#三雲・井原遺跡の東南、県道49号沿いに4世紀後半築造の井原(いわら)1号墳(前方後円墳:43m)と6世紀中ごろの古賀埼古墳(前方後円墳なのかは不明)があります。湾岸ではなく内陸部の奥、山の手に築かれていて位置的には数少ない首長墳です。
井原1号墳の脇には赤崎川が流れています。その下流から二つの古墳を見てみました。
右側、赤い橋梁右上部の奥に見える樹々の盛り土の箇所が井原1号墳で、左端の樹々に覆われた低丘陵が古賀埼古墳です。背後には背振山塊がそびえています。
両古墳の手前(北側)には県道49号が走っています。
井原1号墳近景(北から)
古賀埼古墳(北から)
古賀埼古墳近景(北から)
糸島市のホームページには、「三雲・井原遺跡は南北1,500m、東西750mの範囲に広がる遺跡です。集落域と墓域を合わせて約60haを測るわが国を代表する弥生時代の拠点集落であり、中国の歴史書『魏志』倭人伝に記される「伊都国」の中心的拠点集落=王都に位置付けられます。」 とあります。
図上で、伊都国の王都と県道49号と井原一号墳・古賀埼古墳の位置関係を見て下さい。
(糸島市文化財マップ:糸島市教育委員会作製)
上図、赤線で囲まれた部分
三雲・井原遺跡の周辺
(伊都国散策マップ:糸島市教育委員会作製)
県道49号は糸島市二丈深江から大野城市山田四丁目至る道路で古道とも言われています。
県道49号を東に向かう地点から写真を撮りました。
前方道路右手に古賀埼古墳が見えます。写っていませんが道路の直ぐ右手には井原1号墳があります。背景は左から高祖山、頂上だけの突起は叶岳、正面は△419.4mの山(通称:高地山)、右端は王丸山です。日向峠は正確には高祖山、叶岳の尾根で集約される△419.4mの山と王丸山間の峠です。
井原1号墳
(現地案内板)
東側面(左・南が後円部、右・北が前方部)
西側面(左・北が前方部、右・南が後円部)※前方部先端の奥に古賀埼古墳が見えます。
南からの遠景
※古墳の北には左から可也山、火山、彦山、天ヶ岳、柑子岳がそびえています。
井原1号墳近景(南から)
井原1号墳から古賀埼古墳を見る(案内板の上部奥の低丘陵)
(西堂)古賀埼古墳
(現地案内板)
県道49号西堂交差点から西南に位置する古賀埼古墳を見る
県道49号と古賀埼古墳
東からの近景
西からの遠景
西からの近景(農道の先)
古賀埼古墳から井原1号墳を見る
墳丘上と石室
南から墳丘上へ
墳丘上西の方向(中央の石碑は「忠魂碑」) 忠魂碑の向こうに石室がある。
石室(入口は北向き)
石室に向かってお堂が建つ(西から)
北側面(西から)
南側面(西から)
古賀埼古墳にはくびれ状の部分があり、墳丘が東西に長いことから前方後円墳だと実感しました。形状から軸線は東西で石室の位置を考慮すれば後円部は西側で前方部は東側であったのかも知れません。
今回、石室の入口が北の天ヶ岳に向いていることに気付きました。
石室入口の向きは天ヶ岳
石室入口が向く天ヶ岳(中央の突起状の山が天ヶ岳)
天ヶ岳拡大(中央突起状の山)
古賀埼古墳からは全方位の山々が眺望出来ます。
北側(半島部:シマ地域)
参考:伊都国歴史博物館4Fの案内板
北の眺望(左から:可也山・火山・彦山・天ヶ岳・柑子岳) ※柑子岳(こうしだけ)
南側(背振山塊)
参考:伊都国歴史博物館4Fの案内板
井原山と雷山
王丸山
北西から古賀埼古墳を見ると、その背後に王丸山が見えます。墳丘上は樹々で視界を遮られて見づらいので掲載しました。
王丸山全景(北西から)
東側(高祖山・日向峠など)
参考:伊都国歴史博物館4Fの案内板(「クシフル山」と「東の原」は郷土史家原田大六氏が神話から名付けたものです)
東の眺望
高祖山
高祖山北麓
古賀埼古墳南側から見る高祖山
古賀埼古墳を西から撮りました。
古賀埼古墳の背景は左から高祖山、△419.4m、日向峠、王丸山です。
正面から見る日向峠(中央) 左:△419.4 右:王丸山
西の眺望
伊都国(糸島郡域或いは怡土郡域)の西の境界である背振山塊西麓が見えています。
糸島郡域には、盟主的首長墓や地方豪族墓と考えられる大小の前方後円墳や円墳が主として湾岸部に築造されていますが、今回取り上げた二つの古墳は内陸部の奥深いところに築造されています。
怡土平野の首長墓とされる井原1号墳と古賀埼古墳が県道49号(古道)沿いに築造された意義は何だったのでしょう。県道49号(古道)を往来する人々に権威・権力を誇示するためだったのかも知れません。深江に上陸して県道49号(古道)を東に向かえば日向峠を越えるとそこは旧奴国(ナ)の地域ですから…。
また、伊都国の王都とされる三雲・井原遺跡に近い位置に築造されているのも権威・権力を有する怡土平野の首長墳とされる所以の一つかも知れません。

















































