東洋医学では、東南西北の方角に神がいてそれぞれに対応する生薬がありそれぞれの役割を持った処方が考えられています。

東は、麻黄を使った青竜湯で、激しく汗をかかせる薬。

南は、ナツメを中心として激しい作用を持つ薬を入れた朱雀湯。腹水などを追い出す薬。

西は、石膏を入れた熱を冷ます白虎湯。

北は、附子を入れた玄武湯(真武湯)。代謝の低下や冷えによる胃腸機能の低下に出す薬。


この中で生薬の組み合わせとして漢方の基本として勉強するのが麻黄。

この麻黄は非常に強い興奮剤で、取り扱いには注意が必要な薬。興奮と鎮咳に用いられます。

この麻黄、組み合わせる生薬によって次のような体の反応をもたらします。

①麻黄+桂枝で普通の発汗。

②麻黄+石膏で汗はでなくて局所的なむくみの解消。(越婢湯といいます)

③麻黄+桂枝+石膏で大発汗。大青竜湯。激しい発汗作用をもたらします。が体力も消耗するので短期間の使用にするとあります。


それでこの③を使うと短期間で体の水が取れ体重が減ることがあり、これをダイエットに使っていることがあります。(とても危険ですが)

エキス剤の漢方処方の組み合わせで、知ってか知らずか、この大青竜湯を作ってダイエットをさせているケースが最近多いのです。


ですが、この場合、体の水を取っているので大事な体のうるおいを取りすぎてしまうことが考えられます。大事な体の水のことを専門的には「津液(しんえき)」といいこれが奪われると怖い病気が起こる可能性が高くなります。たとえば間質性肺炎、肝細胞の線維化などです。
また麻黄はダイレクトに交感神経を刺激しますから、動悸、血圧に影響しますし、脳の過剰興奮をもたらすことでイライラ、不眠などが起こされる可能性もあります。


処方の中に麻黄、桂枝、石膏が配合されているものを同時に服用(例をあげると防風通聖散と葛根湯、防風通聖散と麻黄湯、防風通聖散と越婢加朮湯など)は長期服用すると上のような副作用的な反応が出ることも考えられます。

ダイエットは食事や運動など全体で考えて行うもの。薬を飲んだら痩せたというのはある面体を壊しているかもしれません。少しでも変だと思ったら飲まないことも大切です。