ストラディヴァリとグァルネリと言えば高価で有名なバイオリンだ。

ギターの生演奏の場合800人のホールでギリギリ聞こえるが、それ以上の場合マイクとアンプ、スピーカーが必要である。

しかしバイオリンの場合、2000~3000人収容のホールでもマイクなしで隅々まで聞こえると言われる。

しかも5~600年前に製作された楽器、本来なら骨董品や文化財として博物館に展示されるようなものだが、現役バリバリで使えるのはすごい。まさに完成された楽器だ。

バイオリンの値段はピンからキリまであるが、億単位のものもあるのが現実だ。悪徳楽器商が値をつり上げていると言う説もあるが、この値段は何なのだ??

テレビのバラエティやコンサートイベントで良く行われる聞き比べ。高級バイオリンと普通のバイオリンをカーテン越しに演奏してどちらが高級かを当てるものだが、プロの耳でも意外と当たらない。まさに謎だ。

そもそもバイオリンは北イタリアのクレモナで活躍したアンドレア・アマティが1550年前後にその原型を作った。一方、同時期、家具職人だったガスパロ・ダ・サロ(1540~1609)がアンドレア・アマティと同じ形の「豪快な鳴り」が特徴のバイオリンを製作したので、この人物こそ元祖だと言う人もいるが、一般的にはアンドレア・アマティがバイオリンの原型を作ったと言える。

そしてアンドレア・アマティの孫、ニコロ・アマティ(1596年~1684年)に弟子入りしたアンドレア・グァルネリ(1626年~1698年)と、その子ジュゼッペ・ジョバン・バチスタ(1666年~1744年)が進化させ、そしてその子のバルトロメオ・ジュゼッペ・アントニオ・ガルネリ(デル・ジェス)(1698年~1744年)が完成させたのがいわゆる「グァルネリデルジェス」と言う楽器である。

一方ニコロ・アマティのもう一人の弟子がアントニオ・ストラディヴァリ(1644年?~1737年)であり、彼が完成させたのがいわゆる「ストラディヴァリウス」と言う楽器である。

グァルネリ一族はバイオリンを200挺製作したが

ストラディヴァリ一族は1200挺製作(現在も600挺現存している)したので、数の多いストラディヴァリの方が有名になった。

ストラディヴァリは形が左右対称で、f字孔の形がなめらかで、甘美な音色がする。

高嶋ちさ子や千住真理子、そしてハイフェッツ、アンネゾフィームター、ナイジェルケネディが愛用している。

反面、

グァルネリは形が左右非対称で、f字孔がいびつで尖った感じで、力強い音色がする。

神尾真由子、五嶋みどり、そしてチョンキョンファ、アイザックスターン、アルテュールグリュミオー、サラチャンが愛用。

バイオリンの価値を決める4つのパーツ

①     表板はマツ科の常緑針葉樹「唐檜(とうひ)

②     裏板は「楓(かえで)

③     直径6㎜ほどの円筒形の唐檜を使った「魂柱」・・こんちゅうって素晴らしいネーミング。誰が名付けたのだろう??

④     は竹のように良くしなる「フェルナンブーコ材」に馬馬馬の尻尾の毛を張ったもので摩擦を高めるため松ヤニを塗る。

 

バイオリンが鳴るのは、弓で擦った音が弦を通して表板に伝わり、その音を、魂柱を通して裏板に伝え、その反響がf字孔と呼ばれる穴から出てくる。魂柱は接着剤で固定されていないので、その位置が少しでも移動すると音に影響する微妙なパーツだ。

ストラディヴァリウスとグァルネリデルジェス、どちらがすぐれているか?どちらの音が好きか?凡人にはわからない。

私は一般庶民的楽器「ガリガリすっ飛んだバリウス」で今日もレッスンに励む高齢者である。