漢方薬を勉強し始めた時に一番に覚えたのが東南西北と四神。それに対応する色と生薬、処方でした。

でも最近はもっと進んだことを勉強しているようで、このあたりはどうも聞いたことがあるという程度で流しているようです。

東洋哲学では東南西北にそれぞれ神がいて、色と神がくっついて考えれれています。これはたとえばキトラ古墳などでもこの様式が見られますし、現在でも相撲場所の会場のつりさげ天井の上に4つの色の房として神様が祭ってあります。

神様というのは東は青竜、南は朱雀、西は白虎、北は玄武です。

漢方薬の世界では、青竜湯、朱雀湯、白虎湯、玄武湯というのがそれぞれあります。
青竜湯は青い生薬である麻黄を主としており、大青竜湯が代表処方になります。朝日が昇る勢いのように体を温め大発汗をさせ病邪を体の外に出す強いお薬です。短期間の服用にしないと体力を消耗してしまいます。陰陽道の四神相応の考え方ではでは青竜は水と関係が深いとされていて体の外に出てくる水の流れ(汗、鼻水、小便など)を良くする薬でもあります。

朱雀湯はいろいろと節があるのですが、現在ではおそらく十棗湯がこれにあたると考えられています。この処方は、ナツメが入っていて、これは赤い色をしているからこれにあたるといわれています。この処方はやはりとても激しい作用のある薬で、まさに太陽が南中した時の勢いのような反応が出る薬とされています。甘遂(かんすい)、芫花、大戟という生薬からなり、肋膜炎の胸水、肝硬変などの腹水、腎炎の腎機能の急激な低下などに使われる処方です。とても激しく下痢起こす薬です。

白虎湯は石膏を主とした体にこもった熱をさます薬です。西日のあたる部屋にこもった熱を冷ます薬です。粘膜や自分の身体で調整できなくなっている熱を冷ます力のある薬です。

玄武湯は北=寒いという考え方で、冷えに対応する処方です。なかに附子が配合されています。附子は黒い色をしているのでここに当てはめられています。現在では玄武ではなく真武湯と呼んでいます。冷えによる体力低下や胃腸機能の低下に使用されます。

このように覚えると薬の成り立ちや東洋医学が体の中に宇宙を考え、病気をその自然現象になぞらえている考え方がよくわかる例となります