大阪のM先生より紹介された書籍「失われてゆく、我々の内なる細菌」(マーティン・J・ブレイザー著 山本太郎訳 みすず書房)を読みつつ、昨日この周辺情報をM先生から送っていただき読んでまたう~んと考え込んでしまっています。

いくつかの情報を引用してみると

①【微生物学】幼若期の抗生物質の使用がその後の発育に影響を及ぼす可能性

Nature Communications

201571

Microbiology: Earlylife

antibiotic use may affect development

②子どものぜんそく、腸内細菌の不足に関連か カナダ研究

101 AFP ぜんそくになるリスクが高い子どもは、生後数か月間に一部の重要な腸

内細菌が不足している可能性があるとの研究結果がこのほど発表された。ぜんそくが増加

傾向にある理由を説明する一助となる成果だという。

 専門家らによると、喘鳴(ぜんめい)、せき、呼吸困難などの症状が生涯続くぜんそく

1950年代以降、患者数が急増しているという。特に欧米側諸では、ぜんそくにかかる子

どもの割合が最大20%に及んでいるという。

 一方で発展途上諸国では、患者数の増加はみられない。そのため、環境的要素や、帝王

切開出産の割合増、授乳における粉ミルクへの依存、抗生物質の乱用など、現代の生活様

式そのものが原因となっている可能性が指摘されていた。

③ピロリ菌を持たない人は胃食道逆流症の発症率を2倍~8倍に上昇する。

④ピロリ菌陽性の人は喘息の発症率が30%低い。

⑤生後早期に於ける治療用量以下の抗生物質投与の影響は、一生続く。それが短期間であっても常在菌に動揺を引き起こし、その影響は生涯に及びうる。

⑥生後6か月以内に抗生物質を投与された子供は、より肥満傾向にある。

⑦抗生物質はエストロゲンに影響を与えるという仮説がある。

⑧抗生物質の治療が病原体に対する感受性を増加させる

このようなことを見ると、毎日相談をお受けする人の体調不良などの原因を見直さなくてはいけないように強く感じます。

実際、師匠や漢方の偉い先生方が記録した治療経験を勉強してきて、その先生方が対応されたような同じ症例にその方法を応用しても期待したような効果が得られないということを最近良く経験するようになっています。

もちろん食生活や生活様式などの変化もここに加味しないといけないでしょうが。

ですが、治りにくい皮膚炎やアレルギー性の病気やなかなかうまくいかない不妊治療などはこの「幼少期の抗生物質治療」を考慮して腸内細菌の立て直しも考えた方がよいということになります。

漢方的には「脾胃」の立て直しになるわけで思い当ることが多くあります。

興味深い内容です。