ときどきお受けする相談で下腹部の違和感や痛みがどうしても治らないという相談があります。

病院の検査を色々としてもらっても原因はわからず、また鎮痛剤の服用も効かない。神経的なものかもと専門のお医者さんに処方薬をもらって服用しても取れないのでなんとか漢方薬でという相談です。

 

この場合、漢方でも気の流れを良くする漢方薬から試していただくのですが、柴胡疎肝湯、逍遙散、抑肝散、小建中湯などを服用しても取れないケースがほとんどです。

次に瘀血(おけつ)を疑って桂枝茯苓丸、きゅう帰調血飲第一加減、腸癰湯などを試してもらったりもしますがこれでもよくならないことが多いです。

 

結局一番効果が上がるのは「帯脈」をしっかりとさせる処方です。

 

東洋医学では経絡というツボの流れに沿って気血が流れていると考えるのですが、その経絡の系統に奇形八脈というのがありこの中の一つが「帯脈」です。この帯脈は腰のあたりをぐるっとベルトのように巡る脈をいいます。人体を流れる脈で横方向に流れるのはこの脈だけです。

この帯脈は脈を樽や桶のタガのようにしっかりとさせるはたらきがあり、この脈が弱くなると身体の中心軸がしっかりとしなくなり姿勢が悪くなったり内臓が下がったりします。

 

原因不明の下腹部の痛みや違和感はこの帯脈の弱りから感じていることが多く、これは検査では見つけることはできません。

 

漢方薬としては甘いものと酸味のものが配合された処方を使い、それに帯脈と関係の深い腎を丈夫にする処方を使ったりします。

一般的なのは補中益気湯などで、腎の方は六味丸がよく使われます。