新型コロナ感染症の第7波に入りつつあり、このところ「かかった」という方の相談が増えてきています。

この2年余りの間で、漢方薬をうまく使うことで、初期症状や治りかけのときに現れる症状を早く改善する漢方薬がkじゃたまりつつあるようです。いくつか紹介して、いざという時の参考にしていただけたらと思います。

 

初期の症状:喉の痛み、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛

新型コロナウイルスは、中医学的には風熱症というタイプの感染症です。ですから咽や気管支といった呼吸器を中心に新入してくるタイプの感染症となりつつあります。冬に流行するインフルエンザでの場合、風熱型と風寒型というのがあります。

風寒型の場合は、初期症状として悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感が中心で、咽の痛みはあっても激しいものではないことがおおいです。このようなときには、麻黄湯、葛根湯、香蘇散、参蘇飲、麻黄附子細辛湯というような汗をかかせるあるいは冷えを取る処方が使われます。

新型コロナ感染で、現在流行中のものの場合殆どが喉の痛みを訴えるので、これは風寒型の対応ではあまり良くなく、風熱型の対応が必要となります。

使われる処方としては、銀翹散、荊防敗毒散がよく使われます。銀翹散は、咽の痛みが強く、発熱を伴うときで、つばを飲み込むときに喉の痛みがひどくなるときに使います。荊防敗毒散は、のどのいたみがありつつ、頭痛、頭の重さ、関節痛、筋肉痛、体の重だるさがある場合で、発熱は銀翹散よりやや弱いときに使います。

これらの処方に、板藍根エキスやイスクラ産業から出ている五涼華(ごりょうか)を併用すると症状が早く良くなります。
また発熱が強い場合は、人参牛黄製剤や地龍エキスを服用したりすると良いです。

 

初期から少し進んだとき:咳、咽や気管支あたりの痛み、淡、食欲不振、微熱が出たり引いたりする

このような時期には、年齢的なことを十分に考慮しつつ(高齢者の場合陰虚という状態を起こすことがあるので)、小柴胡湯に桔梗石膏を加えたものを使います。また胸が痛いときで痰と咳が続くようなときには柴陥湯(さいかんとう)を使います。熱が下がらず、咳が強く出るようなときには五虎湯や竹葉石膏湯をつかいます。このときも症状を見ながら人参牛黄製剤をつかいます。

高熱が出ている場合には石膏という生薬がたくさん入っている白虎加人参湯も解熱の役にたつことがあります。

 

胸の痛みや息苦しさが取れないとき:胸の真ん中あたりが痛く、咽が少し乾いたり、喉の違和感が取れないときには柴胡桂枝乾姜湯や柴胡桂枝湯をつかいます。これらの薬に、竹葉石膏湯を併用する気管支あたりの炎症が早く引いてくれます。

また、痰がたくさん出て、体がスッキリせず、眠れないなどの症状がある場合には竹筎温胆湯を併用します。

 

予防:家族の方などに検査の陽性者が出た場合、予防としては銀翹散に五涼華を1日に1~2回服用すると発症しないケースが多いです。咽などに付着したウイルスの数が増えなければ、自分の免疫力で発症するところまで至らないようですので服用すると良いです。