以前にもこのブログで上げたように、㉔加味逍遥散は更年期症状の不定愁訴やほてり、PMSの緊張を取る漢方薬としてよく処方されたり、漢方屋さんで売られていたりします。

一部の漢方薬の取り扱うお店にはこの「加味逍遥散」の「加味」がとれた処方が売れれていることがあります。
この違いはなんなのでしょうか?

一般的に「加味」というのは基本的な処方に何かを加えましたよ、という意味で使われています。おおむね日本で流通している漢方薬の場合は「加味」と書いてある場合、「熱」を冷ますか、「瀉」を強めてあるという場合が多いです。(例、加味帰脾湯と帰脾湯、平胃散と加味平胃散など)

加味逍遥散の場合、「逍遥散」という処方に山梔子と牡丹皮を加えてあります。
山梔子には三焦の熱を取るという目的があり、のぼせや体がカーとなったり、胸焼けのような状態を取るために入れられています。
牡丹皮は血熱を冷ますという目的で入れられていて、これも熱を冷ます意味合いがあります。
逍遥さんは「肝鬱」という状態に使い、加味逍遥散は「肝鬱化火」という状態に使います。これはイライラしている状態と、もう怒って頭に血が少し上っている状態の違いという風に考えるとよく理解できます。


日本では加味逍遥散のほうが早く商品化されていたので、こちらがよく使われますが、中医ではやはり「寒熱」といって「体を冷やすのは冷やす必要があるときのみ」という考え方が徹底しているのでこの「加味」があるかないかはきちんと分けて考えています。
逍遥散は「気滞」という状態をとる青皮、香附子、烏薬などをよく併用したりして「気の流れ」をよくするようにしていきます。冷え取りの薬ともよく併用したりします。

加味逍遥散の場合は、熱を取る生薬を加えて用いられたりしていて、厳密には温める薬(当帰など)とはあまり併用しないという処方の仕方をされていいます。(日本ではこのあたりは少しあいまいに運用されていることが多いです。)

今飲んでいる方で、イライラや生理前に下腹や胸の張りはあるけど、怒りっぽいとかのぼせがひどくないという方はこのあたりを参考にして処方を選ぶともっと快調になるかもしれません。