版画からデジタルへ

明治から大正時代にかけて活躍した画家に、橋口五葉という人がいます。
19歳で鹿児島から上京し、雑誌「ホトトギス」の挿絵を描いた関係で、夏目漱石、森鴎外、永井荷風、谷崎潤一郎、泉鏡花の作品の装填をしていました。

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代表作は「髪梳ける女」「化粧の女」などの美人画ですが、これらは木版画なんですね。髪の毛一本一本の細い複雑な線を拡大して見ても、これが版画だというのはちょっと信じられません。
橋口五葉は保永堂版「東海道五十三次」の復刻を行い、大正時代に興った「新版画運動」でも活躍しました。

「髪梳ける女」「化粧の女」は切手趣味週間の切手にもなっていますのでご存知の方も多いと思いますが、美術や切手に詳しくなくてもコンピュータ史に詳しい人ならこの絵にピンとくると思います。

1984年1月24日、アップル創業者スティーブ・ジョブズが初代マッキントッシュを発表しました。その時モニターに映し出されていたのが「髪梳ける女」でした。新聞広告にも使われました。

「パソコンでマウスを使って絵を描く」機能の作例として繰り返し使われていました。それまでのパソコンにはマウスなんてありませんし、絵を描く機能なんて当然ありません。その先進性のシンボルとして、橋口五葉の「髪梳ける女」は使われたのでした。

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