南米のチリ北部に、アタカマ砂漠と呼ばれる砂漠地帯があります。
南北の長さは1000キロメートルもあります。本州の長さとほぼ同じです。
そこは広大な砂漠地帯ですので、当然ですが空気中に水蒸気が非常に少ないです。
生物が生息するには厳しすぎる環境ですが、水蒸気の影響がないということは天体観測にはうってつけの場所でもあります。
この切手は、アタカマ砂漠にあるチャナントール山(標高5,640m)の山頂に天体望遠鏡が設置され、天体観測が開始された記念としてチリにより発行されたものです。
切手になぜ日本の国旗が描かれているかといいますと、この天文台は東京大学のものだからです。
口径6.5mの光学式光赤外線天体望遠鏡を設置する予定が進んでいます。
この切手は、その前段階として、口径1mの光学式反射天体望遠鏡が設置され観測が開始された記念で2010年に発行されました。
この「東京大学アタカマ天文台」は、「Tokyo-Atacama Observatory Project」と呼ばれ、口径6.5mの望遠鏡が設置される予定です。その頭文字をとって「TAO計画」と呼ばれ、現在設置済みの口径1mの望遠鏡は「miniTAO望遠鏡」と呼ばれています。
なお、このアタカマ砂漠、他にも観測施設があります。
2011年に複数のパラボラアンテナが設置され、観測業務がはじまったその場所は「アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計(Atacama Large Millimeter/submillimeter Array)」と呼ばれ、その頭文字から「ALMA」とも呼ばれている施設です。
ここは国際共同利用施設で、複数の国の研究機関が活用しています。
複数の電波望遠鏡を合わせて一つの巨大な望遠鏡として運用する研究も進んでおり、この方面では日本の森田耕一郎氏が知られていました。
現地に移り住み研究に邁進していましたが、2012年5月、自宅前で強盗に襲われ、不幸にも亡くなられてしまいました。
日本の16基の望遠鏡からなるシステム「アタカマコンパクトアレイ」は、別名「モリタアレイ」と呼ばれることが決定されました。海外の天文施設に日本人の名前が付けられた最初のケースになります。