季節の変わり目になり、夜の気温の変化が大きくなるとぐっすりと眠れなくなるという方が増えてきます。

また4月から新しい生活環境となり、それに慣れてきて、少し気持ち的な疲れが出て来る頃で、これもぐっすりと眠れなくなる原因となったりします。

 

最近ではある種のアミノ酸や栄養補助剤的なもので睡眠改善をうたったものも多く利用されるようになっていますが、これでも眠れないという方がなにか良い漢方薬はないですかと相談に見えたりします。

 

睡眠導入剤や安定剤などのおくすりを使っていても、浅い眠りと深い眠りを繰り返す睡眠行動を必ず取れるわけではないので、この湯な薬を使って「眠った」という状態を作っても、本来の眠りが持っている役割がきちんと果たせているかどうかは疑問です。

特に深い眠りのときに出てくるホルモンや、浅い眠りのときに行われるとされている記憶の整理がきちんとできているかどうかは定かではなく、多くの場合、睡眠導入剤や安定剤などで起こした睡眠はこれらの行動が起こっていないとされるという報告もあります。

 

店頭でお話を伺っていると最近多いのが夕食時間が遅くなってしまう方です。夕食を9時や10時などの時間に食べていて、12時ごろ就寝という方は、胃がまだ動いている状態で横になって眠ることになり、胃腸の筋肉が運動をしている状態で眠ることになります。この状態ですと、深い眠りが取れづらく、朝起きたときに体が重だるいという状態になりがちです。慢性的にこの状態が続くと眠りの質が悪くなるようです。

これは胃腸の弱くなった年配の方や、胃腸の弱い体質の方にもよくみられます。このようなときに加味平胃散や晶三仙といった消化を助けるものを夜食後に服用すると、胃腸の運動の負担が軽減できるのでよく眠れるようになります。

 

また深い眠りと浅い眠りは体の中の自律神経とホルモンのリズムによって起こるとされていますが、このリズムは東洋医学では「気」というものがつくるものとされています。この「気」がストレスや疲労、スマホなどによって乱れると眠気が起こらず、また寝ても夜中に目が醒めてしまうということになります。

この「気」の乱れを整えることを「気付け」といいますが、このような作用のある薬剤を就寝前に服用しても良い眠りが取れることがよくあります。

気付け薬や消化剤は、睡眠導入剤や安定剤を基本的には併用ができるので、一度試しても良いかもしれません。