「もしもし」
『もしもし、何してた?』
耳元で響く愛しすぎる声。
「あー・・今、散歩から
帰ってきたとこ。部屋にいるよ」
『散歩?今?ダメだよ。
暗いとこあるんだから』
暗いとこって
「大丈夫だよ」
『でも、』
「何かあったの?」
『ん?あー、いや、なんとなく。
声が聞きたくなったから』
「明日、会うのに」
『今からでも会いたい』
・・・・。
「・・・会う?」
『え?』
この先、カケルと離れる事なんか
考えられない。
でも、きっとイチカさんだって
そう思っていたはず。
それでも2人は別れた。
もぅ、私ができる事なんて
なにもない・・。
急に身体の中が
からっぽになった感じがした。
『・・明日、会うのに』
「そっちが言ったんでしょ」
『冗談だよ。僕が行くから、
ソヒョナは外に出ないで』
「ほんとに来るの?」
『そっちが言ったんだろう・・
行くよ。それができる場所に
いるんだから』
・・・・。
『ソヒョナ?』
「・・じゃ、待ってる」
『うん、下に着いたら
また連絡する』
「気を付けてね」
『ん』
窓の外、空から細く吊られた
三日月がふいに歪んだ。
ずっと一緒にいると
思っていた2人が
離れてしまった。
悲しくて、寂しくて
私は、何もできない・・。
悔しくて、
いつか、カケルと離れる日が
くるのかな
不安で、
“今からでも会いたい”
幸せで・・。
ぐちゃぐちゃの気持ちのせいで
胸が苦しくなったから
大きく息を吐いた瞬間、
零れはじめた涙は
しばらく
止める事ができなかった。
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※画像お借りしました。