昨日も、ヘロQの即興芝居に、ピアニスト役で出演して来ました。
このお芝居は、何の筋立ても、脚本もなく、
役者さんの全くガチのアドリブで演じられるので、先が全く読めずに
凄くスリリングな舞台になっています。
一応、セットだけはホテルのロビーで固定されていますけど、
それ以外の衣装や、小道具、などは共演者にバレないように、
また、共演者同士も出番前に顔を合わせないように、
楽屋を隔離してあるほど、本気のガチです。
私は、その役者さんが繰り広げるお芝居に、
その時々に一番適当と思われる音楽を即座に作曲し、
BGMを演奏し、舞台を盛り上げて行く役目です。
ただ、所々では(お芝居が停滞している時などには)
こちら側が、先に次のシーンをリードして行く曲を付けています。
たとえば、昨日もあった場面ですが、役者さんが
『君のお母さんがね、、、、』
と、言って少し間があった時に
私が、凄く悲しい音楽を奏でました。
それを受けて、彼は
『実は、君のお母さんが、事故に合われたそうなんだよ』
ってセリフを、、、。
これって、私がリードして言わせたようなもの。
後で、彼に聞いた所、
『お母さんが、、』って、言ったは良いけど
その後、どんなセリフを言おうか?と思っていたら
悲しい曲が流れて来たから、
『事故に合って』
と、言ってしまったらしい。
そんな、演者と演奏家のバトルみたいなものも
この舞台の魅力かもしれません。
で、今回凄く感じたのは
舞台に上がっている人全員の、人間性、経験、スキル、など
つまり、その人の持つ『人間力』が、全て露呈してしまう
怖~い舞台だと言う事を。
どんなに上手くやろうと思っても、その人以上のものは
出て来ません。
どんな勉強をして、どんな経験をして、どんなものを食べて、
どんな人と付き合って、どんな人生をこれまで送って来たのか、
一目瞭然で、感じられてしまうと言う残酷な舞台でもあります。
私も、ただ長い事、音楽をやって来ただけのタヌキではありません。
色々、凄くたくさんのシーンのBGMを、熟慮して作曲して来た人間です。
一朝一夕では、絶対に身に付かない音楽家としての『人間力』
を、持っていると自負していますので、
そう言うふうに、一切誤摩化しが出来なくて、
その人の全てが裸にされてしまうこの様な舞台こそ、
得意中の得意なのかも。
どんな事が起きても、対応する能力は有りますよ。
まぁ、『どんと来い』って、感じですか、、、
そして何か、この4~5日で、自分がまた、成長したような感覚を
受けています。
自分のこれからの音楽活動のためにも、凄い経験をさせてもらったようで
新鮮でした。
思うに
『人生は即興演奏のようなもの』
いつの場面でも、人間力を試されているようなものですから。
このような機会を与えて下さった『ヘロQカンパニー』の皆さん。
とりわけ、主催の関智一さんには、心から御礼申し上げます。
さて、このお芝居も今日から日曜日までの5回となりました。
私の出番は、日曜日の、昼、夜です。
当日券は、抽選ですが出るそうです。
これは、見逃すと凄く惜しい舞台ですよ。
よろしくお願いします。