コンペの弊害

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 音楽業界では、ある歌手の次の曲を決める上において、
良く『コンペ』と言う方法を使います。

これは、その一つの企画に対して、複数の曲の中からそれに相応しい楽曲を
選ぶと言う方法です。

このところ、なんでもかんでもこのコンペが多い。


ある事務所のコンペなど、100~200曲も一つの企画で集めているらしい。


我々作家もこのコンペに勝ち残らないと、お仕事にならないのです。

そして、このコンペの酷いところは、曲が採用にならないとそのデモテープに対して
一銭のお金も出ない所。
つまり、採用されないと、ただ働きと言う事なのです。

採用されたからと言って、作曲料などは発生しないので、もし全然CDのセールスが
悪ければ、これもただ働きに近い事になります。

一度ぬか喜びしているだけに落胆も大きいのです。



私はこの方法が蔓延する事によって、音楽業界がどんどん悪い方へ
行っているような気がしてならない。

なぜなら、作家がその多数の曲の中から選ばれたいがために、
選ぶ相手の志向や顔色を伺い過ぎ、なおかつ目を引きたいがために
ついついインパクト重視の曲を作りがちになる事です。


インパクト重視の曲は、それは瞬発力はありますが、なかなかロングセラーに
なりにくい、と言う傾向があります。


さらに悪い事に、選ぶ側の音楽程度の低下により、曲の善し悪しも
極度に作り込まれたアレンジに誤摩化されてしまいがちです。


このところ、このデモテープは作曲家自身が、サウンドも含めて作り込んで
提出する事が多いから、なおさら騙されるのです。



つまり、メロディー重視よりもサウンドに耳が行き、そしてインパクトがある曲が
採用されるケースが多いのです。


昔なら、歌はやはりメロディーが一番大事ですから、デモテープのアレンジは
極力抑えて(ピアノだけとか簡単なリズムだけとか)作られていたので、
選ぶ側の能力に問題があったとしても、メロディーの善し悪しで採用が決まったものです。


こうして考えると、現在の楽曲が皆さんの耳に残るものや印象に残るものが
大変少なくなっている事も、良くお分かりになると思います。


つまり、こんなやり方を続けて来たために、音楽業界は自分で自分の首を絞めて来た
と言う事になります。
(勿論、これだけが原因ではありませんが)



私は、思うのです。


歌はメロディーでしょ!


もっと、じっくり長く聴けるメロディーの美しい楽曲を作っていかないと
本当に日本の音楽は死んでしまいますよって。



私はこの頃、メジャーでの音楽活動に限界を感じています。

こんな『コンペ』のように、作家のプライドを平気で傷つけるやり方を
押し付けるような業界で、あって欲しくないのですが、
それが改められる様子は全くありません。


だから、私は今後は(今までも)ご指名でくるお仕事に全力を尽くそうと
思います。

思えば『ゲキテイ』も『ウイアー』も『勇者王誕生』も『キングゲイナー』も
全~部ご指名のお仕事でした。

その方が作家と言うやつは、本領を発揮するもんなんです。

『あなたしかいない!』って言われた仕事は、そんなコンペの何100倍のパワーが
出るものなんですよ。