その1では気が下から上への流れが悪くなってしまいふわふわ感が出てくるときの代表的な処方でした。

 

今回は気が上に集まりすぎて下に降りてこなくなったときの処方です。

 

特徴としては、もともと血圧が低かったのに最近度々血圧が高いと言われる、頭痛をよく経験する様になった、目が疲れやすい、目の奥が痛む、耳がボーンとする、天気が良いときに症状が起こりやすい、午後3時頃から夕方にかけて症状が出やすいなどの特徴があります。

 

気が上に停滞してしまい降りてこなくなるのは更年期時によく起こりますし、下半身の血流が悪くなり冷えている状態でも良くのぼせやほてりという症状で現れたりします。

 

この症状は気が巡らずに頭や人間に空いているとされる九つのあなである九竅の目や耳に気が集まりすぎていてバランスを崩しているためにふわふわの症状が起きてくる症状です。

集まっているのが目に見えず、機械でも測ることのできない実態のない気ですから検査をいくら行っても異常なしとしていることが多いです。また気を流すようなおくすりは西洋薬にはないのでここはうまく漢方薬を使いたいところです。

 

気を下げて上がる方法はいくつかあるのですが、代表的なのは熄風(そくふう)という方法です。これは肝血不足という状態があったり腎陰虚というどちらかといえば体質的に貧血や老化が原因になって自律神経が失調しそれに合わせて気が回りにくくなってしまっている状態です。この状態には肝の場合は七物降下湯という処方が代表的に使われます。腎の場合は杞菊地黄丸や滋腎通耳湯という処方が使われます。

またそこまで内蔵的なバランスの崩れが起きていない場合には羚羊角や琥珀、竜骨、牡蠣といった生薬の配合のある薬剤を頓服的に使ったりもします。

肩こり等がある場合には紫蘇や香附子の配合された香蘇散などを組み合わせて使うこともあります。

どの薬が良いかを選ぶには経験的なコツが必要になるので漢方に詳しい人に選んでもらうとよいです。

 

よいち漢方 薬剤師 小林