしまう気がしました。
 

小林さんに読んでもらうことはかなわずとも、昭和の時代を熱狂させたタイガーマスクとの闘いや平成維震軍としての活躍、さらには引退後のエピソードにいたるまでをご本人の言葉をもとに綴ろう。そう決めました。
 

過去に初代タイガーマスクこと佐山サトルさんに関する書は何冊も出されましたが、そのライバル・小林邦昭個人で一つの作品となるのはこれが初めて。バイプレイヤーとしてのプロレスラー人生を歩み続けながら、主役に劣らぬ存在感をまとい、多くのファンの追憶の中で今なお息づく男の一生を、改めて心に刻んでいただきたく思います。
 

小林さんの生涯に加え、巻頭では永遠のライバル・佐山さんとの生前最後となる対談を収録。お二人の記憶を呼び起こしていただき、若き頃のエピソードを語っていただきました。また、齋藤彰俊さんには聞き書きではなくご本人の手記でお言葉をいただきました。

 

私にとっても小林さんは、プロレスから脱することができぬところまで引きずり込んでくれた存在でした。小林さんの生涯を一冊にする話をいただいた時は、これで一生分の運を使い果たしたなと思いました。

 

現在、原稿の執筆もほぼ完了するところまで作業が進んでおり、一周忌から少しだけ遅れてしまいますがようやくご家族のもとにも届けられそうです。Amazonの予約受付は始まっておりますので、皆様も金曜夜8時の興奮を思い起こしつつお待ちください。

 

 

〔書名〕虎ハンターの美学
〔著者〕小林邦昭/鈴木健.txt
〔発行〕玄光社
〔価格〕単行本四六版288ページ/2200円+税
〔発売予定日〕2025年10月21日
〔内容〕
・はじめに
・写真で振り返る虎ハンター小林邦昭ヒストリー 写真提供:小林邦昭
・巻頭対談~小林邦昭×初代タイガーマスク 佐山サトル
・第1章:虎ハンター紀元前 生い立ち~新日本若手時代
・第2章:メキシコ遠征で残した実績
・第3章:タイガーマスクのライバルとして
・第4章:ジャパンプロレス設立から全日本参戦
・第5章:誠心会館との抗争。そして平成維震軍へ
・第6章:佐山との再会。ダンディズムに殉じた引退
・第7章:猪木のパネルを外した真相と思い
・特別手記:齋藤彰俊「あなたとの出逢いは、自分の人生にとって『宝』でした。」 
・あとがきにかえて:私が愛した小林邦昭に伝えられなかったこと

BGM:The Doors『Light My Fire』

 

9月3日(水)、後楽園ホールにて開催される「TAKAYAMANIA EMPIRE Ⅳ」に関する記者会見がさる7月3日、鈴木みのる選手&石原真マネジャー出席のもとおこなわれました。その中で髙山善廣選手の近況が報告されたのですが、それを聞いて思ったのは現在の帝王にとってのプロレスが、日々の中でちゃんと“楽しみ”になっているなということでした。

 

 

この8年4ヵ月間、リングに上がれぬ無念さや日々と向き合う中でプロレスを視界に入れたくなくなった時期もありましたが、今年に入り公式YouTube chを開設し、積極的に更新するなどより発信へのモチベーションが高まっています。会見冒頭、石原マネジャーから驚くべき進展が聞かれました。

 

「ケガしてからも、髙山のアメブロさんの方で近況などは報告させていただいているんですけど、最近の髙山が写っていたり、何か映画を見にいったよとか今、髙山が自分で打っています。頭にポインターみたいなものをつけて、首を動かしながら、すごいゆっくり、けっこう長文なんですけど。今日も僕に『ブログ上げて』っていう長文が朝から来たんですけど看護師さん、介護の方に言わせると相当な時間はかかるみたいなんですけど、自分でYouTubeを始めたりその環境だったりする中で、今まで僕だったり奥様だったりが病室で本人が喋ったことを文字で起こして『これでいい?』っていう感じで上げていたんですけど、自分でそれも時間かかってもやるという」

 

時間がかかり、そのつど大変ながらも自分で書こうとする意志。そしてそれが可能なまでに回復している事実。やはり昨年の「TAKAYAMANIA EMPIRE Ⅲ」で7年4ヵ月ぶりにリングへ上がり、鈴木みのると対戦したことは髙山選手にとって自身を突き動かすとてつもないパワーになったのだと思われます。

 

それにともない、持ち前の“プロレス頭”も冴え渡ってきたのでしょう。発表されたメインイベントの試合形式が、また帝王らしい見る側の目線と遊び心を感じさせるものでした。一般論でいけば鈴木みのる&柴田勝頼vs丸藤正道&KENTAとなるところでしょうが、それ以外の組み合わせも見てみたい。そうしたファン心理をそのまま“企画”にし、提供するあたりは名プロデューサーです。それこぞタッグマッチとは限らず、鈴木vs丸藤&KENTA&柴田のハンディ戦にすることも髙山善廣ならば大いに考えられます。今大会のサブタイトルは「STRIKE BACK」…帝王はどんな逆襲をするつもりなのか。

 

 

「皆様こんにちは。今年も会場にいきます! 今年はリング上で誰かさんに、いじめられないように気をつけます!」

 

席上で読み上げられた髙山選手のコメントからも、前向きなメンタルにあるのがうかがえました。何より、現時点で「メインは俺、解説でしょ」とABEMA生中継の放送席にやってきてライブで語る気満々なのが嬉しかったです。日本テレビのプロレスリング・ノア中継などで人気だった帝王節が復活するとあればファンも喜びますし、前回までEMPIRE中継の実況をやらせていただいている身としては、隣に髙山選手が座って一緒に喋ることができたらニコニコプロレスチャンネル「ニコプロ一週間」で共演していた時以来となり、私にとっての悲願でもありました。

