朝鮮人参などの薬用人参で店頭で手に入るものを中心にポイントをみてきました。

 

朝鮮人参は、高貴な薬として珍重され、漢方薬の中でもいろいろな処方に組み込まれ、気を補う、心臓を丈夫にする、津液を生み出し脱水症状を回避する、大量出血で命が危ないときにつかうなどの点で優れた生薬として珍重されます。

これは長い時代、人間の生活が季節的な変化に対して衣類などの調整でしのいでいた時代、外で農作業を行ったり、移動のために長時間動いたり、水分の補給が水を中心としたものであったりして、汗をたくさんかいて心臓に負担を毛けることが多かった時代には大変に役に立つ効用です。

 

ですが現在の日本のように四季を通じて空調の整った環境が増え、運動量も減り、汗をかくことが外で体を使った仕事をしている人以外は少なくなり、神経を使うことが多くなり、食事の摂取カロリーが増え、水分をよく取るようになった人には朝鮮人参の働きは少しピントがずれているようになってきています。実際20年ほど前にはよく効いた補中益気湯や清暑益気湯などの効果が出にくい人が増えている印象があります。

 

紅参や党参は病的な状態までは言っていなくても疲労や倦怠感を解消するには使えるとは思います。ですがこれも朝鮮人参のように適応する状況が減っているのではないかと思います。

 

その反対に、西洋人参、田七人参や五加参は生活習慣病やストレスによる環境適応能力の低下、加齢による身体の弱りからくるほてりや食べ過ぎなどによる糖尿病などに使う機会が非常に増えてきています。

 

西洋人参は、「間質性ー」とつく症状には使えますし、抗がん剤や放射線治療のときには朝鮮人参のようにほてりを気にせずに使える生薬です。

 

田七人参は肝機能をたすけ、血液中のコレステロールや中性脂肪をきれいにし、血管の内皮を護る働きがありますし、婦人科系では新生物(筋腫など)においても欠かすことのできない生薬になっています。

 

また五加参は、ストレスに対しての抵抗性を上げたり、体内時計の狂いによって昼夜逆転や朝起きれないといった症状の改善や季節性のうつ感を取り除いたり、更年期からくる憂うつ感を軽減してくれたりすることもよくあります。

 

このように適材適所の人参が、薬屋で割とたやすく手に入るようになったことは本当にありがたい時代になったと思います。