世界的に先進国を中心にインフレ基調となり、日本でも物価が何十年かぶりに上昇基調だそうです。

 

私のところで扱っている商品もいくつかはここ数年値が上がってきているのですが、この10月ぐらいから更に値上げとなる商材出てきています。生薬関係は動物生薬のような希少な生薬はここ数年値上がりと、在庫がいつ切れるかという供給不足のおそれがあり、通常の数倍の在庫は確保して置く必要が出てきています。

 

植物性の生薬も、供給元の中国の状況次第で供給量や値段が不安定です。新型コロナの流行で都市の封鎖や物流の停滞、異常気象による作物の被害などの要因が、今年年末にかけて響いて来そうな状況です。

 

一般OTC向けの生薬製剤は、もともと需要量が少ないのですが、医療用の漢方薬の使用量はここ数年増加しています。ここで気になるのは1年に1回の薬価によって市場経済から切り離されている医療用漢方薬の供給です。

薬価で販売価格が決められているので、材料になる生薬の値段や包装用資材の値段が上昇してもメーカーはすぐに価格に転嫁することができない様になっています。

薬価ベースで見ると、この処方をこの分量の生薬でつくって薬価で販売していたら赤字になるという処方がもういくつも出てきています。

処方の中によく入る甘草や茯苓なども結構値段が上がっていますし、当帰や芍薬なども値段が上がりつつあります。

またこれらの生薬の供給元の地域が干ばつや水害で農作物に大きな被害が出ているというニュースや、上海などの海上輸送の窓口まで、内陸地から輸送する途中で都市封鎖や通過するだけでも何日間か隔離観察をしなくてはいけなかったりしているそうで、スムーズに商品が出国できない状況も出てきています。

 

いま新型コロナの治療で小柴胡湯加桔梗石膏などの処方や葛根湯などもよく処方されているようですが、麻黄や桂枝などもこれから大きな影響が出てくるでしょう。

 

ツムラさんが生薬の国内受給率をあげると北海道などで川芎などの一部生薬を契約農家さんにお願いしているというニュースを何円か前に見ましたが、それがうまく行ってほしいものです。

これから漢方薬はますます高価なものになり一部の人にしか服用できないような悲しい状況にならないように願うばかりです。