男性更年期という考え方も広く知れ渡るようになったようで、最近ではこの体調不良は自分は男性更年期だと思うけどという自己分析でもこの名前が出るようになってきました。

 

まだ男性更年期自体がしっかりとした病名となっているわけではないそうなのですが、最近でも専門の外来を設けているところも出てきているので、身体の衰えからくる症状を精神的な、メンタル的な疾患ということでひとくくりにしていた昔よりは良い状況になりつつあるようです。

 

専門の外来でも漢方薬で、加齢現象からくる衰えを支える補腎薬である八味地黄丸や牛車腎気丸、倦怠感に補中益気湯が処方されていることが多いようです。

 

男性更年期は、漢方的には腎虚と呼ばれる症状の一群の症状として考えます。基本的には補腎薬を中心にしていくのですが、この補腎薬を使う前に「気の通り道」が詰まっていないかどうかを確認し、もしここの調子が悪いようならばここを通すようにしないと補腎薬の効果が十分に得られません。

 

漢方的な人間の身体の捉え方は蒸気機関と似ているように考えることができます。腎というところに大きなボイラーがあって、そこには「命門の火」という火が燃えていています。このボイラーに腎水がはいって熱せられて蒸気(気)となって体中にめぐらされている気の通り道を通って身体が活動できます。

40代以降になるとこの通り道にゴミやつまりができていて、勢いのある蒸気が通れないということが起こることがあります。これによって身体の主だるさや倦怠感、無気力などの症状が出ることが多くあるのです。この場合いくら優秀な補腎薬を飲んだり、腎の働きを高めるように針を打ったり灸を据えても効果が出ないことがあるのです。

 

通り道を塞ぐものとしては瘀血と呼ばれる血の流れが悪くなったものや痰と呼ばれる水が固まって粘っこくなったものや濁という汚れだったりします。これらを解消するために補腎薬を使う前か同時に瘀血を解消する薬剤や痰を解消するものや濁を取り除く薬剤を使い通り道をしっかりとさせてから補腎薬を使うと効果が高くなります。

 

補腎薬を服用していても効果があまり感じられないときには「気の通り道の掃除」を試みると良いです。