どの業界でもそうですが、世間は人にレッテルを貼りたがります。
なになに系とか、こんな人とか、その人の一側面をデフォルメして、
何とか分かりやすくします。

人間と言う生き物は、そんなに単純ではないのですが、
なぜか、そうしたがります。

そしてその上、女と言うものは、とか、外国人はいつでも、とか
O型の人の行動は、とか、全部一緒くたにしてしまいます。

これを、専門用語で”一般化”と言います。

一般化の恐い所は、世間の持っているイメージとか、感情で
知らず知らずのうちに、仲間分けされてしまう事です。

私も”アニメ”という、世間のイメージの中で、一般化されており、
アニメ=オタクと言う公式で、
「公平さんもオタクなんでしょ」と何度言われたか知れません。
(オタクじゃないけど、オタクの気持ちを持っていますが)
別にオタクと呼ばれて嫌な気はしませんが、一般化が
嫌いなだけです。

オタク=キモい、と言う一般化も大嫌いです!

そして最初に書いたレッテル貼りも恐いものがあります。

自分の例で言うと、作曲家として最初の大ヒットは、
ロボットものでした。
(トップとかエクスカイザーとかグランゾード)

ヒットが出るのは嬉しい事なのですが、世間のすさまじい
レッテル貼りが行われ、燃える作曲家とか呼ばれるようになり、
そのジャンルの曲しか、依頼が来なくなりました。

私は作曲家として、色々な顔を持っていて、様々なジャンルの
曲を書ける幅広い知識を持っている、と思うのに。

仕事が断りきれないほど来るのは、嬉しい事だけど、
来る仕事来る仕事、同じような燃え系(一般化で、すみません)
ばかりだと、すぐに燃え尽きてしまいます。

しかし、世間は私にそればかりを望みます。
私のこの一面しか知らないでレッテルが貼られたからです。


こんな時、救世主が現れました。
 「サクラ大戦」です。

主題歌は確かに燃え系ですが、中の主な曲は、優しく、メロが
美しい、人間賛歌の歌謡曲です。

この仕事によって、世間の私に対する評価は激変しました。

まあ、もう一つのレッテル貼りが行われただけですが、
私の望む燃え系だけでない、癒し系の依頼がたくさん
来るようになったのです。

それと同時に、もとから書きたかった幼児や低学年ものも
(かいけつゾロリとかたまごっちとか)
来るようになりました。

私の中で、三つの柱が出来たのです。
#燃え系
#癒し系
#子供向け
です。


もし、あの時「サクラ」が来なかったら、私の作曲家としての
寿命は、もう、とうに尽きていたに違いありません。

今まで幾多の優秀な作曲家さんが、レッテル貼りと一般化に
よって、一方面でしか力を発揮出来ずに、消えて行かれたか
想像したくはないですが、
私は本当にラッキーだったと思っている今日この頃です。