昨日東京でコロトコフオン血流計の勉強会で講義中に考えたことですが、どうも「皮膚のバリア機能を保護する=外用剤で保護をしなくてはいけない」という考え方がほとんどのようです。

確かに「カサカサ肌」を保護する薬剤や化粧品などはたくさんこの季節を中心に使われます。乾燥肌はトラブル肌の人にとっては不安の材料にもなりますし、かゆみの原因にもなります。

ですが、世の中には保湿剤や潤い保水液に使用されている成分や、それらを塗るという行為自体でアレルギーを起こす方もいるわけで、特に体が敏感になっている方には外用剤はよほど注意して使わなくてはいけません。


この場合、一番大切な考え方は皮膚の表面も体の中から支えられているという基本を忘れないことです。
漢方の格言に「皮膚は内臓の鏡」ということばあがありますが、皮膚も体の中から栄養や酸素を供給されていてそれによっていい状態を保つ働きが本来あるはずです。この働きをしっかりと働けるようにしてあげるように体を調整することはとても大切なことです。
安易に塗り薬に頼りすぎると、皮膚の下の血管や細胞の構造に大きな取り返しのつかなくなるような事態を引き起こすこともあります。
皮膚を支えれる体を作るのは何が必要か。常にそのことは考える必要があります。

また粘膜も同じようなことが言えます。

口の中の粘膜や、胃の粘膜、腸の粘膜などこういったところは粘液が分泌されて保護されていますが、この分泌を起こす機能が失調したり、粘液を作る細胞の働きが弱くなってしまい、粘膜のうるおいを保てなくなっていつ状態の方も上と同じようになっている方がいます。

胃の粘液の分泌状態がよくない状態のことを中医学では「胃の陰虚(いんきょ)」といいますがこの状態はとても厄介な状態です。
一般的に使われる胃薬は胃酸を調整して分泌過多をよくしたり、胃の運動をよくしたり、漢方薬では胃酸のサラサラ度合いを上げたりはできるのですが、胃の粘液の質を改善して胃粘膜を正常な状態にする薬というのはなかなか良いものがありません。
というか、こう状態の人は薬効成分の入った薬を飲むと胃が受け付けないという状態になることがよくあり、いろいろな病院を回りまわり、薬屋さんもまわりまわって「どんな薬も自分には強い」「薬を飲むこと自体が怖い」といわれることがよくあります。
こういう人には胃の粘膜を保護する多糖体が成分として含まれている生薬(玉竹、天門冬など)を組み合わせて処方が組まれている胃薬を使ったり、氷砂糖で薬を薄めて使ったりするのが漢方の知恵としてあります。
それも最初は大人の10分の1の濃さぐらいから初めて徐々に薬の刺激に鳴らしながらの治療となることがよくあります。

薬がまともに飲めるまでに時間がかかりますし、一度失われてた粘膜を維持する力はそう簡単には回復しないので治療の期間もすごくかかります。
ですがきちんとした薬を飲めばきっとよくなります。

皮膚や粘膜の症状も体の中からを考えてみてください。