新潟大学大学院教授で免疫学がご専門の安保徹先生によると

先生は免疫学を研究する上で、15年前に白血球が自律神経の支配下にあるとつきとめ、病の成り立ちは生き方の問題と関わっていると考えるようになりました。

私たちの血管には白血球が循環していて、ウイルスの侵入と同時に駆けつけ多少の怪我でも感染しない仕組みになっています。実はこの白血球を自律神経が調節しているのです。自律神経は、忙しく無理をしたり、悩みを抱えて苦悩すると偏ってしまう。つまり生き方が偏ると体の中で異常反応が起こり、病につながる。病は気からということです。

 

「高血圧や糖尿病などで薬を飲んでいる人は多いでしょ。でも、これは対症療法であって完治はしない。慢性的な病こそ生き方とつながっているんです。現代人は薬に頼るけどそれでは脱却できない。生き方に無理がないかまずそれを考えるべき。ストレスは心臓や血管に負担をかけます。無論リラックスし過ぎもいけない。ご馳走食べて運動しないと身体能力が低下します。お菓子ばかり食べてゲームしてたら気魄は養われないでしょう。困難に打ち勝つ気魄が足りなくて敗北してしまう」

「楽すれば健康」ではないということですね。現代人は体を動かさなくなりました。

「今は危険な時代です。人類は頭より体を使って生き延びてきたんです。薪割り、水くみ、ぞうきんがけで昔は体を使ってきたけど、今は工夫しないと体を使わない。人間の生きる力は体の能力を維持することなんです。」

「スポーツ選手が極限まで練習したり、宗教家が座禅とか回峰行とか難しいのをやるのはね、本物の安らぎは体を鍛えないと生まれないんですよ」

厳しく鍛えれば休んだときに真の安らぎが与えられるのだとか。

先生は、医学は道徳や宗教と深く絡んでいるとおっしゃいます。

「赦せない気持ち、所有欲、名誉欲は執念深く私たちを悩まします。そういう考え方の偏りが病へとつながるのです」

行きすぎても行けないし足りなくても行けない、まさに中庸を生きるということですね。

「そう、すぐ薬に頼らずにまず自分で工夫する自助、そして周りのサポート共助、最後が医者や薬の出番でこれが手当なんです」

 

KBS京都 アナウンサー 塩見祐子さんより