年を取ると肺の衰えや心臓の衰えで息苦しさが出てきたりします。

胸のあたりの呼吸に関係する力と血液を体の隅々まで送り込み、酸素を運ぶ赤血球を巡らせる力とそれぞれの力の衰えと解釈されることが多いです。

 

加齢によっておこる息苦しさを漢方的には腎の衰えによって呼吸がうまくいかなくなるという解釈があります。

 

漢方や中医学を勉強し初めに五臓六腑を学びますが、この中で腎を勉強すると次のような言葉が出てきます。

 

「腎は納気を主る」(じんはのうきをつかさどる)という言葉です。

 

この言葉の意味するところを漢方や中医学を勉強し始めた方に教えるのは本当はとても難しいです。呼吸に腎臓や内分泌や生殖に関係するところがどのように解釈するかが難しいからです。

 

ですが腎のは働きは人体の構成要素である細胞の中で遺伝子からたんぱく質や酵素を作る働きを含んだ概念であり、腎は細胞内での生命活動と解釈すると先の「腎は納気を主る」という言葉が見えてきます。

 

呼吸には肺や心臓、血流によっておこる外呼吸と酸素が細胞まで運ばれ、細胞の中に取り込まれ、二酸化炭素が細胞内から出てくる「内呼吸」とに分かれます。

 

どうも昔の漢方のお医者さんたちはこの二つの呼吸を分けて考えていたのではないかと思います。

 

今呼吸に関して機械などで測定できるのは外呼吸に関係するところまでです。細胞内にどれぐらい酸素が取り込まれ、エネルギー産生に関係しているかは概算的にしかわかりません。

 

老化や慢性疾患によって息苦しさが出ているときには漢方的な腎というのの衰えが関係していると考えて補腎ということを適正に行うと息苦しさが改善します。実際に店頭でも補腎を中心に息苦しさの治療を行って楽になっていく方がおられます。

体を少し深く考えると難しい症状を楽にしてあげることができます。

 

よいち漢方 薬剤師 小林