中国の医療(1) | ヨーロッパの片隅で

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 僕は10年ほど前、中国に3年間留学国費留学です。自慢です。)して、中国医学を学んだのですが、今思うと、中国って結構、医療先進国だったかもしれない。


 確かに設備面においては、お金がないので日本ほど充実していませんでしたが、制度面においてはずっと先を行っていたような気がします。


例えば、カルテの開示。日本でも最近になってやっと行われるようになってきましたが、中国ではとうの昔から行われています。だって、中国ではカルテは自分で所持しておくのですから。


小さなノートのようなカルテを初診の時にその病院でもらい、それを自分で所持しておき、来院の時にもっていきます。


中国の患者数は半端じゃありませんから、そんな皆のカルテを病院で保管しておくことは困難だったのでしょう。今はコンピューターが導入されていると思うのでカルテの保管も可能かもしれませんが、カルテの個人所持は現在でも行われていると思います。


それから、「医師のランクによって診察費を設定してはどうか。」と今、日本でもたまに議論になっていますが、中国ではとうの昔から行われています。


中国では病院で診療を受ける時、まず受付で診察券を購入します。これは医師のランクによって料金が異なります。


低いほうから

住院医師(入院病棟の医師という意味):日本の助手に相当する。

主治医師:日本の講師に相当する。

専科医師(あるいは副教授):日本の助教授に相当する。

教授:日本の教授に相当する。

名医:全国に10名しかいない。中国政府によって指定される。私がいた大学病院には当時2名いました。


中国では物価が安いですから、僕の記憶では十年前のそれぞれのだいたいの料金は、①の住院医師で30円ほど、⑤の名医で300円ほどだったと思います。


日本人にとっては30円も300円もそんなに変わらないですよね。


この料金は診察代のみで、診察時に医師から検査や薬が処方されて、そのことをカルテに書いてもらい、それを持って、またお金を払うところに行ってお金を払って、それから検査を受けたり、薬をもらったりします。検査や薬はもちろんどの医師に処方されても同じ料金です。


⑤の名医は高いけどすごく込んでいるので、僕は教授の診察券を買って、副教授のところに診てもらいに行ってました。これ結構、裏技で相手に喜んでもらえるんですよ。


僕は1年間、大学病院で研修したのですが、なんとその時、名医について研修できたのです。一般に名医について研修する医師は講師レベルなのですが、僕はこれまた幸運で、僕の彼女のおじいさんが実は僕の大学の名医だったんです。中国は、「コネ社会」です。


この先生、その当時82歳だったのですが、午前中の外来診察のみされていたのですが、50人から80人ぐらいの患者を診られてました。いや~、さすが、名医は違うなあ。


ところで僕がその名医から名医の業を学べたかどうかはよくわかりません。しかし、彼が処方した中薬(漢方薬)と患者の症状などを克明に書いたノートは10冊以上に上りますが、僕の宝です。でも、ただの宝で終わらせたらだめですね。


中国語豆知識

中国語で「先生」と言ったら、日本語で「~さん」の意味なんですね。だから、「林さん」だったら、「林先生」と言います。

そしたら中国語の「老師」って、どういう意味かご存知ですか?日本語で言う「先生」の意味なんです。

日本人感覚では「老師」って言ったら、「年いった先生」って感じがしますが、若い先生も「老師」なんです。