病気によっては手術で周辺のリンパを切除(郭清)することがあります。

このような手術の後にかなり重い浮腫の症状が出てしまうことがあります。漢方薬にはこのようなむくみの一部の方によく効いた処方があります。

 

むくみと言うと健康保険で出せる範囲の漢方薬では、防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)、五苓散、柴苓湯などがあります。これらの処方は体の経絡がしっかりとしているときにはとても有効な働きをすることが多い処方です。

むくみは中医学的に陽腫と陰腫というのがあります。五苓散や柴苓湯はどちらかというと陽腫に効く漢方薬です。

防已黄耆湯はやや陰腫に使うのですが、これは肺の機能を高めつつ水のめぐりをよくする処方で、皮膚の下すぐに溜まった余分な水を取り除く働きです。

 

手術でリンパを切除した場合は経絡が切断されていたり、組織の間や細胞の間に水が貯留していることが多く、これは陰腫になっていることが多いので上にあげた処方では十分な効果が得られないことが多いです。

 

いくつかのお客さんに出して良かった処方は「補気健中湯(ひきけんちゅうとう)」という処方です。この処方に、末梢の瘀血を取り除く処方や、水の動きをよくするために、心臓や肺の働きを行っている「宗気(そうき)」という気の働きを高める人参の系統を和えあせて使います。

 

補気健中湯は、体力が落ちている方でひどいむくみを出しているときに使う処方です。以前は煎じ薬しかなかったのですが最近では粉末タイプのエキス剤が販売されています。効果はまずまず出ているように感じます。

 

手術後のむくみはマッサージが中心になるかとは思いますがこのような漢方薬が聞く人もいますので試してみても良いのではないでしょうか?