漢方薬を飲むときにどれぐらいで効いてくるのか、どれぐらいまで続けるのかということをよく尋ねられます。

 

飲む側としては漢方薬も薬だからできるだけ飲みたくないというのがあるからこういった質問が出てくるのだと思います。

 

これに答えるのは本当のところとても難しく、様子をみながらという答えになっていきます。

 

漢方薬の中には即効性のあるものも多くあります。葛根湯、麻黄湯のようないわゆる風邪の症状に使うものであるならタイミングよく飲めば1から2回の服用でスッキリとしてしまうこともあります。灸に喉が痛くなり始めたときに銀翹散という漢方薬を飲めばすぐに痛みが取れてくることもあります。

また頻尿によく使われる八味地黄丸という処方や目の弱りに使う杞菊地黄丸、耳鳴りや難聴に使う滋腎通耳湯などは最低数ヶ月は飲まないと効き目が出てこないこともよくあります。慢性的な肝臓疾患や腎臓の病気なども数ヶ月から年単位になることもありますし、強いアレルギーの症状で何年も症状が消えなかったり、ステロイド剤で症状が良くなってしばらく休薬するとまた症状が出てきてしまうというような場合にも体のバランスを回復させるのに1年ぐらい、それを安定させて自分の力でバランスが保てるようになるまでは数年かかることもあります。

 

おおむね目安としては肺や心に関わる症状の薬は早く効果を表すものが多く、効き目は数日で実感が出てくる事が多くある印象です。ただ、肺の構造体が調子が悪くなっている肺気腫や間質性肺炎、気管支拡張症などや喘息の場合は時間がかかることが多く年単位となることも多いです。心臓も薬を飲んでいると調子が保てるという場合が結構ありこの場合は病院の薬と併用してもらうことがあり、ゴールは飲んでおられる型次第となることが多くあります。丹参製剤という商品の場合、予防的に服用を続けたほうがメリットが有るような薬剤もあります。

 

脾胃に使う薬は数日で効いてしまうことも多くあります。胃の痛みに使う安中散、胸やけにつかう半夏瀉心湯、便秘薬などは数日というか数回の服用で効果が出てきます。このような薬は頓服的に使うことが多い薬剤です。

それとは別に脾胃には体質的な症状が現れやすく、また年季が入った症状の場合は続けないとだめという場合が多くあります。六君子湯などは続けて飲むことで調子が上がってくることが多い薬で数週間から数ヶ月の服用を必要とすることが多いです。参苓白朮散という処方の場合は、幼少期からの生活習慣や食習慣、薬剤の影響などから健康な状態と自分が感じていても飲んでいたほうが良いですよと言う薬剤もあります。

 

歳のせいで起こる症状に対しての薬は少なくとも100日以上は服用する必要があり、小便や加齢による足腰の弱りや腰痛、脊柱管狭窄による症状、耳鳴り、目の弱りなどは効き目が出てくるまでに100日ぐらい、効果が安定するには半年ぐらいは少なくともかかります。

これと同じように血に関する症状、例えば更年期や赤みが強い皮膚病なども時間がかかることが多くあります。血が生まれ変わるのが大体4ヶ月ぐらいですから、漢方薬を服用し始めてこれぐらいの期間は頑張って服用しないと効果が実感できないことがよくあります。

 

最近では数日で効かないと判断されてしまうことが増えてきているようですが専門的に見ればせっかく始めたのにもったいないと思うようなケースが多くあります。

漢方薬は急性の病気以外は時間がかかると思ったほうが良いかもしれません。