秋になり食欲が増しているところに、ストレス、不規則な食事時間、女性の生理前、更年期過ぎなど過食の相談が増える時期になりました。

漢方的にこういった食欲が増している方の多くが「実証」という状態に、五臓のどこかに「熱」(機能亢進)があって食欲が増していることがよくあります。

この場合、女性なら生理不順気味、便秘、あるいは便秘と下痢を繰り返す、肌荒れなどを伴っていることもよくあります。

漢方的に考えると食欲の亢進の原因が複合的にこれらの不快な症状を出していることが多いので、逆にこれらの不快な症状を改善すると過食がよくなったりすることがよくあります。

生理不順が伴う過食の場合、肝経というところに熱や湿というものがたまっていることが多く、これが「血熱」という状況になった時に整理が遅れたり、逆に早く来たりの不規則さが現れ、そこから食欲が増してくることがあります。体重増加で、「痰濁」(コレステロールや中性脂肪など)が増えると体内の脂肪が増え、脂肪細胞が大きくなるとアデポネクチンの分泌が悪くなり、代謝や抹消の血行が悪化してますます太るということになります。

ですから漢方的にはこの湿、熱、血熱、痰濁に対応する処方を、体質や状況に合わせて使用して行くことでうまくいけば短期間に過食が治まり、体重の減少が見られます。

便通の具合が一つに指標になるので、できれば一日に1回から3回ぐらいの排便が得られるのが望ましいです。

処方的には一貫堂竜胆瀉肝湯に瘀血の処方や、排便を促す薬を組み合わせるのがよい結果が得られやすいです。

素体的に虚証の方の場合は、瘀血の薬で虚を補うような配慮をしつつ、竜胆瀉肝湯の量を少量から初めて調子を見ながら増量していくとよいでしょう。

無理を感じたら中止をして、食事のないようにも気を付けながら行えば過食を克服することはできますよ。