今朝、広井さんからのメールで知ったのですが、
作曲家の加藤和彦さんがお亡くなりになられました。
62才だったそうです。
若い人には加藤さんが、どれほどの作曲家であったか
ご存知でない方が多いと思いますが、
私も青春時代にあの素直で、美しいメロディーに癒された一人です。
特に『青年は荒野を目指す』『あの素晴しい愛をもう一度』
などは、印象に残っていて、今でもソラで歌えます。
加藤さんとは、一度雑誌の対談でお食事をした事があります。
お話は楽しくて、幅広い知識をお持ちの文化人だなあ、と
感心させられたり、
生き方が自由で飄々とされており、その自然さは見習うべき所が
いっぱいある魅力的な人でした。
それが.....
うつ病だったそうです。
お亡くなりになった本当の原因は、ご本人にしか分からないけど
音楽家としての、本人と世間の評価のギャップが、
自分を苦しめたのではないか?と推察します。
世間は、仕事をクリエイターに注文する時、
今までの実績以上のクオリティーを必ず期待して依頼します。
『前にも増して、良いものをお願いします』と..
依頼された方は、そりゃ頑張ります。
その期待に沿うように努力します。
若いうちは、どんどん泉のようにアイデアも湧いて来て
そんな期待の上を行くものが、どんどん出て来ますので、
こう言う依頼のされ方でも、ドンと来い!
と思えます。
ただ、歳を重ねて行くうちに、自分の過去に苦しむように
なります。
過去の実績が大きければ大きいほど。
『期待通りの作品が、もはや作れない』と悟ってしまった
クリエイターは悲劇です。
仕事の無くなる恐怖よりも、自分が自分で無くなる恐怖の方が
全然大きいのです。
加藤さんは、今の今までお仕事をされていた現役の作曲家です。
世間に必要とされていた作曲家です。
責任感の強ければ強い人ほど『あなたが必要』と言う言葉に
苦しむものです。
ともあれ、惜しいクリエイターを音楽界はまた一人失って
しまいました。
ご冥福をお祈り申し上げます。