今年は年末に東京漢方教育研究センターという団体からの依頼で「むくみ」について東京(おそらくリモートで)講義をすることになっていますので、店頭でむくみの相談に関していつもより関心をもって相談させていただいています。

 

むくみの原因は

①血流不足によるもの

②肺や脾、腎の気が不足するもの

③これらによって末端からのリンパ液の流れが悪くなってしまっているもの

④毛細血管がゴースト化してその周辺に細胞間液が貯留しているもの

⑤血中タンパク量が不足してしまい浸透圧でむくんでいるもの

⑥活性酸素が増加して血管の状態が悪く漏出が起きているもの

⑦これらの複合的なもので起きているもの

とある程度分類ができます。

怖いリンパ浮腫はこれに水の通り道である管のタンパク質が変性してしまい、排水路に当たる部分が壊されてしまいむくみが出るものが中心で、これに上の原因が複合的に関与してきます。

通り道が壊されているので利尿剤を使っても水を腎臓に集めることができないのであまり効果が上がらないということが起きがちです。

 

漢方的にはこれらの原因を見極めてそれに対しての処方を使いますが代表的なのは黄耆の配合されたもので、防已黄耆湯、補気健中湯などです。五苓散はむくみに対しては限定的な効果しか得られず、左半身と両足のリンパンの流れが悪いときに使いますが効果はそれほど強うくないです。中医学ではこのようなときの軽いものに「五皮飲」という初歩を使ったりします。

右の脇腹から右腕、右の顔半分に関しては小柴胡湯が軽いむくみのときによく使われたりします。

 

血流が少ない場合は、心臓のポンプの働きに関係する宗気を高めつつむくみが出にくい紅参を配合したりもします。

 

下半身のむくみにはこれらの黄耆や紅参を配合しつつ芎帰調血飲第一加減や当帰四逆加呉茱萸生姜湯などで下半身の血流を良くしてあげるとむくみが解消しやすくなります。

 

むくみは漢方の治療でも難しい分野となるので、これだと思ってもなかなか効果が上がらないことが多いのですが、うまく行けば3~4kgぐらい体重の減少が数日で得られたりします。