バガボンド

 

コロナで夜稽古できず、YOU TUBEでバガボンドを見ています。

吉川英治の宮本武蔵も読みましたし、その他の剣道関係本、禅関連の書物、四書、仏教書などたいがい読みました。しかしこの漫画の精神の深さにはかなわない。人間の愛憎や悩み、強さへの執念、そして武蔵が人間として成長してゆく描写になぜこの深みが作者は書けるのか、不思議です。それと描写の間がすごい。武蔵が煩悶してる場面、そして一転して暗黒の夜空、林立する木々、これらの描写がまるで長谷川等伯の水墨画のように武蔵の心を語っている。

作者の井上雄彦氏は小中と剣道を習っていたそうで、まったくの素人では理解できないだろうといった部分についても実によく描写されています。もし難点を言えば刀を持った手の内がもう一工夫欲しいのと、構えた時の姿勢がどうなのかと思います。しかし甲冑剣術から甲冑を付けない直立ちの剣術への移行期のことであり、いったいどうだったのかは不明です。

剣道できない暇なときに読むのがお勧めですね。