いきなり「福祉部長」になったら
本ブログでは、「社会福祉の分野の業務経験」がほとんどなく、「政策、施策、事業を新たに立案する」ことにも慣れていない職員が、地方自治体の社会福祉施策をつくらなければならなくなった、ということを想定して構成しています。
とくに、これまでに社会福祉の分野での業務経験がほとんどない人が、4月の定期の人事異動で、新たに、福祉部の最上位の職である「福祉部長」になったとき(または、「人」)のために、その「具体的なノウハウ」を伝えるというコンセプトになっています。
ただし、その内容は、新たに「福祉部長」になった人だけでなく、「○○福祉課の課長」や、各課の政策、施策、事業の立案を初めて担当することになった「職員」の方々にとっても「役に立つ」ものとなることを意識して記していますので、幅広くご活用ください。
「ブログをアップする理由」でも少し述べましたが、本書では、その新たな「福祉部長」となられた方ことを、親しみを込めて「新福祉部長さん」と表記しています(これを、「新○○福祉課長さん」、「新○○政策担当者さん」と読み替えていただいて構いません。)。
その「福祉部長」の仕事には、次に示すように、非常に多岐に渡る難しい仕事があります。
地域住民が、地方自治体の行政運営に対して意見し、改善を求める方法としては、一般的には、地方議会の常任委員会等に対して「陳情」や、「請願」の手続きを、地方議員等を通じてお願いするという方法があります。
また、地域住民は、支援する地方議員を通じて、地方議会の各種の「委員会」や、「一般質問」という場面において、地方自治体の執行部に対して「質疑」や「質問」をして、行政運営の改善を促す、という方法があります。
「福祉部長」は、その地方議会において、地方議員からの「質疑」や「質問」に「答弁」しなければならない、という重責が、まず、あります。
社会福祉の分野では、地方自治体の行政運営の改善に向けての働きかけの方法の一つとして、もう一つ、特徴的な手法があります。
それは、その地域では比較的規模が大きい(または、地域の福祉サービス提供の大部分を占めるような)、老舗の社会福祉法人の経営者等を通じて、地方自治体の首長等の特別職や「福祉部長」に直接的に働きかけるという方法です。
後者は、小規模な地方自治体になればなるほど、地方自治体と社会福祉法人との間に、相互に依存的な関係が存在する場合もあるため、そこにさらに複雑さが、織り込まれます。
さまざまな、ステークホルダー間の、いわゆる「忖度」が絡む「面倒な」事案について調整するという仕事を「福祉部長」は担うことになります。
また、最近では、国や地方自治体の社会福祉制度の隙間にあり、マイノリティであるがために取り残されてきた要援護者への支援を行うNPO法人などが台頭し、実際にその要援護者らが必要とするサービスを、自らの持つ資源を活用して、積極的に提供するというソーシャルアクションも、多く見られるようになってきました。
国や地方自治体は、そのような新たな「社会福祉経営(マネジメント)」の「主体」から逆に、行政と協働する形での社会福祉施策の提案を持ちかけられることも多くなり、それを実際の国や地方自治体が行う施策に組入れていく、という動きも顕著になってきています。
「福祉部長」は、このような官民の連携による新しい形での社会福祉施策の在り方について、判断していかなくてはなりません。
また、それよりも、もう少し身近なところにある、地域住民や、地域の福祉事業者からのさまざまな要求や、法人格を持たない任意の小規模なボランティアグループ等の動きや背景を敏感に察知して、(ときに忖度して)、その要望を受けとめ、適切な判断を下す、というのも「福祉部長」の仕事の一つです。
「福祉部長」の役割は、庁内の福祉部の統括だけでなく、このように対外的な調整を行うという役割も持っているのです。
そうはいっても、いきなり「福祉部長」に就任したばかりの、社会福祉のことについて右も左もわからない、いわゆる「新福祉部長さん」にとっては、やはり、大変、困惑されるでしょう。
多くの「新福祉部長さん」は、福祉部での執務を始める最初のころに、いくつかの疑問を抱かれるかと思います。
その疑問の一つが、「福祉」と「社会福祉」との意味の違いと、その使い分け方です。
また、そこでは、「福祉事務所」はどこにある?「福祉事務所長」って誰?「社会福祉」とは何?という疑問についても併せて解説していきます。
これらは、いわば、「初級レベル」にあたるところですが、実は、本書の中では、その後にも何度か登場する重要な「論点」の一つでもあります。
この、「福祉」と「社会福祉」との意味の違いと、使い分け方については、後半で、改めて、そのテーマについて深く掘り下げています。
この辺りは、「中級レベル」にあたるのではないかと思います。
その内容については、本編のお楽しみ、ということで・・・。
いかがでしょうか、ここまでで、少しずつ、「ワクワク感」は上がってきていますでしょうか。