時々お客さんから相談を受けるのが、高齢になられた方の腰椎などの骨折の相談。転倒や足をすべらせたりして尻もちをついて腰の骨を圧迫して骨折したり、手首などの骨を骨折したりしていている相談。また家族の方が運動していて骨折をしたので、すこしでも早く治すおくすりはありませんか?という内容です。

 

もちろん病院で固定していたり、コルセットで固定したりしていますが、骨やその周辺の筋、筋膜などの損傷を早く治すということはほとんどの場合されていません。

消炎鎮痛剤や湿布薬で対応となっていますから、治るのを気長に待つということになります。

 

骨折に対しては漢方薬や保健薬を使うと早く回復していきます。

 

漢方薬として

 

漢方薬としては骨折の場合、その周辺に悪い血のうっ血ができていると考えて、この血流を良くすることをまず考えます。この治療を少しの期間腫れが引くかうっ血が取れるまで行います。

代表的なおくすりは、治打撲一方(じだぼくいっぽう)や通導散、桃核承気湯といった処方になります。体力のある方は大黄という生薬の入った処方で少し下痢をさせます。これは漢方の治療の一つで瀉法(しゃほう)という治療法で、下痢を起こすことで損傷部位の血行が促進され新陳代謝が活発になるとしています。

大黄の反応性が良い方や胃腸が弱い方には桂枝茯苓丸や三七人参を使うこともあります。

これに腫れが酷いときには黄連解毒湯という処方を併用したりします。

 

骨や周辺の筋肉、筋膜の修復促進に

このときは黄耆という生薬のはいった薬剤をよく使います。帰耆建中湯(きぎけんちゅうとう)が代表的な処方になります。高齢者で痩せている方によく使う処方になりますが、若い方でも虚弱体質の方に使います。

骨はカルシウムやリンというミネラルにコラーゲンが骨格となってできているので、ミネラルの代謝を上げてくれる鹿茸(鹿の角の先端)を併用すると早く骨折が回復していきます。

 

保健薬として

保健薬として、漢方薬と併用するのが「アルカリ性液体のカルシウム剤」です。このカルシウム剤は錠剤タイプのカルシウム剤よりも吸収率が良いことが特徴です。またこのカルシウムには骨の再生を促すカルシトニンというホルモンの分泌も促進してくれます。多くの方がこれを服用しだすと痛みが和らいだといわれます。

またコラーゲンの補給にはコラーゲンやエラスチン、ハスカップなどの配合された健康食品を併用していくと大変よいです。

 

現在も数名の方が服用中ですが、これらの服用で骨密度も上昇している方もおられます。

 

よいち漢方 薬剤師 小林