とあるお客さんが、抗がん剤の治療を受けてから手足のしびれがひどく辛いのでなんとかして欲しいと相談に見えました。
抗がん剤の副作用による手足のしびれは今までも何人かの相談をお受けしたのですが、これが良いというところまで効果が得られたケースは殆どなく、その旨をお伝えしたのですがなんとかして欲しいと強く言われたので手探りで良ければとお断りして薬を選んでいます。
中医学ではしびれや痛みは「不栄」「不通」から起こるとします。
「不栄」はほとんどが血虚と呼ばれる状態からで貧血や血液中の栄養成分の不足から末端などの神経の興奮が沈静化しなくなって起こるとされるものです。
「不通」は経絡に痰、瘀などの病理産物ができたり、経絡が何らかの原因で通りが悪くなり気血がしっかりと巡らない状態になることによるものとされています。
この相談の方は血液データから貧血とアルブミンの数値が低くなっているので「不栄」が一番疑われ、指先を血管スコープで見たところ血管のゴースト化はそれほどでもない状態ですが、所々に白い血管の空白地があり、そこがむくんだ状態になっているようです。
このようなときには末端までの通りをよくするサメの肝油成分であるスクレンを使うとうまく行った例があったので、それを10日お出しして様子を見てもらいましたが変化なくしびれはきついといいます。
次にアルブミンを増やすためにタンパク成分の合成を促す「プラセンタ」とむくみと痛みを取る漢方薬と血虚を補う漢方薬を選びましたが、飲むと調子が悪くなると言われます。次に瘀血を解消する薬剤と通経絡の作用がある地龍を使いましたがこれもよくないと言われます。
そこで今度は抗がん剤によって血管周辺で慢性的な炎症と活性酸素が増加していると考えセレンや紅景天と呼ばれる生薬が配合された製剤とフトウカズラ、メナモミ、木瓜、ウチワドコロ、クサギなどが配合された製剤を飲んでもらいました。
これはうまくいくようで少し調子が良いと言われます。今のところこれを少し続けて様子を見ていただいています。
抗がん剤によるしびれは本当に患者さんにとってはつらい症状ですから、これがよく効きますよと自信を持って言える薬剤に早く出会える幸運に恵まれたいです。