僕は、君に消えて欲しかった。

いつも風のように緑の絨毯を走り抜ける颯爽とした君に。

これは、きっとジェラシーだったんだろう。

君のように走れなかった僕の。


でも、君にはいつも裏切られた。

僕は、
君がゴールインした時に、遥か後ろを走っている馬を応援し続けていたんだ。



そして、あの日、、、

僕はいつものように、君を外した馬券を握りしめ、君の消えるのを待っていた。

でも、本当は馬券なんか外れても良かったんだ。

君が僕の目の前を風のように走り、そして僕の期待を粉々に打ち砕いてくれるのを

本当は待っていたのかもしれない。



いつものように、君は一人で先頭を走り、そして4コーナーに差し掛かる時

大観衆の叫びにも似た悲鳴の中、、、、、亡くなってしまった。



僕は、そのレースの馬券を取ってしまった自分を恥じた。

君を外した馬券を持っている自分を責めた。


いつまでも続く悲しみの悲鳴の中で、僕はひたすら自分を責め続けた。



サイレンススズカ号

君は風になりたかったんだね、、、、