お金持ちは腹黒くて、貧乏人は純真無垢だという考えがあります。

ドラマの時代劇が特に顕著です。

時代劇の悪代官と政商のように、金持ちは貧乏人を搾取して富を蓄える物語が一般的に受け入れられる

からです。

そう、多くの人はそれを心のどこかで望んでいるから、そういう考えが一般的になったのです。

多くの人は、お金持ちでない人々だからです。


金持ちと貧乏人を比較調査すると、お金持ちの方が他人を信用し、貧乏人は他人を疑い深いという結果が

あります。これは、アメリカの調査結果ですが、日本でも似たような結果が出るでしょう。


前回、政治空間と貨幣空間について、お話しました。

政治空間では、誰かから富を奪うしか豊かになれないから、搾取や収奪や騙しが生じました。

現代は、政治空間より貨幣空間の方がはるかに大きく、現実には政治空間より貨幣空間で

はるかに多くの富が創造されています。


貨幣空間では、政治空間とは異なる成功ルールがあるからです。


ひと昔前は、経営者は戦国武将にたとえられて、ビジネスを語っていました。

徳川家康や豊臣秀吉などが、日本の経営者にもてはやされていた時代がありました。

これは、日本のビジネスがムラ社会での権力ゲームだったからです。

つまり、政治空間が主体だったのです。


アジアの新興国では、こうした傾向が今でも強く、華僑などの財閥は独裁者と結託した「政商」として

膨大な富を蓄えています。


現代は、史実を引いて経営を語るという手法は、まったく日本で流行らなくなりました。

それは、市場がグローバル化するなかで、公共事業や規制産業のような政治と密着したビジネスが衰退した

からです。

「国盗り物語」型のビジネスモデルが、成功モデルにならなくなったからです。


後継者争いや権力争いで話題になるのは、古い同族会社だけになりました。


経済が高度化するにしたがって、政治空間から貨幣空間へと、富の移行が進んでいきました。

富を得るルールが変わったのです。


市場の論理は顧客に対して誠実であること。

顧客に、公平であること。

顧客を、差別しないこと。


貨幣空間の成功者であるお金持ちは、こうした美徳を体現した人ということが言えます。

貨幣空間の成功者は、楽天的で他人を信用し、その一方で嘘を見抜くのがうまく、情に流されない。


かってのお金持ちは、お城のような建物の最上階の奥まった部屋に住み、超越的な権威で周囲を畏怖させ、

組織を支配する権力者でした。

代表が、西武鉄道のオーナーだった堤義明です。


いまのお金持ちは、世界を飛び回り、人と人、ビジネスとビジネスを結びつけることで、富を生み出しています。

グローバルな市場経済では、お金持ちは人種や宗教、国籍や性別や政治的な主義主張にかかわらず、

だれとでも積極的につきあい、ビジネスを拡大しようとします。


貧乏人は、どうでしょうか?

いまだに狭いムラ社会から出ようとしません。

だから、ビジネスチャンスを逃してしまいます。

現代の格差社会の底辺にいる貧乏人は、社会の犠牲者というより、貨幣空間のルールに適応できていない人

なのかもしれません。

つまり、貨幣空間のルールを身につければ、成功をつかむ可能性があるということです。