「我が街」の社会福祉施策をつくっているのは「誰」?

 

さて、前置きは、これくらいにしておきますが、この第1講では、やや、硬い話から切り出さなくてはなりません。

 

それは、地方自治体の社会福祉行政の「内情」についての話です。

 

ここは、本書全体を通して重要な観点なのですが、地方自治体という行政組織には関わりの薄い、社会福祉の実践者にとっては、少々「つまらない」、と感じる部分もあるかと思います。

 

しかし、やはり、ここを避けては通れませんので、しばらくの間、我慢してお付き合いをいただければと思います。

 

早速ですが、「素朴な疑問」として、読者の皆様は、地方自治体が実施している(制度化している)各種の社会福祉施策は、誰が、どのような過程を経てつくったのか、また、その施策の運営を誰が司っているのか、ご存じでしょうか。

 

普通、そのことに、あまり疑問を抱く人はほとんどいないのではないか、と思いますが・・・。

 

それでも、敢えて問いますが、それは、「地方自治体の長(以下、本書では「首長」といいます。)」でしょうか、それとも「福祉部長」でしょうか、または、各分野の「○○福祉課の課長」でしょうか、いや、そうではなく、その各課の「担当職員」でしょうか。

 

実は、この部分は、「社会福祉経営(マネジメント)」、または、「マクロレベルのソーシャルワーク実践」を行う者は誰か?という課題に繋がっているのです。

 

本書では、この「誰」については、本書の核の部分の一つであり、その詳細は、この後のブログ掲載の中でも詳しく解説していきたいと思っています。

 

さて、地方自治体の首長といえば、知事、市区町村長などの顔が思い浮かぶかと思います。

 

周知のことですが、それら首長の職に就くためには、地方選挙によって地域住民に選ばれなければなりません。

 

地域住民に選ばれた者が、一定の期間(通常は、1期4年間)、その地方自治体の行政運営のリーダーとなります。

 

地方選挙で、地域住民は、候補者の氏名を投票用紙に記さなければなりませんので、投票した人は、当然、我が街の首長が誰であるのか、その名前や顔、人物像、政策の主張などについて良くご存じのことでしょう。

 

首長の中には、自ら弁護士や、医師、社会福祉士などの資格を保有して、地方自治の諸制度、保険・医療・福祉に関する制度に、大変詳しい人がいることもありますが、それはほんの一部で、そうではないことの方が多いかと思います。

 

地方自治体の首長は、「あるA市が行っている取組みを、我が街でも取り入れるように」というような指示を、ときにトップダウンで部下に指示することがありますが、そのような場合でも、その取組みに関して、自らの街で実現させる具体的な方策や制度設計について、首長が自ら事細かに指示を出して、制度設計をしているわけではありません。

 

通常は、首長からの指示を受けた地方自治体の職員が、A市から必要な情報を得て、その情報から、自分の地方自治体の実態に合わせた制度を構築していきます。

 

しかし、その実務を担うこととなった地方自治体の職員は、「社会福祉の分野の業務経験」が長く、また、「政策、施策、事業を新たに立案」することに長けている職員が担当する、とは限らないのです。