▶スホside
わからない事は、ちゃんと聞こう。
“人間に戻ってる途中”の俺は
嬉しいも楽しいも悲しいも悔しいも
虚しいも・・
目の前のたくさんの色に
ココロが振り回されて
自分1人ではお手上げだったから
誰かに聞く癖はついていた。
時間は戻らないし、止まらない。
ヌナとの時間は
減っていくばかりなんだから。
?
見えたのは、ヌナの足の裏
クッションを抱きしめたまま
ソファに横たわるヌナの顔は見えなかった。
・・もしかして、寝た?
「・・ヌナ」
「・・・なに」
起きてた。
起きてたけど、
クッションの隙間を縫って
聞こえる声は、くぐもって
いつもの温度が感じられなくて
「・・怒ってる?」
「・・怒ってる」
・・やっぱり
俺が、自分勝手だった
「せっかく会えたのに」
だよな。せっかく会えた
ユジョン達の時間を
「ごめん」
俺が邪魔した
「ほんとだよ」
・・・。
どーしたらいい
「まだ、ハグも・・
キスもしてくれないし」
・・・・
ん?
少しだけずらされたクッションは
ヌナの綺麗な目を見せてくれた。
「手しか・・握ってない」
そう言って
ヌナの左手が俺の方に伸ばされた。
怒ってる理由は
俺が我慢してた事で
・・我慢しなくていいって事?
「ヌナ、怒ってるんじゃないの?」
「これ以上怒らせたくなかったら
早くハグして」
どんなふうに解釈しても
理解ができなくて
とりあえず
ハグしたら、ヌナがこれ以上
怒らないって言ったから
クッションを外して
両手を広げたヌナの腕の中に
俺を抱きしめて、髪を撫でる、
その手の感覚は
“恋人”になる前と同じだった。
ユジョンの秘密を話した時も
ジアさんが死んでしまった時も
・・初めて、ヌナを抱いた時も
俺より小さなヌナに
包まれて、守られてる感覚で
でも、その時のヌナの気持ちは
“恋人”になった日の夜、教えてくれた。
『愛しい』
“スホヤが元気でいてくれて、
自分の気持ちを教えてくれて、
私の傍で安心してくれて、
私を求めてくれて
すごく幸せで、
明日からのスホも
幸せでありますようにって
祈ってしまうぐらい”
その腕の中で
少し見上げる形になった俺に
優しく笑ったヌナの頬に手を伸ばす。
ついさっき
“私、今、すごく幸せだよ”
そう言って
熱を持ったまま重なる肌と
お互いの息がおさまるまで
抱きしめてくれたヌナに
同じ事を思った。
自分のココロに名前をつける作業は
間違えないようにしないといけないけど
ヌナが言ったからコレは正解なんだ。
コレは『愛しい』
・・でも、
重なる肌の柔らかさとその曲線に
率直な疑問がわいた。
“愛しいと・・また、抱きたくなるの?”
ベッドサイドの灯りはつけていたから
ヌナが恥ずかしがったのはわかった。
“それは・・私にだけだよ”
また1つ、新しい事を覚えた。
