ケーブルTVで『刑事コロンボ』の旧作をやっていたので観ていました。

その中で、今日の作品は、実に興味深かった。


ある才能が涸れてしまった巨匠の作曲家が、弟子の作品を自分のだと
世間に公表して、数々の作曲賞を穫るのだけど、
その弟子が、自分の作品なのに自分の名前が出ず、全部その先生の作品として
世間が認知している事実に不満で、
その先生の元を去って、世間に事実を(本当の作曲者は自分だ)公表する、
と、宣言する。


その巨匠は困って、弟子を殺す、と言う事件。

コロンボは、例によって、一歩づつ殺人者を追いつめて
ついには、決定的な証拠を突きつけて、見事事件解決、、、と言ういつものスト-リー。



弟子に書かせて、先生が楽をする話は、過去には良く聞く話ですけど、
(私には弟子すらいませんけど)
その観点からではなく、面白かったのは、、、



その弟子がいなくなった事で、才能の枯れた先生自ら、
作曲せねばならなかったその曲を聞いた
なじみのプロデューサーが

『どうしだんだ!いつもの冴えが全然ないぞ!はっきり行ってクソ曲だ!』

と、その曲の正体を見抜く場面。




で、このドラマ(コロンボの)を、手掛けた作曲家さんには
このシーン、どの様なオファーがあったのかな?


まさか『クソ曲を書いて下さい』とは頼まれていないだろう。
仮にも、何年も前には活躍していた巨匠の作品なので、
いくら『クソ曲』でも、万人に分かる『クソ曲』ではなくて、
それなりに聴ける曲で、なおかつ、やはり『クソ曲』でないといけない事になります。


もの凄く、難しいオファーだったと思います。


私なら、全体的には良い曲なんだけど、所々に、昔昔、良く使われた古~いフレーズ
など挿入して、少し時代遅れ感を出すように作るかも。

でも、『クソ曲』を作ろうとは、思わないですけどね。



こう言う事は、BGMを長くやっていると時々ある事です。

先日の『氷菓』のなかでも、高校生が作ったビデオ作品に付ける高校生が作曲したBGMを
作りましたし、(あまり良過ぎないように)
わざと、ヘタクソなピアノ演奏をした事があります。

これが、難しいのよ。

やっぱり、どこかに『クソ』には成りきれないスキルが出てしまって
上手くヘタにはなりません(何か、変な言い回し)



お話を戻しますが、
この『コロンボ』の中の『クソ曲』は、、、、、、、実に素晴しい曲でした。
(私が感じるに)

むしろ、全員が賞賛していた弟子の作品より、全然良いデキだったと思います。



これは、私のコロンボ譲りの推理ですが、
本ドラマの作曲家さんの『イタズラ心』が、入っているような。

『クソ曲を書いてくれ』と頼まれたなら、なおさらの事。



あのプロデュサーに、台本通り『クソ曲』と言わせておいて、
どっこい、そんな事がない。良曲。

聴く人が聴けば分かる様な、ワナを仕掛けた様な気になって、
仕方ないのです。



全くの推察ですけどね。