初潮を過ぎて閉経までの女性の体は生理の周期に合わせて水の調整をするシステムが、月経期、排卵期でガラッと変わると中医学的には考えます。
この水の調整のことを難しい言葉で「枢機」と呼んでいて、大きく2つあります。
一つは「少陽枢機」といって「余分な水を外に出したりする」働きのあるのことで、これは月経期で出血が始まってから働くシステムです。
女性の方が「生理前にはむくみが出るが、生理が始まるとむくみが解消した。」というのはこのシステムが働くからです。ですから生理が始まってもむくみが解消しない方はこのシステムが弱いと考えられます。この場合「少陽枢機」を調整するたまに主として「肝の疏泄」を調整したり、瘀血を解消するとこの状態がよくなったりします。
もう一つは「三焦枢機」といって「体の水を均してためる」働きのあるのことで、これは排卵期以降、次の生理まで働くシステムです。女性の体は生殖器が妊娠状態の時に「水(羊水)をためる」働きがあり本来はこの働きがスムーズにいくためのシステムです。
また、妊娠しなくても高温期になると水や物を体にためようとしていきます。この時に水が必要なところにきちんとたまってくれればよいのですが、そうではなくて偏ってたまったりするとむくみとなって出てきてしまいます。
それと排卵時に卵巣や卵管に適当な水分がないと排卵自体がうまくいかないということもよくあります。排卵障害の方にこの傾向のある方があります。
ですからこのような場合には「三焦枢機」を調整してあげ、「水を均す」ことをすると排卵以降の高温期への移行がスムーズになることがよくあります。
あとこれらのほかに「痰湿」といってもともとの体質的に水分代謝が悪い方や、ホルモン剤の影響などで体重が短期間に増加した場合も余分な水分によって妊娠の成功率が下がっていることもあります。店頭で相談を受けていると約半数ぐらいがこのケースです。
こういう方の特徴としては、下半身が重い、下半身だけが冷える、むくみやすい、おりものが多い、肌が白くて柔らかい、体重が減りにくいといったものがあります。
このような体質を漢方では「実証」といい、こういう方は普通の当帰剤や鹿茸製剤、またマカなどを使うと逆効果になることがありますので注意が必要です。
最後に、なぜ水の調整が必要か?
それは赤ちゃんができたときに40週、赤ちゃんをはぐくみ、守る環境が「水」によってできているからです。女性の場合特にここが男性よりも緻密になっているのはこのためです。
この水の調整がうまくできなければ、どんな先端技術を使っても妊活の成功はおぼつかないでしょう。