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ニッカウヰスキー北海道工場・余市蒸溜所


小野寺昭憲オフィシャルブログ - 破壊と創造の記録 --ニッカウヰスキー北海道工場・余市蒸溜所


 北海道は余市町にあります国産ウイスキーの聖地・ニッカウヰスキー北海道工場・余市蒸留所 に行って参りました。


 大正初期、純国産ウイスキー開発の大志を抱いた若干25歳の青年が、シングルモルトの本場スコットランドへ旅立ちました。後に英国副首相から『頭脳明晰なひとりの日本人が、万年筆とノートだけで英国のウイスキー製造技術の全てを盗んで行った』と賞賛された“日本のウイスキーの父”竹鶴政孝氏。


 昭和11年(1936年)の創業以来、今では国の登録有形文化財にも指定されているここ余市蒸留所は、その竹鶴氏が創業した純国産ウイスキー工場であります。本場スコットランドでも珍しくなった石炭による直火蒸溜は今なお健在であり、石窯には70年前と同じ炎が燃え盛っております。


小野寺昭憲オフィシャルブログ - 破壊と創造の記録 --ニッカウヰスキー原酒


 ニッカウヰスキーの公式サイトには「竹鶴物語」 と題された竹鶴氏の紹介頁があります。日本に本格ウイスキーの歴史を切り開いたその偉業は勿論のこと、その中でも私が特に胸を打たれたのは最愛のリタ夫人についての下りでありました。


 竹鶴氏とリタ夫人──スコットランド留学中に恋に落ち、両家の反対に遭いながら半ば駆け落ち同然に結婚したふたり。母国を去り極東の異国で愛する人と運命を共にする決意をしたリタ夫人は、竹鶴氏にこう語ったと云われています。


 『マサタカさんは、大きな夢に生きていらっしゃる。その夢は日本で本当のウイスキーをつくること。私もその夢を共に生き、お手伝いしたいのです』──


 その台詞を目にした時、かつて私も妻に同じ言葉を投げかけられたことを思い出しました。映画とウイスキーと分野は違えど、いつの世も大志を抱いた男の支えとなるのは、死ぬまで共に夢を生きる覚悟を決めたひとりの女なのです。


 数十年のあいだ熟成された琥珀色のニッカをお天道様に透かしてみれば、今は亡き竹鶴氏の飽くなき情熱とリタ夫人の献身的な愛情が零れ落ちてくるかのようです。