 

現時点で今年も自分が実況をやるのかは未定ですが、石原さんから「健さんと、と言っていました」と聞かされましたので、8年4ヵ月ぶりの“ニコイチ・ワンナイトスタンド”をぜひ実現させたいです。まずは当日、帝王が問題なく会場へ来られる体調になることを全力で祈ります。

 

▲4度目の開催ということで、このポーズ

 

『髙山善廣評伝 ノーフィアー』も発刊から4ヵ月になろうとしています。この間、多くの方々にご購入、発信していただきました。心より御礼を申し上げます。また、各メディア様のご厚意により著者インタビューも掲載していただいております。いずれも帝王に対し強い思い入れを持ち、支援活動も続けていただいている聞き手の方々に取材していただきましたので、濃密なものとなっています。これらを読んで感じるものがございましたら、ぜひご購入ください。本書の売り上げの一部はTAKAYAMANIAに寄付されますので、ご購入いただくことが髙山選手への支援となります。


【ダ・ヴィンチWeb】聞き手:尾崎ムギ子
“プロレス界の帝王”がリングを降りた日から8年――試合で重傷、リハビリの日々を過ごす髙山善廣を<物語>に刻む『NO FEAR』誕生秘話
【ウェブマガジンVITUP!】聞き手:佐久間一彦
あの事故から8年…“帝王”たる所以を知る一冊「髙山善廣評伝 NO FEAR」著者に聞く
「髙山善廣評伝 NO FEAR」著者が語る“プロレス界の帝王”の人を惹きつける絶大なパワー
【カクトウログ】
ノシ歩いたはずなのに信用を得た男 髙山善廣評伝著者インタビュー前編
曲別DL時代にアルバムを聞く意味 髙山善廣評伝著者インタビュー後編

 

今年もあの特別な空間が現出します。本日6日よりチケット販売開始となりましたので髙山善廣とともにプロレスを楽しみ、他に比類なき場を共有してください。

 

 

髙山善廣支援プロレスイベント第4弾「TAKAYAMANIA EMPIRE Ⅳ-STRIKE BACK-」

★9月3日(水)東京・後楽園ホール(17:30開場/18:30開始)

〔メインイベント〕出場選手:鈴木みのる、柴田勝頼、丸藤正道、KENTA(組み合わせは当日、髙山の独断で決定)

〔入場料金〕スペシャルリングサイド22000円、特別リングサイド12000円、リングサイド8000円、指定席6000円、車椅子シート7500円

※消費税込み。全席指定。当日は車椅子シート以外すべて1000円増し

〔発売場所〕

ローソンチケット https://l-tike.com/search/?lcd=39620 
パイルドライバー原宿(TEL03-6712-5171)
後楽園ホール(TEL03-5800-9999)
※パイルドライバーと後楽園ホールは座席が選べます
〔支援グッズ購入サイト〕https://takayamania.buyshop.jp/
・リングで参加選手と記念撮影できる権
・コーナーマット広告1対
・メインイベント ネーミングライツ&花束贈呈できる権
・セミファイナル ネーミングライツ&花束贈呈できる権
・参加選手サイン入りパンフレット
・大会パンフレットに名前を載せる権

〔主催〕株式会社髙山堂/TAKAYAMANIA実行委員会
〔運営〕株式会社マリブ

〔中継〕インターネット放送ABEMAにて無料生放送予定。中継ゲスト解説:山崎一夫、小橋建太、髙木三四郎、里村明衣子

 

BGM:The d.e.p『Mr. No Problem』

 

「横丁ビジネス」って流行っていますよね。さまざまお店を集結させて、カテゴリの違う料理を一箇所で楽しむことができるという。フードコートとも違った趣きで、どちらかというと昔の屋台村に近いかな。

新宿だけでも東口の「龍乃都」や歌舞伎町タワー内の「歌舞伎横丁」にピカデリー隣の「新宿横丁」など、この数年で続々とできていますし、渋谷や虎ノ門あたりも増えています。そんな中、こちらもピカデリー並びのアドホックビル(1Fが31アイスクリームだったところ)5Fに「re:Dine新宿 ネオヨコチョウ」が6月18日、オープン。

こちらはステーキ、鰻、エスニック中華、北海道は羅臼の海鮮、スイーツ、ハンバーガーショップ、カフェ、クラフトビール、ワイン、日本酒といった数々の専門店がワンフロアに詰まっています。中でも「うな重(しげ)」と「新宿ステーキ」の2店舗は24時間営業(ほかは23時まで)のため、深夜も利用できるというもの。考えてみれば、鰻重とステーキを一度に食べることなんてないので、あえて24時すぎに訪れることにより、ほかを注文しないシチュエーションを作った上で実行しました。

 



どーですか!?この絵ヅラ! まず、鰻ですが、ちゃんとしていましたよ。チェーン店のものとは違いましたよ。これで1980円はいいと思います。

一方、ステーキの方は赤身で自信があるのかタレの味でごまかさず、わさびや岩塩、七味などで味わう。写真は200gですが、深夜であれば100gでも十分かもしれません。サイドメニューで頼んだテリたまよだれ鶏もおいしかったです。

次回は23時前にいってハンバーガーを食べ、パフェで締めたいところ。まあ、いろいろなものがあるので公式サイトでご確認ください。ちなみに現金不可のカード支払いのみです。