季節の変わり目になると増えてくる相談の一つに「口内炎、舌炎」があります。
処方される薬もいい薬が増えていますが、粘膜が弱い方や、胃腸が弱い方、飲酒されて肝臓、胆のうに熱がこもる(漢方的な用語です)方、腸に熱がこもっている方、肺に熱がこもっている方などは処方された塗り薬や、市販の張り薬、ビタミン剤ではなかなか症状が治らないという方が相談にみえます。
市販されている漢方薬で口内炎の適応症を持っているものは半夏瀉心湯があります。これは急性の症状で胃につかえ感があり、便が下痢っぽいときの口内炎によく効きます。
夏の終わりから秋にかけて多いのは胃腸の疲れから出てくる口内炎で、これには炎症止めの処方はあまり効果がなく、体を元気にする漢方が口内炎の治りを促進してくれます。よく使う処方としては補中益気湯で、これに梔子(くちなし)の末とキハダ(黄柏)の末を同時に服用すると治りやすくなります。
製造しているところがなくなってしまっているのですが桂枝五物湯というのも口内炎や歯茎の腫れによく効きます。現在では煎じ薬になりますが、急性の口内炎や舌炎なら数回の服用で効果が出ます。
ダイエット薬として売られている防風通聖散も便秘がちでよく食べる方の口内炎によいことがあります。この場合も梔子などを増やしたり、黄連解毒湯を併用するとよいことが多いです。
これらの処方はどちらかというと急性の口内炎、舌炎、歯茎の腫れに対してよく効く処方ですが慢性化したものや症状の重いものにはなかなかよい処方が手軽にとはいきませんでした。
ですが少し前に薬局で販売が認められた漢方薬の処方が少し変更となりその中に「甘露飲」という処方が追加になりました。この処方が小太郎製薬というところから製品になって販売されました。
この「甘露飲」は慢性化した口内炎や舌炎、さらに歯茎などが化膿、ただれたりしているような症状まで使えるすぐれた処方です。
9種類の生薬がバランス良く配合されていて胃、肝臓、胆のう、肺にたまっている熱を冷ましてくれ、粘膜を丈夫にしながら症状を和らげる働きがあります。
ですから口内炎、舌炎、歯槽膿漏だけでなく、歯茎下がりや、ベーチェットの症状緩和、症状の予防まで使用されています。
いいお薬が薬屋で手に入るようになりました。