中医学には「精血同源(せいけつどうげん)」という言葉があります。
血は肝血虚、心血虚とありこれを補う生薬を中心とした漢方薬で対応します。ですがこれらを飲んでいても血が増えてこなかったり、体全体が衰えていたり、大きな病気になっていたりして血が増えないときに剣契していることが多い言葉です。
意味としては血と精(腎にある体の本質的な物質、遺伝子なども含んでいる)は関係が深く、血と精はお互いに生み出し合ったり血が精に変化したりすることを示すとされています。現代的に考えると腎の精(ホルモン)が血の生成に関係しているというのが一番大事で、腎が弱っていてこの精が不足すると血を作れなくなってしまうということに関係しているように思います。腎臓が造血ホルモンを尿細管で作っていますが、これが一番この言葉に関係している印象です。
血が不足している血虚の人が当帰の配合された漢方薬や酸棗仁の配合された漢方薬で血を増やそうとしてもなかなかうまくいかないときには腎精を増やすような働きのある漢方薬が必要になってきます。
鹿茸やハゲキテンというような生薬を人参や黄耆という生薬などと組み合わせて使うことで腎精を補いつつ血を増やすことがうまくいくことが多いです。
時々相談をお受けする骨髄異形成症候群の方にこのタイプが多く、これに骨髄の周辺の毛細血管の状態を改善するようにする漢方薬を合わせると数値が改善するという方を数名経験したことがあります。
貧血のひどい方でもこの治療をうまく行うと貧血の改善につながっていることが多いです。
よいち漢方 薬剤師 小林