にわとり | KENSUKE・A オフィシャルブログ 「SISTER JET」 Powered by Ameba

にわとり

 

 

先日、

裏通りにあるちょっと古びた

いわゆる「昔ながら」の定食屋さんに入った。

 

暖簾をくぐると、店主の気分なのか

それともBGM選曲の誤りなのか、

店内に、2、3組、佇むお客さんとは対照的に

アゲアゲチョキのBGM放送がギンギンに流されていた。

 

そこには

い〜感じに古びたお店の雰囲気と

BGMのムードとの不一致が発生していて、

 

「い〜感じの、おいしそうな定食屋さん」

 

という食欲をそそられる空間は

そのBGMによって完全に崩壊していた。

そしてそれは誰がどう見ても、

どう感じでも、

その空間演出には

「間違い」が発生してしまっている事は確かだった

と思う。

 

そんな空間演出の奇抜さに疑問を呈しながらも、

そのBGMのリズムに背中を後押しされる形で注文した

「カラアゲ定食780円」

をリズムにのってサクサクと食べていた時の事だった。。

 

僕の隣のカウンター席では

「生中」と「単品メンマ」(推測)を注文し、

 

静かに(サイレント)

 

物思いにふけるように(スィンキング)

 

「ほろ酔い」状態

 

つまり

 

「ゆっくりやっている」(スローダウン)

状態のおやじさんがいた。

 

そしてそのおじさんは、

あきらかに店内の空気を読まずに

「タッタッタタッタッタ♪」

と8分の6拍子で刻まれ続ける電磁的なフレーズ、

そのギンギンのBGMに対して突然物申したのであった。

 

ビールを一口喉ごし、机にグラスを戻すと、

 

おやじさんは

 

「マスター!」

 

「なんか、にわとりみてぇーな曲がながれていて煩せえぁァ〜!!」

 

と言ったのであった。

 

たしかに、それは

 

誰がどう聞こうと

 

「鶏みたいな」曲で

 

完全に「鶏みたいなフレーズ」

 

で間違いはなかった。

 

その忙しなく続くフレーズ、

そのフレーズ全体がまるで

 

「クッククッククッククック」

 

と刻むその音全てが、

確かにニワトリ自身だったのだ。

 

つまりニワトリである事に間違いはなかった。

 

「そうだ!そうだ!そうだ!ニワトリだ!」

 

と僕も心の中で深く同意しつつカラアゲに意識を戻し、

 

「に、に、ニワトリ、からの、か、か、カラアゲ」

 

と少し複雑な思いになりながら、カラアゲを食べたのであった。

 

 

 

 

チキンライス

 

グラサン