ブログ投稿をしばらく休んでいる間に多かった相談が頻尿の相談です。

「おしっこに何度も行きたくなり、膀胱炎かとお医者さんにかかったけど菌は出なくて、炎症はないと言われた」という方の相談です。

あるいは八味地黄丸や五淋散を服用したが、治りきらないという相談もあります。症状が続いている方の中には、おしっこのことが気になって外出ができないとかバス旅行ができない、トイレのない電車には乗れないとか常にトイレのことを気にしていて辛いと言われる方もあります。

私のところに相談に来られる方はお医者さんでの治療がうまくいっていない方が多いので、経過をお聞きしているだけでも日常の大変さが伝わってきます。

 

漢方薬等のなかで尿意がなかなか良くならないときに使う処方はいくつかあり、その中から自分の体質や症状にあったものを服用すると良くなっていくことが多いです。

 

よくあるのは筋力の低下から内蔵が下がってしまい、膀胱周辺が緩んでいて尿はさほど溜まっていないのに尿意を感じてしまうという方です。

この場合、筋肉弛緩でも全体的に緩んでいる方と一部緊張している方というのがあります。

全体的に緩んでいる方の場合は、胃下垂などの体質的なことが多く、これは内臓を引き上げる働き(中医学では昇堤作用(しょうていさよう))という効果のある処方を使います。補中益気湯という処方が有名ですが、多くの場合、この処方にカルシウムや亜鉛といったミネラル剤を併用することで症状がよくなっていきやすいです。

一部が緊張しているときには食欲の低下を伴ったり、体重の減少を伴っていることも多く、少し神経が参ってしまい体力が低下していることがよくあります。最近受けた相談では長年便秘薬を常用していたが、効きが悪くなったのでもう少し強い下剤を使ったところ下痢が止まらなくなり脱水状態になり緊急で入院した時頃から頻尿感が止まらず体重の減少や食欲低下が激しくなり、体力がおちて家事もできなくなったという相談です。漢方的には脱虚という状態かなとおもわれる例です。

このような方には小建中湯(しょうけんちゅうとう)を中心にしてあとは体重減少を回復させるような処方を一緒に使って上げると良くなります。先程の相談の型の場合服用後1ヶ月ほどで尿意がかなり薄れてきて、3ヶ月で家事もだいぶできるようになってきたとのことです。

 

また膀胱周辺が痩せてきて頻尿になるというかたもあります。膀胱の筋肉は延びると2リットルぐらいの尿を貯めることができるのですが、その膀胱の筋肉に栄養を送る血管が固くなってしまって膀胱が十分に伸びないようになっている方も多いです。これは男性・女性問わず多くおられます。頻尿でよく飲まれている八味地黄丸にもこの血管の状態を改善するために牡丹皮や桂枝という生薬が配合されていますが、血管の硬化が進行している方の場合はやはり別の処方を併用したほうが良いです。

 

よく使われるのは丹参の配合された製剤や補陽還五湯(ほようかんごとう)という処方です。特に補陽還五湯は血管を柔らかくしつつ毛細血管への血液のめぐりも良くしてくれるのでとても良い効果が出ます。店頭ではこちらの薬剤を使う方が多い感じです。

 

あと下半身に冷えを感じる方の場合は、当帰四逆加呉茱萸生姜湯や芎帰調血飲第一加減という薬剤とともに紅参という薬剤をよく使って足の血液のめぐりを良くしてあげたりもします。これによって膀胱が冷えて固まらないようにします。

 

また膀胱の加齢現象のようなもので頻尿になっている場合には亀板や鹿角、鹿茸という動物系の生薬の配合された薬剤を使うことで頻尿感が取れるという方もいます。

 

よいち漢方 薬剤師 小林