私の熱い想いを書いてもよろしいでしょうか。

このところ世界中を旅して、色々な場所で現地の人々との交流をしています。
お友達も、知り合いも、ミュージシャン仲間もたくさん出来ました。

で、いつも彼らに聴いている質問があるのです。
それは
『あなたが知っている日本の曲はなに?』

だいたい首を傾げて、やっと出て来る答えが必ず『アニソン』
ドラゴンボールだったり、ワンピースだったり、セーラームーンだったり
エヴァンゲリオンだったり、、、

私が聞いている層が、確かにアニメファン周りが多いのは事実ですけど
街で知り合いになったウェイターさんとかタクシーの運転手さんとか
それこそ普通の人にも聞いた結果のお話。


アニソンに携わっている人間としては、それはそれで嬉しい事なんですけど
ちょっと戦慄を覚えました。


これは、日本の音楽業界が衰退して行く訳だ。

今まで日本の音楽市場は、かなりのボリュームがあったので
それだけでも十分だったから、別に海外を目指さなくても良かった事に満足して、
海外進出を怠って来た結果、
国内の市場規模が減少するにしたがって、どんどん状況が悪くなるのは必然!
の結果なんでしょう。


つまり、世界で通用する楽曲が日本には極端に少ない、と言う事が分かります。

それは、なぜか?

私はこう思うのです。

世界的に『オリジナル』と認められていないから。

たとえば、ジャンルで言えば『ジャズ』『ポップス』『ロック』など
欧米の文化的功績は大きいものがあります。
もちろん『クラシック』も。

あちらで発生したものだから、あちらが本家本元。
オリジナルなジャンルとして認知されています。

では、翻って、日本のオリジナルなジャンルは何でしょう?
やはり『演歌』と『歌謡曲』でしょうか。(アニソンは置いておいて)

その二つは確かに日本のオリジナルジャンルだと思いますが、
そのジャンルが世界に向けて積極的に発信して来なかったのも事実。

発信したからと言って、受け入れられたかは別の問題。

その努力をして来なかった、と言っているだけです。


その結果、世界に認められる日本の音楽は皆無、と言う厳しい状況に
至ったのです。



オリジナルをたくさん持っている国の音楽家のプライドは
非常に高いものがあります。

ミュージカルの舞台なんかもそうです。

たとえば『ウエストサイドストーリー』

日本で上演しようとすると、キャスト、スタッフまでアメリカから注文が
付きます。

オーディションには必ずアメリカの関係者が、選考スタッフに入り
意見を言います。
演出、音楽はアンタッチャブルで、振り付けさえも変える事は出来ません。

なぜ、そんな態度でもOK,かと言うと、
それは彼らのオリジナルだからです。


それが嫌なら、こちらでも日本発のオリジナルミュージカルを創れば良いのですが
あまりそう言う動きは積極的にはなくて、
相変わらず、欧米のオリジナルの翻訳劇ばかりになってしまっています。

私としては、大劇場の少しでも良いから、こう言う日本のミュージカルを
積極的に誘致して欲しい、とかねがね思っているのですが
不景気とも相まって、そんな動きはありません。

創る方も、環境が著しく良くない事もあって、
ほとんどそう言う動きは目につかなくなりました。


そもそもオリジナルを一から創る事は、もの凄いエネルギーが要る事です。

その努力を惜しまないでやるからこそ、世界中からオリジナルと
認められる訳なので、そこを放棄してしまったら、
日本の音楽業界は今後もずっと『請負仕事』に終始する事に
なりかねません。

今後もず~っと『超輸入産業』で良いのでしょうか?


私が、『声優のコスプレショウ』だとか『どうせアニソンなんでしょ』
などど言われても、
10数年『サクラ大戦』の舞台の音楽を書き続けているのも
それは紛れも無い『オリジナル』だから。

他にはない独特の世界観、そして私の音楽は、本家本元だからです。
プライドを持っています。


だから、世界中で『サクラの曲』や『ワンピの曲』を披露する時に
誰に遠慮もせず、プライドを持って自信満々に演奏する事が出来ます。

なぜなら、これが本物だから。

誰よりもオリジナルな演奏が出来るのだから、何の気兼ねもない。



何より大事な『オリジナル』

私の理想は『サクラ』でも他のタイトルでも良いのですが
一つ改変不可能なミュージカルを創り上げ、
それが世界各地で、その現地の言語に翻訳されて上演される事。




理想は思わなければ叶いません。

口に出さなければ叶いません。

そして行動しなければ、もっと叶いません。


頑張ってみます!!